11月21日はカレー記念日

カレー記念日

普段着と 仕事着 それしか ありません

11月21日はカレー記念日

月亭つまみ

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

母を葬る

(2)人形にも劣る私

夜遅くなってしまったので、病院併設のチェーンのコーヒー店で父と食事をする。

父は母とちがって押しつけがましくはないため、一年に一度メールをするぐらいの仲だったのだが、ことなかれ主義なので、妻と娘の仲が悪いと居心地が悪い、というだけの理由で私に母との仲直りを求め続けてきた。本質をまったく理解できていない。まあ、そんな鈍感さがないと、あんな母とは一緒にいられないだろう。

しかし、ここは父と仲良くしておかねばならない。この嫌なミッションを少しでも楽にクリアするためには情報が必要で、その情報は父からしか得られないからだ。父は体力的には年相応にヨレヨレだが、頭はしっかりしていて、これには助かった。

母は要介護で障害者手帳も申請していること、父は要支援であること、訪問の医者や看護師や介護士が時々来ていること、等々。いつのまにかケアマネージャーとつながっていたようだ。

しかし、要介護のいくつなのか、要支援のいくつなのかいまいち把握していないし、「ケアマネさんに今回のことを連絡しなくちゃいけないんじゃないの?」と聞いても、連絡先どころか名前すら認識しておらず、そもそも、そうしたものにのり気ではなかった生活がうかがえる。そういえば母からの手紙(勝手に送り付けてくる)にも、「他人が家に入るのが嫌だ」と書いてあったような気がする。

あと、何よりも確認しておかねばならないのは、お金のことだ(←金の亡者)。「年金けっこうもらってるから大丈夫。たくわえもある」。へーー。一安心して、父をタクシーに乗せて、私は路線バスでターミナル駅に向かった。

あとで、そのお金で苦労するとも知らずに。

枝に雪が積もった薄暗い道をバスで通り抜けながら、子どものころのことを思い出す。

理想を押し付けてくる母にいつも閉口していた。たとえば、小学校のテストでクラス一番を取っても、100点でなければいい顔はされなかった。「こんな簡単な内容でなぜ100点が取れないのか」と渋い顔をされる。そりゃ大人からしたら簡単だろうよ。子ども心に理不尽に思ったものだ。

何事も一発で上手にできなければだめで、小学校低学年のとき、社宅の子どもたち数人で(当時は社宅に住んでいた)水泳教室に通うことになったのだが、クラス分けで私だけが「泳げないクラス」になったことを、延々と嘆いていた。いや、今日はじめてプールに入ったんですけど? 泳げなくて当然では?

母は英語の通訳や翻訳をしていたということもあり(もともとは中学の英語教師)、私は小学生のときは夏休みの英語スクールによく行かされた。あれはなんだったんだろう、カラフルな部屋にいろんなおもちゃがあって、ほかの子たちと英語で会話する、という一週間。社交性に乏しい私は、英語云々以前に初対面の人といきなり親しげに交流することができず、当然、英語はまったく上達しなかった。今でも、語学全般、ひいては会話そのものが苦手なのはこのトラウマだと思う。

懲罰として家の外に出されてドアの前でずっと立っていたこともしょっちゅうあるし、口をきいてもらえないことも頻繁にあった。「そんな子はうちの子ではない」「そんな子とは口をききません」と宣言のうえで行われる。何が理由だったかはまったく思い出せない。

私はささやかな抵抗として変ないたずらをして、それを「××ちゃんに誘われた」と嘘をついたりする、悪い子だった。嘘は大事だ。すぐばれる嘘でもかまわない。嘘をつくことで、「あなたとは真剣には付き合いません」という意思表示をしていたのだと思う。

したくもない中学受験もさせられた。「いい教育を受けてほしい」と言っていたが、「いい教育」とは?? 塾に通わされたが、本人にまったくやる気がないので当然受からず。とにかく「やりすごす」ことで私は生き延びようとしていた。母はとても残念そうだったが、今になってみれば、母の妹が息子(私のいとこ)を中学受験させたことに触発され、張り合ったのだとわかる。

