会いに行く:キャベツメンチ
母がグループホームに入所してから1ヵ月。
幸い、我が家から車で10分もかからない近距離なので、週末になると妹と一緒に面会に行っています。
とはいえ、できるなら行きたくない…などと言ったら叱られてしまうでしょうか。
ある意味仕方のない事ですが、私たちの面会を母は穏やかな気持ちで受け入れることができません。
まず、私たちの顔(厳密に言うと妹の顔ですが、それは後程)を見た途端泣き出します。まるで助けを求めるように両手を差し出して「あぁ…」と顔をくしゃくしゃにして。
母の部屋でしばらく話をするのですが、その間じゅう、隙さえあれば「どうして私は入院しなきゃならないの?(母は時々自分は入院していると思うようです)」「こんな所にいるなら死んだ方がましよ」といった言葉を挟み込んできます。そこで、その隙を与えまいと私と妹はマシンガントークを繰り広げなければなりません。
それでも隙をつかれて「どうして?」「いつ帰れるの?」と聞かれた場合は、私が体調を崩して入院しなければならないので、それが落ち着くまではここで頑張ってくれと私たちは嘘をつきます。
この一連の「作戦遂行」は、心のエネルギーをこれでもかというほど奪い取っていきます。それを思うと、どうしても面会に向かう足が重くなってしまうのです。
私が入院するという話を聞くと、母は「あら」と言ってちらりと視線を私に向けますが、すぐに妹の方へ向き直って「あぁ、Mちゃん、来てくれたのね~」と泣きつきます。
そうです、母の、私に対する態度と妹に対する態度は明らかに違う。
入所前は妹が母に顔を見せに来ることがほとんどなかったので、彼女に対する母の態度を目にすることも(しかも、私に対するそれと比べることも)なかったのですが、こうして2人一緒に母の前に立ってみると、それぞれに対する母の反応の違いが如実にわかります。
長い時間一緒にいて色々あった分、母は私のことを恨んだり、煙たがったり、ともすれば嫌っているのかもしれません。
最初の面会の際にそれに気づいた時はなんとも複雑な気持ちになったのですが、何度かそれを見ているうちに私の気持ちも(良くも悪くも)冷静になり、母を入所させた罪悪感のようなものが軽くなってきました。
もちろん、それぞれの環境によって違うと思いますが、身内を介護する場合、どこかに気持ちの切り替えスイッチを作っておくといいのかもしれません。
私の場合は「な~んだ。私、ここまで頑張って来たけど、結局妹の方が可愛いのか」というひねくれた気持ちがスイッチを作り出しましたが、それも悪くはないなと思っています。常に優しい親思いの娘でいる必要なんてないや。
とはいえ、自宅で介護をされている方には難しいかもしれませんね。毎日が格闘ですものね。それでも、小さなスイッチができてくれたら…と祈らずにはいられません。
母とは対照的に、施設で暮らす伯母は日々の生活を楽しんでいるようです。
お気に入りの介護士さん(男性)もいるようで、ツーショット写真を撮ってもらっては喜んでいますし、面会に行っても、あれやこれやと自分の身に起こったことを話してくれます。
前々回の記事で、伯母が入所するホームでインフルエンザ感染が発生したので面会が制限されたとお話ししましたが、その際は伯母が入所するフロアのみの制限だったものが今や全館面会禁止となってしまいました。
高齢者施設に限らず、今年は特に感染が広がっているようですね。
そこで、少しでもウイルスと闘う体力が付くような食べ物をと考えて、今週の一品は『キャベツメンチ』です。
牛肉単体ではなく、豚肉の混ざった合い挽きを使うことで、ビタミンB1を、キャベツをたっぷり混ぜ込むことでビタミンCを摂りましょう。
『キャベツメンチ』
- 玉ねぎはみじん切りに、キャベツは5ミリ幅くらいの千切りにしておきます。
- 合挽肉、玉ねぎ、キャベツ、卵(全卵)、塩、胡椒をボウルで混ぜ合わせます。玉ねぎとキャベツは食感を活かすために生で使いますので、しっかりと混ぜ込んで下さい。混ぜ方が少なくて野菜と肉と馴染まないとメンチ自体が身割れしてしまうかも。
- 2を適当な大きさに整形します。ここはハンバーグを作るのと同じ。てのひらに叩きつけるようにしてしっかり空気を抜いてくださいね。これも身割れ対策。
