普通の食パン: きゅうりとハムのサンドイッチ
「私の家って貧乏だったのかなぁ」
ランチの最中、友人が言いました。
子供の頃、おやつに食パンの耳を揚げたものが出てきたけれど、もしかしたら家計が苦しくて、母親がパン屋さんで耳をもらって来てはおやつにしていたのじゃないかしら、と。
パンの耳を揚げたおやつ、我が家でも時々出ていました。
塩味の時もあれば、砂糖や甘いきな粉がまぶされていたことも。
この後、他の友人にも聞いてみたところ、子供の頃に『パン耳揚げ』がおやつに出たという人が何人かいました。
おそらく、私が子供の頃はサンドイッチ用のパンがあまり普及していなかったのではないかと思います。そのため、サンドイッチを作る場合は薄い食パンの耳を切り落として使ったのでしょう。それで、余った耳をそんなふうにして子供のおやつに使った。あくまでも私の想像ですが。
最近は、美味しいことはもちろん、お洒落で個性的なパン屋さんが増えています。世の中のパンブームが下火になること無いようです。
かく言う私もパンが大好き。新しいお店を見つけるとすぐに足を運びたくなりますし、ずっしりと重く、ナッツやフルーツがどっさりと焼き込まれたいかにも外国のもののようなパンを見かけると買わずにはいられません。
ただ、年に数回、無性に「普通の食パン」が食べたくなることがあります。
私の「普通の食パン」とは、スーパーで売っている大手パンメーカーの食パンのこと。
もちろん、お洒落で個性的なパン屋さんにも、食パンはあります。とても美味しい食パンが。でも、なぜかスーパーで売られているものが食べたくなるのです。
『パン耳揚げ』の話をした後に、ふと思いました。
舌が覚えているはずの子供の頃のあの味を確かめたくなるのかな、と。
だから、時々「普通の食パン」が食べたくなる。
そんな時は、スーパーへ走って、一斤200円もしないような食パンを手に入れて、焼かないままにバターをたっぷり塗って食べるのです。(厳密に味を再現するならマーガリンの方がいいけれど)
ただそのままの食パンもそうですが、時々無性に『普通の食パン』で『普通のサンドイッチ』を作って食べたくなることもあります。
レシピとして紹介するような料理ではないのですが、今日は私のベストサンドイッチの作り方をご紹介します。
きゅうりとハムのサンドイッチ
- 食パンは8枚切りのものを、耳を切り落とさずに使います。
- バターを電子レンジの低温モードで温め、柔らかくしておきましょう。
- きゅうりは、厚さ3ミリほどの斜め切りにします。
- 食パン2枚にバターを塗り、1枚にはきゅうりをびっちりと敷き詰めます。
もう1枚にはバターの上にマスタードを塗ります。この時、できればディル入りのマスタードを使ってください。ディルはきゅうりと相性抜群のハーブです。 - きゅうりの上にマヨネーズを塗り、その上にハムをのせます。
お好みでいいのですが、私はサンドイッチにはホワイトハムがベストだと
思っています。 - 5の食パンにもう1枚の食パンを重ねて、パンと具材がなじむようにパン全体を手のひらできゅっと押し、2つに切ったら出来上がりです。
スライスチーズを挟んでも美味しいです。(写真はチーズ入りです)
「普通」とか「子供の頃の味」などと言っておきながら、ディルだのホワイトハムだの小賢しいことを言ってしまいましたが、これでもまだ私にとっては懐かしさを残したサンドイッチです。
そうそう、懐かしいパン料理(?)と言えば、子供の頃、風邪をひくと母が作ってくれたパン粥がありました。粥と言っても、甘いミルクティーにちぎった食パンを浸しただけのものでしたが、紅茶の甘さと、それを吸い込んでとろりとしたパンが美味しくて、風邪をひくのもわるくないなぁと子供心に思ったものです。
ミカスでした。
江ノ島カランコロン
我が家のサンドイッチのパンの耳は パンプディングになるのがお決まりでした。
ラーメン丼に 卵と牛乳とたっぷりのお砂糖。そこへ パンの耳をちぎっては放り込みます。そして、蒸し器で蒸して 出来上がり!
幼い頃のある日、母に「作って」と頼んだら なんと 「ご自分で」との返事。
「牛乳どのくらい入れるの?」 母曰く「適当」。
「お砂糖は?」 母曰く「適当」
そうやって ワクワクしながら 仕込んだものを 母が「適当」に蒸してくれました。
味よりも 何よりも 好物を自分で作ることのできる ワクワクとした気持ちを思い出しました。
ミカス Post author
江ノ島カランコロンさん
パンプディングですと⁈
なんとお洒落な。
その日、お母さまは何故江ノ島カランコロンさんに作らせたのでしょう。
小さなカランコロンちゃん、お母さまに一人前として認められたようで、うれしかったでしょうね。
お母さまの気持ちとカランコロンちゃんのワクワクを考えると、ちょっと嬉しくなります。
パンプディング、一度も作ったことがないのですが、今度作ってみようと思います。
kokomo
ミカスさま、きゅうりとハムのサンドイッチ、ディル入りなんておしゃれー。
このサンドイッチもお母さまの味がベースになっているのでしょうか?
そういえば「母の味」として思い出す味が全くないことに気付きました。母は決して料理上手という訳ではなかったものの、料理は毎食ちゃんと作っていたし、料理教室にも通っていたという記憶があります。そして、よく食卓に上ったメニューがあったのも覚えているのですが、味としては記憶が全くなく、懐かしいと思う味もないのです。
今でもなぜか思い出すのが父が作った料理の味です。全く料理はしなかった父なのですが、一度だけ味噌汁を私達家族に作ってくれたことがあります。恐らく単身赴任中に少しは料理をするようになったのを私達に誇らしげに見せたかったのでしょう。父が作ったことは知らされずに味噌汁は食卓に並んでいましたが、具のキャベツの大きさがあまりに不ぞろいで不格好だったことと、父がニヤニヤしていたことで、これは父が作ったな、とピンときました。味噌汁に口をつけると父が「食べたぞ!食べたぞ!」と小躍りしていたのを思い出します。味といえば、出汁が全く出ていず、味噌も足りない、そして火を入れすぎてヘロヘロになった歯ごたえのないキャベツの入ったよくわからない汁物でしたが、嫌な記憶としてではなく未だに舌の奥に残っています。
お料理上手なミカスさんのお母様のことだから、パン粥やエビチリだけではなく、たくさんのお料理がミカスさんの子供の頃の思い出と結びついて舌の奥の方に残っているのでしょうね。
私の子供達は、大人になったときに何か私の作った料理を「母の味」として思い出すのでしょうか?なんだか「納豆ご飯」って言われるような気がします(笑)。
ミカス Post author
kokomoさん
ディルは私が大人になってから加えましたが、基本的には、私が子供の頃に母が作ってくれたサンドイッチです。
子供の頃の料理って、美味しいからというよりも、その料理にまつわる出来事や思い出がある方が記憶に残りますよね。
kokomoさんのお母さまは毎日料理を作っていたけれど、それに比べてお父さまのお味噌汁はあまりにも珍しい出来事で、強く記憶に残っているのでしょうね。
さほど美味しくなかったとしても、嫌な記憶ではないというのが素敵です。
きっと、納豆ごはんも、楽しいご飯の記憶としてkokomoさんのお子さんたちの中に残りますよ。