12月16日はカレー記念日

カレー記念日

映画館 尿意襲来 中座なり

12月16日はカレー記念日

カミュエラ

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カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

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なんかすごい。

隣家の子ども

 

 休みの日の午後、近所の図書館に行こうと家を出て、路地を曲がったところで「Oさん!」と後ろから誰かに呼ばれた。
そして何か気配を感じたと思ったら、いつのまにか真横に隣家の女児がいて、私を見上げていた。

この女児ははあちゃんといって、現在小学2年生である。
お隣は、うちとだいたい1年違いくらいでこの路地に引っ越してきて、8年くらいになる。そのころ、はあちゃんはまだ赤ん坊だった。

 住人と配達のひと以外入ってくるものもほとんどない袋小路の路地で、うちの玄関につづく通路とお隣の庭が接しているので顔を合わせる機会も多く、またこのはあちゃんがとても人懐っこい子どもなので、けっこう仲良くしている。
はあちゃんは面倒見がよく、会うと月桂樹の葉っぱをちぎってくれたり、ときどきは「その服かわいいね」とほめてくれたりする。

 

 「おお、こんにちは」と言うと、はあちゃんは「あのね、シティホームズの友だちんちに行くところなの。」と聞いてもないのに教えてくれた。
「あっそう、私は図書館に行くところなんだ。」と言うと、「ふーん」と言ってついてきた。

シティホームズは、図書館にいく道すがらにある、わりと大きなマンションである。
マンションの前にさしかかると、その友だちがエントランスのところで待っていて、「このおとなはいったい誰?」という顔で私を見つめた。
「隣の家のものだよ」と言うと、ますます意味が分からないというふうだった。そして、「今日は病院に行かなきゃいけないから遊べない。」とはあちゃんに告げた。

 

 はあちゃんと友だちが何か小さい声で話しているのを少し離れたところで待っていると、しばらくしてはあちゃんは、「けいかくへんこうー」と言いながら戻ってきた。
そして、じゃじゃーん!と言いながらバッグから「チップスターうすしお」を取り出して、急に食べはじめたので、あ、ちょっとがっかりしているなあ、と思った。

「残念だったね」と言うと、「ま、ひさしぶりに図書館で本でも読もっかな。」と大人びた物言いが返ってきた。
そこで私は、いい道連れができたと思って、「行こう行こう」と言って一緒に歩いていった。

 

 図書館は、はあちゃんの通う小学校のすぐ隣にある。
歩いていると、学校帰りの児童や自転車に乗った先生とつぎつぎにすれ違う。

はあちゃんが、「あ!○○先生!」と言うと、先生ははあちゃんに挨拶して、私にも挨拶する。なんにんかはそのあとに、「あれ?」という顔をする。

はあちゃんの母親を知らない人は、私を「はあちゃんのおかあさん」と思い、知っている人は、「この人誰?」とあやしんでいるんだな、と思うと、「ブー!どっちも不正解です!正解はただの隣のひと!」と言いたくて、愉快だった。

まあ、こうやって歩いていたらふつう、はあちゃんのおかあさんだと思うよな、と思ったら、ちょっと嬉しい気持ちになった。そして、そんな気持ちになった自分にびっくりした。
おかあさんと思われたら嬉しいなんて、そんな感情が自分にあったなんて、ぜんぜん知らなかった。

 

 はあちゃんと同じクラスだという男の子にも出会う。
この子ははあちゃんの母親を知っているらしく、私の顔を見て、「誰?」とほんとに口に出して聞いた。さすが気持ちと体が直結している2年生男子だ。

「隣の家のひとだよ」
と言ったら、しばらく思案したのち、
「それって…、もうひとりのおかあさんってこと?」とはあちゃんに聞いていた。

 

もうひとりのおかあさん。どういう思考回路でそうなった。

 

そこではあちゃんは正確を期そうとして、「違うよー、隣に住んでる0さん。ほんとはシティホームズで○○ちゃんと遊ぶつもりだったんだけど…(中略)Oさんは図書館に行くところで…(後略)」と長い説明を始め、ますます彼を混乱させていた。

私が、ふと思いついてもう一度、「ただの隣んちのおばさんだよ」と言うと、「あー。」とやっと得心がいったという顔をした。

さっき会った友だちといい、「隣の家のひと」って言ってもピンと来ないけど、「おばさん」と言えば理解できるのか。
「おかあさん」でも「○○ちゃんのママ」でも「先生」でもない、ただの大人の女の人っていう概念がまだないのかもしれない。おもしろいなあ。
それとふたりとも、隣の家の人と連れ立って歩いているってことが、そもそもちょっと意味わからないって感じだった。

