第12回:マンガから見える風景
マンガに影響されたもの、他にも続々つづきます!
※第11回はこちらです。
「女と人生」に限らず、マンガに影響されたものってほんとうに多いですよね。
『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子)をみてクラシックのCDを買いまくりました。
ラフマニノフもシベリウスも知らなかったのにクラシックのよさに気づかせてくれたのが『のだめ』。以来私のドライブのお供はクラシックです。
うん、うん、マンガが表現してくれた感動が聴いているときに上乗せされて、さらに楽しめるんですよね。芋づる式にいろいろ聴きたくなります。
私は、マンガをきっかけに得た興味と雑学が、かなり今の仕事に役立ってくれているなあ(笑)
私は、『浮浪雲』(ジョージ秋山)で人生観が変わったと思う。
結婚後に、夫の本棚にあって読んだんだけど、『浮浪雲』って「小事を気にせず流れる雲のごとし」がテーマなの。その小事って、ざっくり括ると、私にとっては今で言う承認欲求だった気がする。
読んだ頃はまだ若かったし、小事を気にしまくる人間だったので、主人公である雲の旦那の飄々とした生き方が目ウロコだった。
その雲の旦那、なんかつまみさんのだんなさんを彷彿とさせるような…。
させない。
でも、確かに見栄は張らないかなあ。実は今、夫は仕事をしてないんだけど、私は人に言うとき「休んでる」って言うの。実際、そうかなと思って。自営業だし。なのに夫は、職業や予定を聞かれるたびに(義母が入院しているのでよく聞かれる)迷いなく「無職です!」と答えてる。そこに躊躇はないらしい。
今検索したけど、『浮浪雲』って、まだ続いてて、現在110巻だって…!長過ぎるのが青年マンガの困るところだよ!もう読んでないけどさ。
追記:(ところでみなさん!我々があーだこーだ言っていた矢先、『浮浪雲』の連載が終了しましたよ。44年!全1039話!!現時点での単行本は111巻!!!すっごいなあ。
もうずっと長いこと読んでなかったんだけど、さすがに最終回(「ビックコミックオリジナル」2017.10.5号)は買いました。
表紙には「[浮浪雲]ここに完結!!!!!」とあるけれど、およそ完結という雰囲気ではなく、いつものままで(久しぶりに読んだという気すらしない)、それこそが浮浪雲らしいです。
でも、中表紙に書かれていた「晴れの日も、曇りの日も、雨の日も、どんな日も浮浪雲がいた」にはちょっとグッときました。若いとき、自分が選んだわけじゃなく出会ったマンガだけど、だからこそ人生観が変わったっていうこともあるのかも。)
あと、夫が買ってた「漫画アクション」に、「アクションジャーナル」ってコラムがあって面白かった。こういうのを書く仕事がしたいって思った記憶がある。
アクションって、表紙がルパンのかっこいいやつ?
そうだっけ?
『この世界の片隅に』(こうの史代)もアクションで連載されてたんですよね?「書くひと」つまみさんにもつながってるんだ!なんかすごい。
すごいマンガを読んだときって、そのときの周りの風景とかまで一緒に記憶してるってことないですか?
あります!中学生だったと思うんですけど、「風と木の詩」の最終回を、近所のスーパーの中にある書店で立ち読みして、呆然としながら家に帰りました。
年末で、家に帰ったら大掃除。「ジルベールが死んだというのに、私は窓ふきか…!」と、くらくらしました。
なんという…窓ふいてる場合じゃない!!
『日出処の天子』の最終回を立ち読みした後は、桜の散る中を帰った記憶があります。
ああ、ああ、泣ける…。
私は、最初に言った『生徒諸君』の一気読みだけど、陽がさんさんと当たる縁側で何時間もかけて読み上げた記憶が強烈に残っているの。なので、漫画のある風景と言えば春の縁側。これにつきる。
一気読みの感覚、すごいわかる。
うん、わかる。私は高校生のとき盲腸炎をこじらせて入院して、そのときに叔母が貸してくれた『ブッダ』(手塚治虫)を一気読みしました。
あまりに集中しすぎてそのあと熱を出し、同室のおばさんに「ずっとマンガ読んでたからよ」ってチクられて看護婦さんにしかられた。あの感覚、もういちど味わいたいな。また熱出るかな。
Naomiさんがアンケートで、
「小学校4年生の時左手を骨折して遊べなくて、マンガばっかり読んでいた時期があった、近所の接骨院の待合室でつい恐いもの見たさで『エコエコアザラク』(古賀新一)を読んでしまい、夜トイレに行けなくなった」
って書いてて、私の『恐怖新聞』体験と同じだな。
つい読んじゃうんだよね、後悔するのわかってるのに…。
待合室は未知との遭遇率高いですよね。
Naomiさんのご実家は理髪店で、お父さんが待合室用に少年マンガを買ってたんだって。
その待合室が思い出のマンガの風景って子もいるだろうなあ。家がマンガ禁止の子もそこでなら読めるもん。
あと、もうひとつ、Naomiさんのアンケートですごく印象的だったのがあって、
「小さいころはお父さんの買ってきた少年マンガ、小学生のころは、中学生のお姉さんがいるお友達の家に少女マンガがいっぱいあって、片っ端から読みふけっていました。大人になってからは、仕事場で誰かが買ってきたものを…というパターン」
というあとに、
「そう考えると、私は、自分からマンガを読もうとして読んだことはないのかもしれないです。いつも「誰か」と読んでいた感じ。家族だったり、友人だったり、職場だったり。私にとってマンガって、共有物みたいなものなのかもしれないです。」
って書いてあるんです。
「マンガは共有物」!!これ、ほんとうにそうだなあーってしみじみ思いました。
桜子さんは、おうちはマンガ購入禁止だったけど、高校の教室に、みんなが買ってきたマンガ雑誌が図書館みたいに置いてあって、そこで読んでたんだって。まさに共有物!
『ちびまる子ちゃん』(さくらももこ)もそこで読んだと。
グッジョブ学級文庫!
うちのほうは町屋が多かったので、玄関はいると奥までずーっと土間なの。その土間のところに2人で立って「なかよし」読んでた思い出。
みんなおかっぱでダーツのスカートはいて、土間の壁に寄りかかって読んでたな。
いい光景だなあ。
権太さん、ご出身どちらでしたっけ?
鳥取。うなぎの寝床って奴ね。
玄関入ったら中庭があるだけで、勝手口までずーと土間で、壁も奥まで続いていてるの。だから玄関ちかくのとこじゃないと明かりが入んなくてね。
奥に行くと大人がいるからねぇ。
友だちといて、ひとこともしゃべらずマンガよみふけってるんだけど、一緒にいるって感覚は共有してた、あの感じ思い出すなー。
「マンガは共有物」…さいこうの言葉です。
…続く!!
次回の更新は10月25日(水)です。