自分の声がひどい
先日ひさしぶりに、podcast「That’s Dance」に参加しました。
カリーナさんがしばらくお休みの代打に、ミカスさんとつまみさんのおしゃべりに混ぜてもらった。すごく楽しかった。
楽しかった…のだが、自分の声がひどい。
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だいたい人は、録音された自分の声を聞くと、激しくそれを嫌悪することになっている。げー、わたし、こんな声撒き散らして生きているのか。
あのミカスさんでさえ、自分の声がきらいだと言っていたから(言ってたよね?)、その他の有象無象など推して知るべしである。自分の耳にそれなりに心地よく聞こえるよう声を調整した結果、外に向けて発せられた際、破綻をきたすのだろうか。
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わたしのばあい、自分の耳には、やや低めで落ち着きがあり、つやのある声として聞こえている。
笑われるかもしれないがほんとうだ。
しかし、実際に野に放たれる声はといえば、ひとことでいうと落ち着きがない。
音域が定まらないというか、びょんびょんしているのだ。ぴょんぴょんでない、濁音のびょんびょん。
わたしのすてきな(当社比)声どこいった。
こんな声で、ふだん読み聞かせだのお話だのしているかと思うと、世のお子さまがたには申し訳ないことだ。また、職場でよくひとりごとを言ったり、歌を歌ったりもしているので、そこでも罪を…。
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声には、その人の本質があらわれるように思う。ミカスさんの、明晰な思考が具現化したような、生真面目さと好奇心が共存しているような声も、つまみさんの、素朴なようでいてじつはものすごく構築力があり、ちょっとした毒とともにいつのまにか引き込まれてしまう不思議な話術も、カリーナさんの、どんなささいな一言にもカリーナさんその人が宿るような、言葉をなりわいにする人だなあと思わせる力と、西の言葉もあいまった鷹揚さや包容力も。
「声」ではなく、「話し方」の話になってしまった。しかし、それが音声となって耳に届くとき、言葉だけではない様々なその人らしさの断片を一緒に乗せてくる。ああ、やっぱりこの人の声だなあ、と思うのだ。
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自分が思っている声と、実際の声との乖離の間に、自分の本質がさらけだされているように感じる。
わたしの場合、憧れ続けてかなわなかった、2文字がそこに死して横たわる。
その名は「泰然」。
マイペースなわりに気が小さく、周囲に惑わされがちな児童だったわたしは、物事に動じない人間に憧れていた。
先だっても、Podcastでミカスさんに「好きな芸能人(歌手)とかは誰ですか?」と聞かれて全く答えにならなかったが、好きなタイプの女は昔から一貫している。
毎度持ち出して恐縮だが、『ベルサイユのばら』でいえばオスカルが好きだし、ナウシカでいったら断然クシャナ様が好きだ。子どもの頃、妹と「機動戦士ガンダム」を夢中になって見ていたが、妹がフラウ・ボウ派だったのに対し、私はセイラさん派だった。『有閑倶楽部』では白鹿野梨子が好きである。中学生のころは、花のあすか組に入りたかった。
みんな二次元だよ。なぜなら現実の世界でこんな人々はいない。ただひとり、ティルダ・スウィントン様をのぞいては(ティルダ様についてはご検索ください)。
○しかし、オスカル様にもシブサワ少女にも、村上春樹の小説に出てくる女の子にもなれなかった結果、周囲を遮断する術として「ボーッとする」という特技のみ習得した人間が形成された。
はたして、空想だけして、現実の人生をたいして生きてこなかったにんげんのうすっぺらさを、声がつまびらかにしてみせるのである。
わたしが聞いているわたしの声と、人に聞こえているわたしの声の違いは、わたしにしかわからない。
自分はほんとうは金メッキで、いつ化けの皮がはがれるか、いや、わかる人にはもう気付かれているのだ、と思いながら生きている。
しかし、そんな綱渡りも、47年続ければひとつの芸だといえるだろう。
自分の声なんか気にしてるうちはひよっこだね、とつまみさんに言われそうだ。
おしゃべりしているときは楽しいので、声のことは忘れている。なので薄っぺらでよければまた呼んでほしい。
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by はらぷ
※「なんかすごい。」は、毎月第3木曜の更新です。
※はらぷさんが、お祖父さんの作ったものをアップするTwitterのアカウントはこちら。
凛
はらぷさんこんにちは。
はらぷさんのお出になったポットキャスト先日楽しく拝聴しました。
私ははらぷさんの声好きですよ(^^)
すごく落ち着いててひょうひょうとしてて味わいがあって。
お人柄が出てるなあと思いました(直接お会いしたことないけど)
そしてものすっごくお話面白かったです。
はらぷさんが淡々と話されてるだけに余計に。
(またつまみさんとミカスさんの合いの手が素晴らしくて!)
声出して笑いました。楽しい時間をありがとうございました。
でもたしかに自覚してる声と実際の自分の声は違いますよね~
私もミカス先生に課されてる音読のためにボイスレコーダー使って自分の声を何度も吹き込んではやり直しということをしてますが、毎回ほんとに恥ずかしいし自分の声にがっかりします。なれますけどね・・・。声自体はどうにもならないけど話し方は変えられるということには気づきました。たぶん変わってないけど。
はらぷ Post author
凛さん、こんばんは!
コメントいただいてから半月も経ってしまいすみません!
うううやさしいお言葉ありがとうございます…!
ポッドキャスト、おしゃべりも下手だし、気が小さいので始まるまではけっこう緊張するのですが、始まるとミカスさんとつまみさんにのせられてたくさんしゃべってしまいます。
わたしの話が面白く聞こえたのは、おふたりと…トリッキーな姉のおかげですね(笑)
凛さん、ミカス先生に習っていらっしゃるのですかー。いいなあ!
私も、ストーリーテリングの練習するときに声を吹き込んで聞き直したりしますが、思っているのとぜんぜん違って、のっぺり退屈に聞こえるのでがーんと思うことしきりです。でも、緩急や抑揚など、耳で聞くと物足りないところがわかるので、話し方も変えられるのかも!
でも、特徴ある話し方の人といると、頭の中ではその話し方がうつっているんだけど、実際には真似できていない。方言とかもそうですね。おもしろいなあ。