接客の極意と虫眼
前回のミナペルホネンのシニア店員さんのその接客の極意についてもう少し書いてみたいと思います。
シニア店員さんの接客で何が一番驚いたかって、シニア店員さん、実は私のためにバックヤードから2枚のブラウスをとってきてくれていたのです。
それがですよ、もともと私は柄物のシャツを手にとり、鏡の前で当てて見ていたのにも関わらず、2枚とも白の無地のブラウスだったのです。普通、柄物を見ているお客さんを前にしたら、ああ、この人は柄物のトップスを探しているんだなと思いませんか?
もしくは、お客さんが柄物と無地のどちらを選んでもいいように、1枚は柄物、もう1枚は無地をもってくるような気がします。
それが2枚とも白の無地!!
前回も「虚を突かれました」と書きましたけど、「えっ?」って感じでした。
なぜ、この人は私が柄物のトップスは苦手であるということがわかったのか。
試着の前はほとんどお話もしていませんから、ぱっと見で判断されたのでしょう。
1枚は、丸襟で長袖、裾が少し広がった甘い感じの白ブラウスでした。これじゃないな。
私は迷わず、もう一枚の刺繍入りのノースリーブのほうを選びました。すると店員さんは、「そうですよね」という風に大きくうなずいたのです。
私は正解を引き当てたような気がしてうれしかったのを覚えています。
試着のときも、ふつうは、「こういうパンツにも合いますよ~」とか、「スカートも合いますよ~」とそれに合わせたボトムスを持ってきてくれたりしますけど、そういうのも一切なし。
もう、このブラウス一点で何も言うことはないでしょ、という感じでした。
そのあとは、前回の記事に書いた通りです。
最近読んだ本、養老孟司さんと宮崎駿さんの対談「虫眼とアニ眼」に書いてありました。
虫取りの達人は、山を歩いていて誰も見つけられないような小さな虫を普通に見つけるそうです。そしてそれと同時に、自分の足元、山全体の天候、同行者の状態なんかも把握しているそうです。
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ディテールの差異を見極める眼と、全体を俯瞰する眼、この両方を備えている。
なんだか、接客の極意にも通じるなあと思いました。いやいや接客だけじゃないな、いろんなこと、この世界のすべてのことに通じるんじゃないかな。
自慢じゃないけど、わたし虫眼を持っているんですよ。ふつうに前を向いてあるいていても壁や足元にいる小さな虫にハッと気づくことがよくあります。
ルリタテハ
シロテンハナムグリ
そして気づいたら、この地球上に共に暮らすものとしてエールを交換し合っています。
みなさんも、よかったら虫を見つけたら「よっ!元気かい」と声をかけてみてくださいね。
虫たちの声はすごく小さいけれど、よおく意識を集中すればなにか答えてくれるかもしれません。