当時住んでいたのは社宅で、密なコミュニケーションが求められる場だったのも災いしたと思う。「〇〇ちゃんや△△ちゃんは……なのに」といつも比べられて、〇〇ちゃんも△△ちゃんも悪くないのに私は彼女らと無邪気には遊べなかった。

娘に対してそうであるなら当然、自身に対してもそうだった。自分はこうあるべき、という観念に縛られていた。そのため、社宅のほかの奥様の趣味や振る舞いにとても敏感だった。誰それさんが〇〇を始めたから私はもっと難しい××をやらなくちゃ、誰それさんがくれた△△が良かったから私はもっといいものを買って贈らなくちゃ。

自分が思うほどには本当の自分は優れていない、ということを無意識でわかっているからこその行動だったのだろう。だから自分の持ち物である娘に、他人に自慢できる要素を常に要求し続ける。それなのに娘は自分が望むようには育たない。

誰かからもらったお人形を手に、「今日からこの子が私の娘だから」と言ったこともあった。やだ、こわーーーい。

少し前の言葉なら「教育ママ」というやつだろうか。今は「教育虐待」と言うのだろうか。

何より母が気持ち悪いのは、口では「子どもにも人権がある、個性や意志を尊重しなければならない、自分はそうしている」と言うところだ。「どこが?」と心の中で突っ込んでいたものだ。

将来なりたい職業については一笑に付され、何かほしいものがあっても必ずと言っていいほど買ってもらえず、漫画は禁止、祖母に買ってもらったおもちゃは返品、NHK以外のテレビを見せてもらえなくて友達との話題についていけず、したくもないことばかりやらされる。それが「子どもの意志を尊重」?

後からわかったことなのだが、母は若いころ、精神を病んで長く入院していたという。何年も鬱状態だったのだという。

それでいて、鬱で退職した人を「恥ずかしい」「世間体が悪い」と言っていたのだ…!!

自分を「恥ずかしい」と思っているのだろうか? それとも自分の過去は無かったことになっているのだろうか? 

おそらく両方なのだと思う。「恥ずかしくない自分」という仮面をかぶって、「恥ずかしい自分」を存在しないと思い込む。本気で。でも奥底では自分を「恥ずかしい」と思っているから、自分のことも娘のことも、必死になって「恥ずかしくない」に近づけようとする。なんという認知の歪み。

カウンセラーによると、母は多重人格のような手法で自分を守っている可能性がある、とのことだったそうだ。そういえば、演技がとても上手かった。絵本を読むときなど臨場感たっぷりで、幼い私は母のお芝居ごっこを、そのときだけは本気で笑って楽しんだ。唯一の楽しい思い出と言ってもいいぐらいだ。

映画『ドライブ・マイ・カー』に、娘を虐待したあとに幼い人格が出てきて一緒に遊ぶ母親というエピソードがあるが、母を思い出してぞっとした。むちゃくちゃリアリティがある。

自分、よく普通に成長したな。

いや、してないか。

鬱体質の夫を選んでしまったのだから。


母を葬る 記事一覧へ


コメント、ありがとー!

  • アバター画像

    絹ごし豆腐

    私も「よく普通に成長したな」とたびたび思います。
    家庭以外の、周りの方々にたくさん助けられたのだろうと思います。

    プリ子さんも、よくぞご立派に成長されましたよ。
    ヤ◯ザの女房にも犯罪者にもなっていないのですから。

    父がガン闘病で亡くなる少し前、「兄妹の中でお前だけがいつまでも独身で親に心配かけて」と言われた時「今しかない」と思い、私は言い返しました。
    「ヤ○ザの女房になったり、私自身が刑務所に入るような人間にならなかったことを感謝してほしい」
    暗に「そうなってもおかしくない家庭環境だったのだから」と滲ませて。
    若い頃に小説家になりたかった父は行間を読む力があったらしく、ぐっと詰まった後、弱々しい声で「…そうだな」と言いました。
    私はその後、父の知らない男と結婚し、父の知らない孫ができました。
    「いつまでも心配かけるのはお前だけ」と言われた私だけが、父の孫を残しました。

