捨てられない:独活(うど)の肉巻き
洗濯機を買い替えました。
ここ数か月ほど、脱水の時に発射直前のロケットのような爆音を出すようになっていて、壊れてしまう前にと思いきりました。
新しい洗濯機が届いた日、設置をしてくれるお兄さんたちがまずは古い洗濯機を運び出しました。ずっとあった場所から引き出され、玄関へと運ばれていく古い洗濯機。目の前を通る瞬間、私は何も考えずその蓋に手を当てました。すると、運んでいたお兄さんの一人が言いました。
「長い間、頑張ってくれたんですね」
感傷的になっていたつもりはなかったのですが、お兄さんの言葉にはっとしました。そういえば私、昨日、この洗濯機を買った時のことを考えたんだっけ。
2人で家電量販店であれこれと吟味しながらこの洗濯機を選んだ時、母はまだ元気でした。まだまだしゃんとした一家の主婦で、予算を考えるのも、機能をもとにどれを買うかを決めたのも母でした。
元気だったころの母が決めて我が家にやって来たものが、まるで母の変化に合わせるように力弱くなって去っていく。
洗濯機を交換するだけなのに何をそんなに感傷的になるのだかと思いながらも、物には存外人の思いが絡みついているのだなと感じました。
実を言うと、私は母の物が捨てられずにいます。
下駄箱の中を占めている母の靴を捨てることが出来ず、私が新しく買った靴は
玄関のたたきに並んでいます。
洋服も、食器も、なぜでしょう、手放すことに躊躇いを感じてしまうのです。
もう必要ないのにね。
もう必要ないというのが思いの外寂しい。
そして、思いの外寂しく感じてしまう度に、そんな自分に戸惑ってしまうのです。
さて、料理の食材も、時に本来なら使わない部分に「これ、捨てちゃうのはもったいなくない?」と感じることがあります。
たとえば、野菜だと皮。
今日紹介するのは『独活(うど)の肉巻き』です。この料理に使うのは独活本体ですが、その皮もきんぴらにすれば美味しく食べられます。
独活の肉巻き
- 独活は皮をむいて5~6センチくらいに切り、酢水につけておく。
- 豚肉の薄切りをまな板などに広げ、軽く塩こしょうをする。
- 独活を水から上げ、ペーパータオルなどで水気を拭く。
- 豚肉で独活を巻き、回りに軽く片栗粉をまぶす。
- フライパンに油を引いて火にかけ、油が温まったら4の独活を肉の巻き終わり部分を下にしてフライパンに並べる。
- 転がしながら焼いて肉に火が通ったら、鍋に、酒、オイスターソース、醤油、砂糖、味がきついと感じるようなら水を少々加える。
- 蓋をして弱めの中火で焼き、独活がある程度柔らかくなったら(竹串を刺して確認してもよし)蓋を取って調味料にとろみが出るくらい煮詰めたら出来上がり。
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それにしても、どうして独活って漢字を書くんでしょうね。ちょっと親近感を覚える字面ですが。
ミカスでした。
Jane
偶然ですね、私も今日、家電と人の思いについて考えていたんです。
ミカスさんの洗濯機のように古くなってだんだんガタがくるんじゃなくて、私が感情を瞬間的にパーン!と爆発させた直後、家電やコンピューターや車が原因不明でいきなり壊れることがあり、今日もそんなことが。
べつに乱暴に扱ったとかじゃないですよ。触りもしなかったのに、ということもあります。
特にコンピューターや車は、もしかしたら他のどの人間よりもその使い手と一緒に多くの時間を過ごし、その人の独白を聞いたり読んだりしていて、頭脳や手足のようにその人に接続していて….。
想念も一種の電波を出しているかもしれないなあと思います。或いは、腹の底から出る叫びなどもある種の破壊的な波動を出してたりして。
ミカス Post author
Janeさん
面白い!