その子にさよならを言ったあと、「もうひとりのおかあさん」ってなんかよかったよね、とはあちゃんに言ったら、
「○○はバカなんだよ」とあっさり言われたので女子はだいぶおとなである。

 

 またしばらく歩くと、はあちゃんは「ねえねえ、0さんは鈴カステラって好き?」と聞いてきた。

「鈴カステラ!好きだよ。」と答えると、
「じつは鈴カステラがうちにあるんだけど、それはもらったんだけど、みんなの分あって、二つセットになってて(?)、はあちゃんの分もあるんだけどはあちゃんは食べてないの。あ、嫌いなわけじゃないんだけどね。」
と、なんだかよくわからなかったがつまり、
「それを0さんにあげようかと思って」というのだった。

「そりゃまたどうして」
と聞くと、
「だってー、チョコもらったのにお返ししてないからさ」と、こないだハロウィーンの週末にうちに魔女の姿で回覧板を届けにきたから、チョコレートをあげた、そのことを言っているのだった。

「そんなの気にしなくていいよ」と言うと、「えー、でもさ、それじゃ悪いから」とまた大人みたいなことを言って、急に思い出したように「ポテチよかったらどうぞ」と言った。
そこで、「じゃあお礼にポテチをもらうよ」とポテチをもらって食べた。

 

 徒歩10分ほどの図書館に着くと、まさかの休館日で、ふたりでがっかりして、返却ポストに本だけ返す。

しかたがないので引き返し、はあちゃんに「どうするの?」と聞くと、「んー、○○公園でブランコ乗りにいくけど0さんは家に帰る?」と聞かれた。
あっブランコに誘われている!
でも、私はスーパーに行かなくてはならない。

「うーん、残念だけどいなげや(スーパー)に行くよ」と言うと、じゃあこっち!と道案内をしてくれる。

 

 途中のブランコがある公園で私たちは別れた。そのさい、はあちゃんはいなげやにいく近道というのを教えてくれた。

「このまっすぐのところの車のところを右にいくの、それから行きすぎちゃいけないんだけど左に行って、道がこうなっているからこっちのほうに行くの。」
と両手で分岐を作って、右手のほうをひらひらさせた。

それから、
「そうすると犬の置物があるんだけど、すぐわかるから。友だちの通学路だから友だちが言ってたから、いなげやに近道だから。」
と一気に言った。ぜんぜんわからない。

 

「えーっと、ここをまっすぐいって右にいくの?あの坂をのぼるっていうこと?」
と聞くと、また、
「うーん、そこをまっすぐ行きすぎるとだめなんだけどまあ行っても前のセブンイレブンがあったとこに出るからそれでもいいんだけど、右に行って行きすぎるとだめでそれで坂をのぼって、道がこうなっているからこっちのほうだから。」

と、「わかった?」というようにまた右手をひらひらさせた。

ま、まだわからない…。

…とは言えずに、「わかった。行ってみる。」と言って、「じゃあね」と歩き出そうとすると、はあちゃんは「とにかく行ってみて。わかんなかったら誰かいるひとに聞くといいよ。ちゃんと行けるから。じゃあね。」
と言って、もうブランコをこいでいた。

ともかく近道じゃない方法でよければいなげやに行く道は知ってるし、最初に曲がるところからしてよくわからないが、わかんなかったら適当なとこで曲がろう…とずるいことを思って歩き出し、はあちゃん、見張ってないといいな…としばらくしてこっそり振り返ったら、はあちゃんはものすごいいきおいでブランコをこいでいて、私なんて見ちゃいなかった。

 そして、はあちゃんのいうとおり、車のところには右に行く曲がり角があり、曲がって行きすぎないところの左手に坂があり、坂を上るとちゃんと分岐があった。そして、分岐の右手の家の玄関先に、犬の置物があるではないか。

分岐のところの犬、(とワニと子羊)

そこで私は最短距離でいなげやに到着し、たいへん満足して買い物をして帰った。

 

 オットが家にかえってからその話をすると、
「それさ、計画変更して図書館に行くってこと、はあちゃんのおかあさんにちゃんと言ったの?」
と聞かれた。

えー!そんなこと考えもしなかった!
と言ったら、やれやれという顔をされた。
そういうものなのか。
おかあさんになるというのはずいぶんめんどくさそうだな、と思った。

 

byはらぷ

 

 

 

※「なんかすごい。」は、毎月第3木曜の更新です。はらぷさんのブログはこちら

※はらぷさんが、お祖父さんの作ったものをアップするTwitterのアカウントはこちら。

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コメント、ありがとー!

  • あ き ら

    めっちゃ楽しく読みました!

