それぞれの人の現実や体験が、ときに朗らかに、ときに正直に書かれるウェブマガジンとして。来年も。
こんにちは!カリーナです。
毎週月曜の記事も、今年最後となりました。昨日がM1、木曜日はクリスマスイブ。あー、堂々たる年末だ!もうすぐ2020年が終わってしまいますね。
ちょっと湿っぽい話になって恐縮ですが、この時期になると2017年のクリスマスや2018年のお正月を思い出します。そして「ああ。あのクリスマスが、夫が元気に過ごす最後のクリスマスだったのだ」「ああ。あのお正月が最後だったのだ」と思い、何も知らずに過ごしていたそのときの自分のもとへ行き、「これが最後だぞ!」と言ってやりたい。言ってやって、これが不思議なのですが、そのお正月の情景のなかで暴れまわって、ぐちゃぐちゃにしてやりたいような気がするのです。
2018年のお正月、その約1週間前のクリスマスイブにやってきた生後2か月のスーを夫がジャケットの胸に入れて抱いて、家族3人で近所の小さな神社に初詣に行きました。そのあと、散歩がてらホームセンターに寄り、そこで、たこ焼きや回転焼きを買ったのでした。買い物する夫に変わって私がスーを抱いて立っていると、白くて小さな子犬の可愛さに多くの人が近づいて話しかけてくれました。
あのとき、そう、あのときのわたし!その9か月後に夫は倒れてしまうのだと知らないで呑気に愛想笑いをしているわたし!家族3人で過ごす最後のお正月を、今、まさに過ごしているなんてまったく知らないわたし!なんで、ああも、何も知らなかったのか。
このところ、急に寒くなった道を足早に歩きながら、スマホのなかにある当時の写真を頭のなかで何度も眺めるようにして、わたしにとってのクリスマスやお正月は、当時とはまったく違うものになってしまったことを知るのです。そして、スーを胸元に入れていた夫のジャケットの手触りとともに、あのときまであった「ずっと続くと思っていた生活の実感」を懐かしく、はかなく、愛おしく思い返すのです。
月曜に「黒ヤギ通信」を連載してくださっているゆみるさんは、今年9月にご主人を病気で亡くされました。病の告知を受けて、わずかひと月後のことでした。
今日、ゆみるさんは、記事を更新してくださっています。タイトルは、「633通」。心に沁みるタイトルです。ゆみるさん、おかえりなさい。書いてくださってありがとう。お待ちしていました。
茨木のり子の詩「さくら」にこんな一節があります。
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ことしも生きて
さくらを見ています
ひとは生涯に
何回くらいさくらをみるのかしら
ものごころつくのが十歳ぐらいなら
どんなに多くても七十回ぐらい
三十回 四十回のひともざら
なんという少なさだろう
——–
そうなのです。本当に、永遠の繰り返しに思えることのほぼすべてが、驚くほど「少ない」のです。だから、このクリスマスも、このお正月も、わたしにとっての味わいは変わってしまったとはいえ、大事に過ごしたいと思います。
人生には、好調なときも、不調なときも、よろこびに満ちるときもつらく寂しいときもあります。わたしたちオバフォーのメンバーや寄稿者のみなさんも例外ではありません。それぞれの人の現実や体験が、ときに朗らかに、ときに正直に書かれるウェブマガジン。だれかひとりの発した言葉に、「あなた自身」が見つかるかもしれない。そして、もしかしたら励みやヒントが見つかるかもしれない。そうだったらいいなー。これからも、気負わず、無理せず、楽しみながら続けていきたいと思っています。今年一年、オバフォーを読んでくださってありがとうございました。
今週は金曜日まで更新します。お忙しい日々をお過ごしと思いますが、時間のあるときに遊びに来てくださいね。待ってます!
年末年始、よければ、読んでください。