その後のはなし
こんにちは、今日は、前々回の文友Uさんのその後のおはなしです。
前々回で、電話にでたUさんの声がとても弱々しく病状が進行していると思い、悲しみに打ちひしがれた私ですが、その後、電話で話したUさんは、とっても元気で「今、実家の広大な庭の整理をしていて、毎日暑くて大変よ」と笑っていました。さらに、ずっと欲しかったティファニーのダイヤのリングをついに購入したことを写真付きで報告してくれ、まだまだ元気で死ぬ気がしない、と語っていました。
ああ、よかった。ダイヤのリングを買う元気があれば当面だいじょうぶだわとほっと胸をなで下ろしました(それにしてもティファニーの指輪ったら、うらやましい限りだわ)。
でもその後のメールのやりとりでは、「まだまだ生きているみたいで、うれしいような困ったような気持ちです。死にますよ、お気の毒にといわれてからちょうど1年経ちました。いろんな人に親切にしてもらったうえに、まだまだ生きるかもとは言いにくいです」とありました。
「余命一ヶ月といわれながら2年生きた人の話を聞くなかで、その人も「いつ死ねるんやろか。本当に死ねるんやろか」と途中から言っていたのが、すごくよく分かります」と。
わたしは、寿命が延びても手放しでは喜べない彼女の気持ちまで察することができませんでした。彼女は、ユーモアにあふれる人なので自分のことを茶化して「死ぬ死ぬ言って全然しなない、死ぬ死ぬ詐欺や」とか言ったりもします。
彼女のお母さんもまた毒舌な方で、「あんた、自分の葬式、初七日、四十九日まで全部手配しとき~お金も準備しときよ」と言ったりするそうです。もちろん、寂しさをごまかすためなんでしょう。そうでも言わないとやりきれない。でもどんな状況でもユーモアを忘れないUさんご家族はすごいと思います。
Uさんの弟さんの話もおもしろいです。お母さんに癌の話をするまえに最初に弟に話そうと思い、Uさんから呼び出されたときのこと。待ち合わせたファミレスに先に到着し、ステーキセットの1.5倍増しを頼んでいて、Uさんから深刻な話を聞いたあとも、しばらく神妙にしていたかと思ったら「そしたら、あんたが入ったあと、お墓はあとふたりしか入れんなあ。どうする?」と言ったとか。もうお墓の心配か!まだ生きてるってば~。
そしてUさんもおなじくステーキセットの1.5倍増しを負けじと頼んだという逸話があります。
やっぱりUさん家族は、人生の達人だなあと思います。
ひとつだけ確実はことは、人は必ず死ぬということ。そのときになるべく後悔の念をもたないように、いい人生だったなあと思えるように、そのために今を過ごすようにしたいです。
過去にとらわれず、未来に翻弄されず、今を見つめる。「いつか」も、「今度」も、もうなしです。
今だけを見つめていきましょう。