  • saki

    はらぷさんの文章が好きです。
    今までの記事も素敵で、コメントを残したかったのですが、書けるような言葉を持たなかったのです。

    でもでも!今回のお話は、うちの小3の息子に置き換えて、にんまり笑ってしまいました。
    ちょうど、いなげやもウチの近くにあるから、よけいにリアルに!

    いや、おバカな男子の側なもんで、はあちゃんとは違うけど。
    はあちゃん、お返しの発想ができるなんて、しっかりしてるなあ。

    付いて来てくれるなんて、きっとはらぷさんは、はあちゃん的に「面白い素敵な大人」なんでしょうね。
    いいなあ。子供は正直だから。
    私も、どうせなら、そういう大人に思われてみたいものです。

  • AЯKO

    この子行動が自由だな~。計画をどんどん変更していくあたり、親の立場としては居場所がわからずハラハラしてしまうかも。
    自分も子供の時このぐらい自由だったのに、親になった今は居場所や行先を管理してしまうようになって、こう事件が続くとやむを得ないことなんだけど、子供にとって良いことなのか、つい考えてしまいました。
    はあちゃんがあなたを対等に接していろいろ教えてくれるところ、とてもいいですね。親や先生の立場だとつい上からになってしまうけど、隣の人だから!得難い距離感かもしれません。
    私もうちの子達と隣の小1男子と図書館行ったり、本屋行ったりしてる。一人増えるとちょっと不思議な感じです(笑)。

  • カラシ

    小学生女子の世界を垣間見せて頂いて楽しかったです。

    そういえば大昔、大人って理解が悪くてしょうがないな
    なんて、思ってませんでした?
    そんな女の子の時もありましたね。

  • はらぷ

    はらぷ Post author

    あきらさん

    こんばんは!読んでくださってありがとうございますー!
    書き終わって更新したあと、ああ、なんでこんな書き方しちゃったんだろう!と思うことばっかりなのですが、その日のうちにあきらさんがコメントしてくださって、ものすごくホッとしました。これからもがんばります!

  • はらぷ

    はらぷ Post author

    sakiさま

    こんばんは!なんと嬉しいお言葉を…ありがとうございます…!

    sakiさんもいなげやユーザー!(笑)ということは日々あの「ぴよぴよ、ぴよぴよ」を聞いておられるわけですね?仲間!
    そして、息子さんが小3男子!!
    小3男子は、この世でもっとも面白い生き物のひとつだと思います!(←失礼)
    お母さんにしてみたらものすごい大変な毎日とお察ししますが…(笑)

    子どもの行動や言動って、周りからするとなにがどうしてこうなった…!って感じでも、その子の中では一本ちゃんと道理が通っているんですよね。
    でもその道理の繋がり方があまりにもオリジナルすぎて、ああ、かなわない…と思うことばかりです。なんで張り合ってんのかって話ですが。

    はあちゃん、素敵と思ってくれているかどうかはたいへん疑問なのですが、大人の大人の生態に、興味しんしんということはたしかだと思います(笑)

  • はらぷ

    はらぷ Post author

    sakiさま

    あ、まちがえた。「他人の大人」の間違いでした!

  • はらぷ

    はらぷ Post author

    AЯKOさん

    こんばんは。そうなんですよね。自分が親だったら、今どこで誰といるかちゃんと知っていて、安心したいと思うと思います。私すごい心配性だし。
    それなのに、オットに言われてはじめてハッと気付くというお気楽オトナ。ああ…。
    自分が小さいころは、行き先も言わずに当てもなく外に遊びにいっていましたが、なかなかそういうことも難しい世の中だわ…。
    それでも、子どもたちの毎日には、ちいさな未知との遭遇がいっぱい転がっているんじゃないかなあと思います。そうだといいな。

    なんか、自分が小さかった時の記憶からいっても、子どもって、子どもがいない大人のことは、その人が何歳だろうがどうも自分たちの側の人間だと思っているんじゃないでしょうか。

    隣の子も一緒に図書館、いいなあ。その子との関係も、子どもたちの会話を聞いているのも面白そう。
    友だちのお母さん、っていうのも、なかなかクールな存在ですよね(笑)

  • はらぷ

    はらぷ Post author

    カラシさん

    こんばんは!
    大人って理解が悪くてしょうがないな、そんなふうに、思ってました!思ってました!
    わかってないな…って顔を見るとわかりますもんね。ピンときてない感じ…。それで、とんちんかんでとおりいっぺんな感想を言ってきたりして。
    この大人が自分たちの側のにんげんかそうでないか、っていうのを、子どもは皆、かなり冷徹に見極めていたような気がします。
    野生動物か(笑)
    カラシさんの子ども時代、見てみたい。手強そうだなあ(笑)

    思えばけっこう高校生くらいまでそんな感じだったかもしれません。長い野生時代だ。

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