足すのか、引くのか : ある日の献立
少し前、スーパーの納豆売り場の棚がすかすかと空いていることに気づきました。どうやら、納豆=免疫力アップという情報が転じて「納豆を食べると新型コロナウイルスに対する免疫力を高めることができる」となり、感染を心配する人たちが大量買いに走ったようでした。
とても大雑把だということはわかった上で敢えて言うと、健康に関する対策には「足し算法」と「引き算法」があるのではないかと思います。
「〇〇は体にいいから毎日食べよう」というのが足し算法。
「✕✕の摂り過ぎは体に良くないから少し我慢しよう」が引き算法。
納豆が品薄になったのは、たくさんの人が足し算法でウイルスに対抗しようとしたからですね。
私の父は糖尿病です。
私が高血糖になったのはこの血筋も一つの要因だったと思います。
最近、その父の血糖値の具合があまり芳しくない。薬が増えたにも拘わらず値が上がっているのです。
原因は明らか。食べ過ぎです。
普段の食事の他に、チョコレートやおせんべい、甘いコーヒー・紅茶(微糖・低糖を選んでみても、そこには糖がしっかりといるぞ!)を父が隠し食べているのを私は知っています。
病院から帰ってきて、血糖値が上がっていることを嘆く父に私は言いました。
「とにかく、何を食べるかをしっかり考えなくちゃね。糖分は甘いものだけに含まれているわけじゃないんだよ。飲み物も、お茶や麦茶に変えて」
そうだな、と神妙に頷く父ですが、多分わかっていない。なぜなら、父は極端な『足し算法の人』だから。
例えば、冷蔵庫の奥に隠されたチョコレート。どれだけ食べりゃ気が済むんだというほど買い貯められた『アルファベットチョコレート』や『でん六のピーナッツチョコ』に押されるように隅っこにちんまりといる『明治チョコレート効果72%』。
一時期話題になった「カカオ分が高いチョコレートは体にいい」という話をテレビかどこかで見て買い込んだのでしょう。低GIの『チョコレート効果』には、もちろん食べ続けることでのメリットがあることでしょう。でも、それを享受するには、アルファベットほにゃららやらピーナッツなんちゃらを控えなければ何の意味もないのです。
だけど、父は「世間で体にいいと言われている『チョコレート効果』を食べているのだから健康になるはず」そして「自分はこんなに健康に気を付けている」と考えている。
なぜなら、極端な『足し算法の人』だから。
案の定、山のように麦茶のペットボトルを買い込んできた父は、それを飲みながら、お腹の調子を整えると言われているヨーグルト(甘味付き)と乳酸菌飲料を食べています。
糖の摂取量は何ら減っちゃいない。そりゃあそうだ。一切引き算をしないのだから。そしてまた次回の診察後に「血糖値が…」と嘆くのだろうな。
足し算法がいけないとは思いません。効果的な足し算法はいくらでもあるはず。
ただ、大抵の場合、足し算法の方が引き算法よりも楽だと思います。
父の場合、好きな甘いチョコレートをやめる(引き算)よりも、体にいいと言われている高カカオのチョコレートを追加した(足し算)方が楽なのです。
至極当たり前のことなのですが、大切なのはバランス。
献立を考えるのも、本当なら、味、栄養、見た目などの足し算と引き算でバランスを取らなければならないところですが、これもやはり足し算が多くなりがち。
でも、好きなもの、楽なものばかりじゃやっぱりダメですよねぇ。
ミカス家の食卓 #4
どうしてもから揚げが食べたくて、鶏もも肉を買いにスーパーへ走った日の献立です。
から揚げは、以前『カイゴ・デトックス』のお弁当をお願いした麻生要一郎さん
に倣って梅酢で味を付け、小林カツ代さんの少な目油で揚げる方法で揚げました。これ、美味。外はサクサク、中は梅の香りと酸味がほんのりと残って柔らかく揚がります。
から揚げというカロリー的には足し算の一品をメインにした以上、これに対して引き算になるようなものをと考えて、あおさ入り刺身こんにゃく、小松菜ときのこの和え物、はりはり漬け、そして、庭で摘んだふきのとうで作ったふき味噌を食べるために久しぶりにこの日は玄米ご飯を炊きました。
このご飯、玄米だけでなく、皮つきもち麦も一緒に炊き込まれています。皮つきもち麦、たまたま生協で注文したら美味しくて、カタログに載っている時はついつい注文してしまいます。皮のプチプチとした食感がたまりません。
そうそう、足し算法の人・父は、サプリメントも大好きです。
一時期、新聞広告やらテレビCMを見ては、高麗人参やグルコサミンを次々と買い込んだことがありました。あれこれ散財してしまうのが心配で、サプリの広告や業者から届いたDMを父から隠したものです。
もちろんその時も引き算はなし。サプリを飲んで食べ放題でした。
父にとって、足し算は免罪符なのかもしれません。
さて、実は、4月の半ばにカナダへ行く予定だったのですが、新型コロナウイルスの影響を受けてキャンセルとなりました。また皆さんにカナダの文化や風景、なにより食をご紹介しようと思っていたのですが、残念ながら先送りでございます。
早く事態が落ち着くことを祈って、しばらくは身近な楽しみをみんなで分かち合いましょう。
新コロ野郎め!
ミカスでした。
kokomo
ミカス様、奇遇ですが、うちも昨晩は唐揚げでした。梅酢味は爽やかでいいですね。ちょっと贅沢して唐揚げ専用油で揚げてみました。
私の父も血糖値高めで、血糖値を気にしている割に食品に隠れている糖に無頓着なところはミカ父様と同じです。先日も、「血糖値が高くなって病院で注意された」と騒いでいたので、日常的に食べているものを聞いてみると、牛乳に大量にハチミツを入れたものを毎日飲んでいることが判明。ハチミツ→自然のもの→身体にいい→糖ではない、との認識だったらしいです。母によるとどばっと入れているらしいので、ハチミツは血糖値の上昇が普通の砂糖と比べて緩やかかもしれないけれど、糖は糖だし、そんなに大量に入れていたら意味ないわ、と父に言ったのですが、数日後にはまた忘れてハチミツを大量摂取しているような気がします。とはいえ、私もお手軽な「プラス」方向に傾きがちなので、「マイナス」方向に積極的に舵を取れるようにしたいと思います。
カナダは残念でした。早く収束して、ミカスさんが晴れやかな気持ちでカナダの皆さんと再会し、また美味しい物を紹介していただけるのを楽しみにしています。
ミカス Post author
kokomoさん
あぁ、同じですね。
ハチミツは健康にいい面もありつつ、高血糖の人にはダメですよね。
父は、テレビで、これが体にいい!なんてものを見てしまうと、何も考えずにどんどん取り入れてしまうものだから大変です。そのくせ、体のための引き算は一切しないのですから。
カナダは先日、入国制限を始めました。
基本的に観光客は入国できない状態です。
あちらではレストランやカフェといった生活必需ではないお店が軒並みクローズもしくはテイクアウトのみになっているそうです。
全てが収束して、安心して楽しめる状態になったら必ず行こうと思います。その時はレポートしますので、読んでくださいね。