  • アバター画像

    プリ子 Post author

    絹ごし豆腐さん、ご苦労されたのですね。
    お父様は理解力と自覚はあったんですね。でもその「心配」って…。
    「普通」と雑に書いてしまいましたが、ヤ○ザや犯罪はもちろん、そこまでいかなくても、リストカットとか、薬物依存とか、なっててもおかしくはなかったと思うんですよね。
    きっとこんなふうに、やばいところに行きそうで行かないとか、片足突っ込んでるような人が、じつはたくさんいるんだろうなあって思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。また、コメントは承認制となっています。掲載まで少々お待ちください。


コレも読んでみて!おすすめ記事

60代、男はゆっくりご乱心

ダンドリくん

四十路犬バカ日和

ワンオペ生活の大いなるルーティン化

OIRAKUのアニメ

第110回 ONE PIECE FAN LETTER

今週の「どうする?Over40」

「まとまった形で」「時系列で」「思いきり」だれかに話すという自己救済法。

黒ヤギ通信

来年の干支

山あり谷あり再婚ライフ

介護の日は頑固の日?

カレー記念日 今週のおかわり!

ネット注文 間違えたけど チャレンジだ

ゾロメ女の逆襲

【月刊★切実本屋】VOL.87 かつての竹中直人の芸風の本

ミカスの今日の料理 昨日の料理

ちゃんと楽しそうに:豚なんこつの甘辛煮

かわいいちゃん

大ウサギ

夫亡き日々を生きる

カリーナからゆみるさんへ 2023年5月10日

絵手紙オーライ!

歌を書いてみたくて。。。

母を葬る

(16)一枚の絵

昭和乙女研究所

『女学生の友』

出前チチカカ湖

第201回 最近の宗旨替え

なんかすごい。

両親がきた

いろんな言葉

That’s Dance!文字起こし 第6回(episode16) やっかみかもしれませんが‥番外編も兼ねて

いどばた。

凹むこと最近ありましたか?

じじょうくみこの崖のところで待ってます

はなやぐお盆、わたしは墓へとタックルした。

ただいま閉活中

お守りが無くなったら

50代、男のメガネは

『レジェンド&バタフライ』で絶望の淵に立つ。

おしゃれ会議室 ねえ、どうしてる?

人生は引き算である

日々是LOVE古着

(終)これからも。これからは。

これ、買った!

くっつかないしゃもじをもう一度買った!

ワクワクしたら着てみよう

最近思うことをとりとめもなく書いてみた♡

わたしをライブに連れてって♪

コンサートwithコロナ

これ、入るかしら?

行き当たりばったりで失礼します

KEIKOのでこぼこな日常

巣ごもりしてたらこんな買い物を…

あの頃、アーカイブ

【エピソード37】最終回記念、私たちのクリスマス!

フォルモサで介護

私が負けるわけがない

お悩み相談!出前チチカカ湖

【File No.41】 私って多重人格!?

ラジオブースから愛をこめて

ノベルティグッズ

着まわせ!れこコレ

冬とウェディングと後れ毛と

このマンガがなんかすごい。

第15回(最終回):マンガよ永遠なれ!

夫婦というレッスン

津端英子さんの一筋縄でいかない個性と行動力がすごい著書「キラリと、おしゃれ」

ハレの日・ケの日・キモノの日

暑くじめじめな7月

眉毛に取り組む。

総集編!眉毛ケアグッズ&お手入れ用品のご紹介

さすらいの旅人ゆりの帰国&奮闘日記

グアテマラ。そこで見た不思議な光景と懐かしい味

新春企画 輝く!カレー記念日大賞2017

輝く!カレー記念日大賞2017

≪往復書簡≫SEX and the AGE 

「女性の健康を守り、5歳若くなる抗加齢医療」だって。ボーっとしてたら、すごいことになってるね。

最近、映画見た?

