今週木曜日からの新連載「なんかすごい。」、はらぷさんをご紹介します。
「文化資本」という言葉は、1970年代にフランスの社会学者ピエール・ブルデューさんが作ったそうですが、わたしは、最近、湯山玲子さんの本で知りました。
平たくいうと「本のたくさんある家には本好きの子が育つ」「音楽好きの家庭の子は、音楽的素養が育つ」というようなことですね。本や骨とう品などのモノも資本だし、学歴や資格もそう、あと日常的なふるまいやセンスも文化的な資産として継承されるというわけです。
家庭内で相続する「文化的な財産」ってことか。
「本・骨とう品などのモノ」「学歴・資格」「日常的なふるまいやセンス」の三大文化資産のなかで、もっとも継承難易度が高いのは、3番めの「日常的なふるまいやセンス」の部分じゃないでしょうか。
WIKIPEDIAには、「慣習行動を生み出す諸性向、言語の使い方、振る舞い方、センス、美的性向など」と書かれていますが、これですよ、これ。この継承は、「親の世代の生き方そのもの」が伝わるので、両親だけでなく一族郎党親戚のおじちゃん・おばちゃんまで含めた「文化的厚みや洗練」が要求される。一朝一夕には作れないわけですね。「成金」の限界とその魅力もそれゆえに存在するわけですが。
なぜ、こんなことを長々書いたかというと、今週の木曜日から「なんかすごい。」という連載をスタートしてくださるはらぷさんには、その3番目のふるまいやセンスなどの「文化資本」の豊かさをヒジョーに感じるからです。
セレブ風とかお上品というような意味じゃないですよ。
その真逆。慎ましく寛容かつ頑固で、ユーモアがある。
わたしは、そういう人に、「あー、豊かな文化資産を受け取っているなー」っていつも思うのです。
はらぷさんのブログには、雑草を生やしただけの庭が「ジブリみたい」といわれて心底びっくりした話や、80代の和子おばちゃんが小麦粉まんじゅうを作ってくれた話が書かれていていますが、タオルを豪快に頭に巻いてお饅頭を作る和子おばちゃんの姿とその背景!やっぱり、文化資本、ぶあつい!
はらぷさんのおじいさんにあたる100歳の原田栄夫さんがティッシュで作る「ちり紙人形」の「おしゃれ感」もやっぱり、やわらかくてぶあつい。
(そしてこの原田栄夫さん「ものすごくハンサムだった」と小麦粉まんじゅう記事に書かれていて、さらにお人形が素敵に見えてくる)
そういうわけで、はらぷさんが見つける「すごい」ことがつづられる「なんかすごい」。毎月第3木曜日です。 月に一度のお楽しみです。よろしく。