髪を切った話
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ここのところ、実生活でも世の中でも、鬱々となることばかりが起きていて(と感じている)、身体的にも忙しい。すっかりメンタルが弱っていた半月前、このようなツイートがタイムラインに流れてきた。
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“たまにメンタルが死んじゃうと大変なことになるのでメンタル死亡保険という概念を導入して毎月積み立てしてメンタル死亡時に5万の保険金がおりるという制度を勝手にやってんだけどすごくいい 先日死亡したので美容院とマッサージ屋に行った後1人で1万のいい肉食いにいったら無事生き返った”
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(あめこチャン)という人のすばらしいツイートを、誰かがリツイートしてくれていた。
メンタル死亡保険…。だれだこのような画期的なシステムを考案したのは。(あめこチャンです。)
保険をかける人と保険金がおりるかどうかの判断をする人が同じという構造上の問題はあるが、そもそもおりるかどうかの判断ができるのはかける人しかいないのがメンタルの特徴である。
○未加入のわたしだが、さっそくその概念を適用すると、死亡とまではいかずとも、多少の見舞金くらいは出てよいと、保険会社のわたしが判断した。
そしてこのツイートをみた2日後に、美容院に行って髪を切ってきました。結論として、一時的にせよかなり復活した。
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担当のHさんによると、私が最後に髪を切ったのは、昨年の10月だと言うことである。なるほど…。保険金が下りなくとも、行ってしかるべき事態だった。
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○ここ数年は、パーマをかけてまとめやすくした髪を、下めに結んで片方の肩に流していた(肩こり防止策)。
(中島慶子さんが描いてくれた、5割増のありがたいアイコンをご参照ください。)
その髪がどんどん長くなり、ついには仕事中に胸元に付けている名札にかかって見えなくなる不具合が発生していたこの数ヶ月であった。
それを、ギリギリ肩につくかつかないかくらいまで、20センチくらいも切ってもらった。
軽い!
髪の重みのせいで、毎日気が重くだるかったんじゃないかと思うくらいである。
髪の毛を人にがしがし洗ってもらうのも刺激になるし、簡単なマッサージまでしてもらい、デジタルパーマをかけてもらうあいだは、電極に繋がれてゴーゴンのようになっていく我が身を楽しんだ。
そして床に落ちた髪の量がすごい!黒い犬が一匹作れるくらいある。さっきまで私を形成する組織の一部だったが…。○
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○お店の人は、私のことを「ときどき山から里に下りてくる人」くらいに思ってくれているようで、私があまり口がきけなくても、気にしない。
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昨日には、ヘナで白髪も染めてもらった。
これはじつに、昨年の5月以来だということが判明した。
肩まで髪を切ったら、前回染めた部分はほとんどなくなってしまった。1年半あまりでこんなに伸びるのか。
髪だけいったら、私はもはや一年半前の私ではない。
ところで、私は髪がとても多い。
髪が多い、というのはどういう意味か、以前聞いてみたことがあるのだが、「髪の太さもありますが、毛穴の数と、そこからはえている毛の本数です。はらぷさんの場合、すべてですね!」と言われた。
なんとなく、その毛を生やすエネルギーを、別に回してもらえないかと思う私である。たとえばもうちょっと胸を大きくするとか、そういうことである。
パーマをかけるときも、ロットが足りず2セット分使っているし、使うヘナの分量も相当だ。
毎回みんなでよってたかって大仕事だし、洗い流すのも大変だし水道代もかかるし、毛量が多い客は、お店にとって損なのではないか…。
そこで今回、「他の客に比べ、元手のかかる私は、あまりひんぱんに来ないほうがよいのではないか」というかねてからの懸念を伝えたところ、
「そんなことを心配するくらいなら、もっとコンスタントに手入れにきてください。」
と怒られた。
美容師さんにとっては、せっかくした施術が、有効期限が切れたまま放置されている状態は気になるらしい。ライフ0になってからしか来ない私のような客は、砂漠に水をやるようなものなのだろう。
しかし、今後コンスタントにがんばれるかというと、それは約束できないので、代わりに、ヘナをしてもらうときに私がいつも楽しみにしていることを伝えることにした。
それは、ヘナを刷毛で髪の毛の根本から塗り込んでいって、最終的に頭全体がヘナの泥でつやつやのカチカチになることである。
コームでなでつけられた草色の髪は、SFっぽくも、キュビズムっぽくもあり、そこにサランラップがかぶせられて、さらにサイバー感が増す。
そのとき、私はいつも、「タマラ・ド・レンピッカ」の絵を思い出す。
毎回、「タマラ・ド・レンピッカ」みたいだなー、と思うのが、好きなのである。
私なりに、美容院は楽しみにしているということが、伝わっただろうか。
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by はらぷ
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※「なんかすごい。」は、毎月第3木曜の更新です。
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AЯKO
メンタル死亡保険!私は6月ぐらいからひんぱんに下りてるなあ。弱気になると、しょっちゅう保険下ろしちゃうので、それは単なる散財というのではないか、という気がしてきた、、。
職場でもコロナが始まってから、慎重派、中間派、開き直り派(私)、とかなり立ち位置の濃淡があるので、呆れられ嫌がられてるかもしれませんが、メンタルが弱ると免疫落ちるので、自分がやっぱり大事です。
私は自宅でヘナを染めていたのですが、頭がカチカチでラップしてる時に誰か来たらと思うと、気が気ではなかった(笑)。冬は頭寒いしね。
はらぷ Post author
AЯKOさん
こんばんは。
AЯKOさんもですか!そうなんですよ、しょっちゅう下ろしちゃう。もしかして予防保険もかねてるのでは…。
人によって、かなり立ち位置は変わりますね。私たちも、利用者さんも。
さいきん、コロナ以降ずっと顔を見せていなかった常連さんがまた利用しだして、再会を喜びました(一方的に)
私はといえば、大して対策をしていないくせに、外出するのだけは気が進まない…という、経済にも感染防止にも寄与しない不毛な毎日を送っています。
AЯKOさんはヘナ自宅派かー。私も家でやってみたいんですが、美容院に行ったときに怒られそうで、なかなかふんぎりがつきません(小心者)。一年も行かないのは平気なのに!