だれと何をはじめるにしろ夢や希望を最初からわかちあうのは簡単じゃない。でも、それでいい。
私の友人にインターネットでオリジナル小物を販売している人がいます。センスがいいし、しっかりと運営しているのでウェブショップは順調に成長中です。ひとりではじめたのでなく、趣味のあう友だちをパートナーにスタートしたそうです。子どもが小さいときにはじめたので、夏休みはウェブショップも閉店。家事や子育てとのバランスをとりながらの営業でした。
ある日、パートナーの女性が「実店舗をもとう。そのほうが信用もされると思う」と提案したそうです。友人は驚き、「実店舗は家賃だけじゃなくて、いろいろお金がかかるからイヤだ。わたしはオンラインだけでやっていきたい。やるなら、自分でやって」と言ったのだとか。この後もショップはしっかり続いているので円満におさまったんだと思います。
こういうことって「誰かと何かをはじめた」ときには、かならずあることですよね。「オンラインショップをはじめる」という最初の一歩は同じでも、一人は「オンラインショップを足掛かりに実店舗をもちたい。お店はこんな場所に開いて、こんなインテリアで、こんな商品を置いて…」という夢をもっているのかもしれない。片方は「オンラインショップを少しずつ育てながらSNSで自分のモノづくりや日々の暮らしを発信してデザイナーとして成長していきたい」と将来像を描いているのかもしれません。もしくは「このままのゆるい感じがいい」と思っていることだって十分ありえます。
だれと何をはじめるにしろ、こころのなかにある夢や未来を最初からわかちあうのは、簡単じゃないです。不可能だといってもいいと思います。
ひとつには、そんなことをしていたらお互いの「違い」ばかりが目立ってはじめられなくなるから。もうひとつは、それぞれが自分の夢や欲を語るという行為をためらうから(あいまいだったり、なんとなく通じているだろうと高をくくったり、自分でもわかっていなかったり、遠慮したりして)。そして最大の理由は、「いま、この人といっしょにはじめたいから」。それが一番切実な希望だから優先するのです。
だからこそ、少しずつ丁寧に語っていく、伝えていく必要がある。さっきの友人の話は円満におさまっているのでそれでいいんですが、「実店舗をもちたい」という未来図の中身をもっともっと聞いてみる。警戒心や疑いや面倒くささは脇においといて聞いてみる。そして自分の思いもひとつひとつ正確に、細かく、ほぐすように伝えてみる。
じゃあ、こんな道があるんじゃない?
と、お互いがいっしょに挑戦できる新しい回路を見つけられたらすばらしいし、どちらかが納得してあきらめてもいい。夢も希望も欲も、しがらみも能力もキャラクターもそれぞれ違うから、予期せぬ活路を見出せる可能性がある。その創意工夫のおもしろさをオバフォーでもていねいに探っていけたらいいなあと思います。
今日は、久しぶりに由美子さんのキモノ記事が更新されています。「これきに」のコメント欄に月まちさんから届いた器がずらっと並びました。土曜日に更新された「おしゃれ会議室」にも質問など寄せてくださいね。
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