- 小麦粉、溶き卵、水を混ぜ合わせたバッター液とパン粉を準備。
- 整形したメンチにバッター液とパン粉を付けて油で揚げます。この時、油の温度はあまり高くない方がいいようです。ひき肉にしっかり火を通したいのですが、油の温度が高すぎると衣が焦げて中には火が通らないということになってしまいます。170℃くらいの中温で。メンチを小ぶりに整形しても火通りが良くなるでしょう。
- 片面5分ずつくらいじっくり揚げたら油から上げ、油切りバットでしばらく余熱を通したら出来上がりです。キャベツと玉ねぎをたっぷり入れるとその甘味でお肉だけのメンチよりもぐっと美味しくなりますよ。
面会の時には愚図る母ですが、ホームが運営している家族向けブログを見ると、体操や『おとなの学校※』、レクリエーションを楽しくこなしているようです。
自宅では1日中横になって過ごしていた母が、ケアトランポリンを50回飛んだという話にはびっくり。
色々な刺激を受けて、気力体力をなんとか維持してもらいたいものです。
ミカスでした。
※『おとなの学校』
江ノ島カランコロン
ミカスさん偉い! 罪悪感が軽くなるとの文に
いろいろごちゃごちゃしたけどその上での 大人の余裕を感じております。
私は爺婆カルテットにどうなってほしいのか 時々考えてみ見ることがあります
それぞれいろいろごちゃごちゃあるけれど 幸せになって欲しいなと 思います
老人の余裕 私たちに見せて欲しいなぁ
いろいろ引き受けるから それなりで良いから 楽しくやってくれよ
こんな爺婆だったら年老いるのも ま、いいかと思わせて欲しい
正月 実家から帰る車の中で 「自分は80過ぎたら 生きてなくっていいや」
と 実兄と合意しちゃいました
無理な話でしょうか
ミカス Post author
江ノ島カランコロンさん
ありがとうございます。
大人の余裕というか、母の私と妹に対する態度の違いを見て”すっ”と気持ちが冷静になった感じでした。
あら、大人げないかな?
幸せになって欲しいと思えることの方が大人だと思います。
優しさと強さがあってこその願いではないでしょうか。
それにしても、自分がどんな老人になるのか、とても気になりますね。穏やかでいられたらいいのだけど。
うん、贅沢は言わないから、穏やかな老人になりたいです。
もうすでに穏やかな中年ではないのだけど・・・
Jane
肉親ならではの愛憎から少し離れてみる瞬間て大切ですよね。
さて海外でキャベツメンチという料理があることすら忘れて何年かでしたが、この記事をみたら強烈に食べたくなりました。日本にいた頃も買うだけで作ったこともなく、またうちには揚げ物用の鍋もないのですが、オーブンでやってみました。耐熱板にペーパーを敷いた上にパン粉を広げておき、ハンバーグをつくるはじからそこへ転がすという省エネ。そこへオリーブオイルを少々ふりかけ。あとは380度くらいで30分くらい加熱?適当。
大雑把な私ですので、野菜の分量多すぎた?大ぶりざく切りのキャベツおさまりきらない?という感じでしたが、熱を通したらキャベツはうまい具合に縮んで形よく出来上がっておりました。小ぶりに作ったのもよかったかな。
うちのオーブンでハンバーグを作ると固くなりがちなのですが、キャベツの水分でほどよい柔らかさが保てたようです。
いやほんとに適当にやってこんなにおいしくできようとは!感激です!カロリー高めな気がするので、食べ過ぎないようにするのが大変!
ミカス Post author
Janeさん
オーブンでトライしてくださったのですね。
すごい!
しかも、オリーブオイルを振りかけてオーブンで焼くとはヘルシーです。
私もカナダにいた時にコロッケが食べたくなって挑戦したのですが、当時はフライ用のパン粉がありませんでした。食パンを細かくして天日干しをしてみましたが、ホールウィートだったりナッツが入っていたりして上手くいきませんでした。
Janeさんがお住まいのところではパン粉が手に入るのでしょうか。今は、どこでも日本食材のお店がありそうですね。
そちらでの食生活について、時々教えてくださいね。