年越しの記
先月の末から3週間、オットがイギリスの実家に帰省したので、年末年始はひとりで過ごした。
ここ10年くらい、クリスマス休暇はだいたい2人で行っていたのだが、今年はティーちゃんの死にかけ問題と、職場の図書館戦争問題で、私は行けないことになった。
にわかひとり(と2ひき)暮らしは、心細いがちょっとだけわくわくする。年末年始は、どうせひとりだし、大掃除もしない!今年は喪中だから、特別には料理もしない!
本を読むのだ。年明けにヤングアダルトのおすすめ本リストの選定がある。候補にあがっている本を、近所の図書館に行って、かたっぱしから借りてくる(仕事かよ…)
そのために、こたつも出した。
28日に仕事納め、29日に友人や妹と忘年会(これはとても楽しかった)。
そして迎えた、計画ではぬくぬくと本読むはずの30、31日、あろうことか……
…掃除をはじめてしまった。
己が憎い。真面目か!!
やらなくても死なないのが掃除、始めると止まらないのが掃除である。この世のすべてにあてはまりそうな標語だ。
最初は、台所だけちょっと…と思っていた。しかし始めてみると案の定、おそろしい…ものすごく汚れている…。
換気扇にレンジフード、ステンレスのラック、流し台の下の戸棚…
ここに越してきて以来ため込んだ、大量のデッドストック(賞味期限の切れた乾物類)もぜんぶ捨てた。
掃除のおそろしさは、やればやるほどきれいになるところだ。汚れを落とす快感、達成感という麻薬。
机に積まれた紙類もだいたいぜんぶ捨てる。古びたオットのYシャツ、はかないのにとってある靴下、捨てる。
生きてるだけで物は増えるし、あちこち汚れるなあ。
以前、あまりにも散らかった部屋で、オットが言った言葉を思い出す。
「熱力学の第二法則から言えば、すべての事物はエントロピーの増大を免れない。したがって掃除という行為は宇宙の法則にあらがうものだ。」
そして、「それゆえに人類は悲劇的で美しい」…
けっきょく、2日間とも、エントロピーとの闘いで暮れた。
大晦日、隣家の子どもが大根を、裏のおじさんが黒豆ときんとんを持ってやってくる。ここは昭和なのか。
夜はテレビ。紅白の聖子ちゃんに度肝を抜かれ(前髪!!)、声もかわらんなー、と感心していたら、誰かがツイッターで「歌のキー下げてる」と言っていた。
いわれてみればほんとうだ。時は流れる。この世はやはり平成だった。それも、今年で終わる。
2018年、私の7大ニュース。
2月、宝物のような冊子に参加させてもらう
『ちいさないきものと日々のこと』
5月、祖父いなくなる
7月、茅野のアノニムギャラリーで祖父の展示
図書館戦争勃発
9月、西荻窪もりのことで祖父の展示、『祖父の創作ノート』作る
10月、ティーちゃん死にかける、手術
11月〜図書館戦争激化
12月、オットの義母入院する
そして、友人や大事な人々のところにも、大きな出来事がいくつも起きた。
にんげんもねこもいぬも、ほんとうによくがんばった。
年をとるほど、同じところにとどまっていられなくなる。砂が動くように、いつのまにか押し流されている。
できるだけおもしろく、怒るときはちゃんと怒って、この銀河でエントロピーまき散らして生きていこう。
今年もよろしくお願いします。
(で、本は読んだのか)
By はらぷ
※「なんかすごい。」は、毎月第3木曜の更新です。はらぷさんのブログはこちら。
※はらぷさんが、お祖父さんの作ったものをアップするTwitterのアカウントはこちら。
かつぶ
はらぷさん、大波小波の一年でしたね。
七大ニュースのほとんどを私も同時進行で知っていた(というか勝手に一緒に一喜一憂していた)ことに「なんかすごい(あらタイトル)」と驚きつつ「縁って不思議だなあ」と感じ、けれどもその縁の総元締めが五月の風にのっていってしまったことにまたしんみりしています。
はらぷ Post author
かつぶさま
いただいたコメントに気がつかず、10日以上も経過してしまっていました。ひらにお許しを!
本当ですね。ざんぶとくる波、ひたひたと効いてくる波、忙しい自分がなんだか冗談みたいに思える日々の中で、かつぶさんと猫マスターズ諸氏との言葉のやりとりが、ふわふわと浮きがちな足をしっかり土に戻してくれるだいじな重み(いい重み)になってくれていたような気がします。
5月の終わりと一緒に行ってしまったじいさんが、作ってくれた不思議な縁よ、ほんとうにありがとう。雲のうえで、みんなでおいしいもの食べる、なんて日が、いつか来たりするのかなあ。我ら歴代の猫らも一緒に!