◆◇やっかみかもしれませんが…◆◇ 第65回 丘の上には ララ 緑がもえる~♪
SNSでのインテリアや食卓の画像にグリーンは欠かせない。グリーンといっても、ほうれん草とか青汁ではなく、切り花や観葉植物のグリーン。いかにもオシャレ、明らかにボタニカル志向なお宅に限らず、地に足のついた、どちらかといえば地味で、浮かれず質素を謳っている(声高ではない分、明確に聴こえたりする)方の「インスタにこういう写真をあげる趣味はないんだけど今回はたまたま」的な画像にも、偶然を装いつつグリーンはたいてい映り込んでいる。昔から一般家庭内にこんなに寛容‥ちがった、観葉植物ってあったっけ?
家の中に花は欠かしません、特別な日じゃなくても花は買います、だってあなた、生活が瑞々しくなるし、花を飾るとその周りを汚くしておけなくなるから、自然と部屋を掃除するようになるじゃないですか、ってことで生活の知恵でもあるんですよ、観葉植物も同じです、それに室内に無機物以外が棲息していることから発生する精神の落ち着きや安心感は理屈なんかじゃありませんし、別にかっこつけてるわけでもありません、おっほっほ‥
というのはあまりにもベタなイメージだろうか。
一見、決して華美ではない、けれども決してお安くもない北欧風インテリアがメインのお宅訪問の本を見て驚いた。めくるページめくるページ、グリーンがある‥どころではなく、蔓延っている。どうやら流行りは、観葉植物を床に直置きするのではなく、リビングやキッチンの棚の上に乗せたり、はたまた天井から吊るしたり、フックに掛けたりするハンギングプランターと称されるものらしい。Sunday carpenterが設置したとおぼしき無印良品風の高位置の棚から、白い壁紙を背景にセンスよく曲線を描く蔓や、モビールのように威圧感なく、天井から吊らされ風に揺れる葉脈の群れは、いきものというよりかざりものだ。
いや、もちろん、観葉植物にはかざりものの要素がバリバリあるのだろう。「観」葉植物と命名されてるわけだし。でもこれらを、下に置かず、宙づりや棚に置く理由として迷いなく「部屋が狭くならない」「掃除がラク」と言われると、なぜだろう、少しもやもやする。このもやもやはうまく説明できない。観葉植物は置きたいけれど、部屋が狭くなったり掃除がめんどうになるのはイヤ、ということのどこが悪いんだ?と言われたら、悪くありません、おっしゃるとおりです、もやもやするわたしがいけないんです、でもそんなあなたがあまり好きじゃありません‥って感じか。
ちなみに、わがやには鉢植えが一個もない。どころか、ベランダにも植物の類はない。たまに仏壇や玄関先に切り花を飾るくらいの、ボタニカル推進派のひとからみればなんとも味気ない、人生の半分を損していると言われかねない潤いに欠けた暮らしである。
室内に観葉植物を置かないのは、以前ネコが土をほじくったり葉を食べようとしたのを目撃したからで、ベランダに関しては、ベランダは共用スペースと聞いているので、どこまで「私用」していいかよくわからないし、避難通路の確保も気になるところだからだ。でもなんといっても、呼吸器に難があって「できれば土いじりはしないでね」と言われているのが大きな理由だ。
なんだ?書いてきたことは全部、要するに、できないものの、まさにやっかみじゃないか?
by月亭つまみ
にゃまの
こんにちは
観葉植物をつるすだけで小洒落た部屋になるマジックは確かにその通り。ただし手入れしない観葉植物ほど生活の荒みがわかるのもまた事実です。ようは好きでお世話しないと続かないのが植物とのつきあい。エアープランツ枯らした人知ってます。
私は花を飾る習慣がないので、何十年も観葉植物や小さな盆栽を育てて部屋に置いていました。東京砂漠のマンション住まいにとって、小さな緑は人に見せる為と言うより、生き物が近くにいるちょっとしたペットのような存在でした。
それなのに5年ぶりに猫を飼うことになったら、こやつがそれらをかみちぎる狼藉を働くので、あまりにかわいそうで全撤去し、猫のこないすみっこやベランダに追いやられました。緑のない部屋は砂漠のようで、そこにライオンのように猫がのびています。
つまみ Post author
にゃまのさん。お久しぶりです。こんにちは。
そうかー。
わたしの場合、生活の荒みが露呈するリスクを少しでも減らしたい気持ちもあるのかもしれないと思ったりしました。
盆栽への猫の狼藉!
そうなのですよね。
緑の香りに惹かれるのか、動物の本能でもあるのか。
口にして猫になにかあっても心配だし、そうなってしまいますよねえ。
砂漠に横たわるライオン、シュールでクスっとしてしまう絶妙な言い回し、好きです。