第12回 「海よりもまだ深く」

Over40からの専門学校 略して「オバ専」

【オバ専インタビュー】今まで知らなかった「責任感」も含めて、人生が大きく変わりました。

じじょうくみこのオバサマー

四十九歳の春だから。

華麗なるヅカトーク

第8回 型、色、数! 嫌なことがあったら、また観に来る!

サヴァランのやさぐれ中すday ♪

in her SHOES ~ おばばは何を考えて? #8

器屋さんのふだん器

ふだん器-38  飛びかんな

2016 みんなのこれ欲しい!

サヴァランの「これ、欲しい!」。

2015 みんなのこれ買った!

【じじょうくみこ】低反発リクライニングソファ、買った!

ブログの言葉

「別冊 どうする・・・」はこんなことを大事にします。(過去記事より転載)

今日のこていれ

「今日のこていれ」最終回。1年間のご愛読に感謝を込めて。

崖っぷちほどいい天気

崖っぷちより愛をこめて〜最終回はカピバラとともに。

アラフ ォー疑惑女子

「もったいないお化け」の世代間連鎖

とみちっちの単身ベトナム&中国

ベトナムって、ハノイって、どう?

晴れ、時々やさぐれ日記

ああ、感謝。巳年と午年のあいだ。

中島のおとぼけ七五調

中島。の気ままに更新「おとぼけ七五調」12

ムーチョの人生相談「ほぐしてハッケン!」

【主夫ムーチョの相談】娘がご飯を食べません・・・。

ミラノまんま見~や!

連載最終回!「駐妻のここだけの話」にしようかと思ったが…災難に遭う!

ウェブデザイナーとの対談

大きな旗は振れないけど、小旗はパタパタと振れるだけ振っていこうと思ってます。

「最高の離婚」ファントーク

<対談「最高の離婚」最終回>ホームから電車に乗ってしまってキスして・・・ロマンチックでしたね。

スパコレ

美味しい缶詰を教えて!

2014 新春企画

どうする?Over 40 新春企画「物欲俗欲福笑い」♪( メンバー編 )

フォルモサ(台湾)の女

あずみの台湾レポート「やっぱり紅が好き!フォルモサの女たち」(13)〜不景気顔卒業します

ゾロメ女の図書館小説

帰って来たゾロメ女の逆襲 場外乱闘編 連載図書館ゴロ合わせ小説  『ライ麦&博 完結編』 後編

青蓮の「マサラをちょいと」

青蓮の「マサラをちょいと~人生にもスパイスを効かせて~ VOL.12」

Tomi*さんの最適解

「Tomi*さんの最適解。 ・・・白髪とコムデギャルソンとヤフオクと」  マインド編②

YUKKEの「今日もラテンステップで♪」

YUKKEの今日もラテンステップで ~VOL.13

11月21日はカレー記念日

カレー記念日

普段着と 仕事着 それしか ありません

11月21日はカレー記念日

月亭つまみ

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

よもじ猫

母作猫服

猫No.88  by じゅにお

猫大表示&投稿詳細はこちら!

母作猫服

猫No.88  by じゅにお

よもじ猫とは…

全世界初!?四文字熟語と猫のコラボ!

「よんもじ」と猫がペアになって、ランダムに登場します。
ふだん着の猫の一瞬を楽しむもよし、よんもじをおみくじ代わりに心に刻むもよし。
猫が好きな人も、そーでもない人も、よもじ猫の掛け軸からタイム&ライフトリップして、ときどき世界を猫目線で眺めてみませんか。

みなさんの猫画像の投稿をお待ちしています。

投稿はこちらからどうぞ

カイゴ・デトックス 特設ページができました

Member's Twitter


  • カリーナのBILOGはこちら!「ともに生きる。

  • ZOOMでプライベートレッスン、リモート英会話AQUA
  • BLOG版 ウチの失語くん
  • 植松 眞人さんの本がでました♪「いまからでも楽しい数学―先生と数学嫌いの生徒、35年後の補習授業」
  • 「出前チチカカ湖」連載中 まゆぽさんの会社「シリトリア」

Page up