大丈夫?介護サポート〜その1:言葉の壁〜
前回の記事にいろいろなコメントを頂戴しました。ありがとうございます!環境は違えども、私の記事をきっかけに、みなさんのいろいろな経験やお話をシェアしてくださるとありがたいです。
さて。
外国人の介護サポートを受ける場合、やはり問題はつきものです。その問題について、少しずつ、紹介したいと思います。まずは、外国人だからこそつきまとう「言葉の壁」の問題についてです。
かくいう私も、台湾にいれば外国人なわけで、在台13年にもなりますが、まだまだ聞き取れないことが多いです。どうしても、病院のことと銀行のことは、いつまでたっても慣れないですね。銀行のことは、私自身が貯蓄などに疎く、めったに行かないし、運用とかもう理解しなくても生きていけると信じて、鼻から理解する気がありません。でも、病気や病院のことは「まあいいや」っていうわけにもねえ。
しかしここは漢字の国!書いてもらえばなんとなくわかります。遣唐使時代に荒波に揉まれながらも中国に渡ってくれたお坊さんたちに感謝です。それに、片言ですが、日本語を話してくれたり、コミュニケーションを取ろうとしてくれるお医者さんも看護師さんも少なくありませんから、心強いです。
つまり、私たち日本人には「漢字」という助っ人がいる。書いてもらえば、なんとか理解することもできます。
しかし、インドネシア、ベトナムなどからきた外国人介護サポートの人は、漢字を知りません。漢字圏でない人が漢字を理解し覚えるのは並大抵のことではありません。だから漢字を覚えません。っていうか、覚えなくても仕事はできます。
ではどうやって彼女たちは仕事をしているのか。
前回の記事にも書きましたが、台湾での外国人サポートが入る場面は「家庭」です。彼女たちにまず必要なのは、「日常」の言葉。主に家族やゴンゴンと会話が成立すればいいのです。
最初に来たサポートの彼女は、インドネシアからやってきたばかりの女性で、中国語が話せませんでした。
(通じない→仕事頼めない)+(経験不足→容量が悪い) = はい、次の人
というわけで、1ヶ月後、他の人と変わってもらうことになりました。
介護サポートを受け入れる家族は、コミュニケーションを取るために、もっとはっきりいうと、ちゃんと仕事をしてもらうために、根気よく、身振り手振り、仕事を教えなければなりません。(うちの家族の一部の方がわりとすぐに匙を投げちゃうタイプの方でして…とっかえひっかえ…両手くらい?)
言葉の壁を克服している(よじ登っている)彼女たち。彼女たちは、自分の国の文字を使って、「音」と「状況」で言葉を覚えます。すごいのは、私たち日本人よりはるかに速いスピードで中国語をマスターし、台湾語まで話せるようになる人もかなりいます。私は台湾語で認識できる言葉は数個しかありません。言葉を教える者として、彼女たちの言語習得の過程は非常に興味深い。ぜひとも教えを請いたい!
台湾にいる介護サポートの人は、日常の家庭でのサポート、通院時や入院時のサポートもします。家族が根気よく教え、そして彼女たちも根気よく学んで行けば、すぐにではないですが、クリアすることができます。通院の場合は家族も必ず付き添いますが、入院中は彼女たちにほとんどの仕事をお願いすることになります。看護師さんたちも、根気強く、教えます。それに今は、スマホという神様みたいなブツがある。
台湾の病室には、ベトナム語とフィリピン語とインドネシア語の張り紙を見かけることもあります。しかし翻訳版が全てのことに対して用意されてはいません。必ずやってほしいことについてだけです。例えば、動かせない病人の場合、体位を変えなければなりません。何時にどの向きという表には、この3つの言葉が書かれていました。私は台湾のいい合理性というか、順応性というか、そういうのを感じます。
家族でできることは家族で(介護サポート含む)やる。
プロが必要なところはプロがする。
なんらかの方法を使って、コミュニケーションして、やってもらう。
なにか、台湾の「自由度の高い助け合い」みたいなのがあるように思うのです。
一方、日本に目を移すと。
日本でトレーニングを受けている、もしくはすでに働いている外国人介護関係者の方々には頭が下がります。彼らが理解しなければならない用語は、日本人であっても理解するのが難しい専門用語だからです。その人たちに、体のケアと安全の確認と、さらには日本語での報告やら報告書がきやら、患者さんたちとのコミュニケーションやら、なんだか、もし私だったらと思うと…。わたしはきっと、そのプレッシャーに押しつぶされてしまうかも。
言葉の壁は、厚く、高いです。というか、一生よじ登らなければなりません。超えたと思う日は来ないかも。外国人の発音がどうのとか、敬語がどうのとか、もうちょっと大目に見てもらえるといいなあ。
それでは、下次見!
【プロフィール】
azumi 。長崎県出身、台北在住。アラフィフ真っ只中。職業:日本語教師として奮闘中。主婦の仕事は洗濯くらい?猫3匹+猫天使、夫。義母とはもちろん別居。現地化を超え、なぜか韓国人に間違われること多し(太ったときによく起こる現象)。座右の銘は「叩けよ、さらば開かれん」