コンピューターや車がそれを使う人間の想念を感知することによって意思を持ち、自発的に動き出したり、壊れたり。
そんな映画があったような…。
でも、あり得ないとは言えないですよね。
そう考えると、やはり機械であっても愛おしい。(怖い?)
アメちゃん
ミカスさん。
Janeさん。
そうなんです!
家電って、その家に住む人の負の感情のエネルギーで壊れるって
聞いたことあります!
だからではないんですけど、私、洗濯機とかMacに話しかけますよ。
電源を入れるときは「お願いします!」で
洗濯が終了してフタを開けるときは「ありがとー!どうもありがとー!」とか
Macだと「おつかれ様ー。熱かったねー今日は、、」とか。
Macなんか、労をねぎらって肩のあたりを撫でます(笑)。
一昨年の年末に実家に帰省したとき、下駄箱を掃除したんですけど
父の靴とかサンダル、また元に戻しました。
もう必要ないのにね。でも捨てられないですよー。
kokomo
ミカス様、去年は何かの呪いか?というくらい電化製品が次々壊れ、買い替えを余儀なくされました。一番大きなものは冷蔵庫でした。コロナで経済的に大打撃を受けた我が家。もう少し頑張ってくれーという願いもむなしく、日に日に内部が生ぬるくなっていき、おーんという不気味な音が大きくなっていくのに観念して買い換えました。
この冷蔵庫を買ったときには娘もまだ小さかったなぁ。夫婦仲もまだ険悪じゃなくて、家電量販店で見て元夫が即決したんだっけ、なんて処分するときにミカスさんと似たようなことを思い出しました。私の場合はこうやって思い出が染みついている物を一つ一つ自分が選んだものに買い換えていくことで、悲しかったり辛かったりする思い出も手放すことができているような気がします。入れ替えが全て完了したら私にとっての本当の「離婚」が終わるのかなぁ。その反面、ミカスさんのお母様のものが処分できないという気持ちもすごくわかります。きっと自然に手放そうと思える時が来るから、それまではそのままで良いのでは?と思います。
「ウド」の漢字は初めて知りました。子供の頃に山に入ったときに、大きい独活がすくっと立っていたのを思い出させられました。私も独活を目指して頑張ろう。独活は大好きなので、今回のレシピ嬉しいです。
ほっこり
私も先日、結婚するときに持ってきた引き出しを捨てました。
一緒に過ごしてきた月日を考えてしまいますよね。
靴って元気の象徴のようなものですものね。
捨てるのをためらう気持ち、わかります。
家電について思うのですが・・・
部品交換をしようと思っても10年間しか部品供給のないものがほとんど。
パソコンに至っては10年も使ったらすごい、と言われる始末。
物持ちがいいので10年以上の家電が家の中にいっぱいあります。
大事に使うことが褒められる世の中になるといいのになあ。
息子たちには、お母さんみたいな人ばっかりだと経済が成長しない、と笑われていますが。
ミカス Post author
アメちゃんさん
負の感情で壊れるの?!
ああ、これからは穏やかな気持ちで家電に接するようにします。
ちなみに「負の感情 家電 壊れる」で検索したら、驚く程たくさんヒットしました。
ところで、Macの方のあたりとはどのあたりなのでしょうか?
アメちゃんさんもお父さまの靴を元に戻しましたか。
捨てるのって難しいですよね。
もう必要ないのにね。
ミカス Post author
kokomoさん
ああ、どうして家電って立て続けに壊れるのでしょうね。
冷蔵庫は色々な意味で大きいですよね。新しいものが来る前に中を整理して掃除するのも大変だ。
冷蔵庫ひとつにもkokomoさんの人生の色々なことが染みついていたのですね。
古い冷蔵庫を手放すことでまた一歩前に進めるなら、それは素晴らしい。
入れ替えがすべて完了したら、お祝いのランチ会でもしましょう!
独活、かっこいい漢字ですよね。
独活のように白く清らかな心で、でも、ちょっとくせのある香りと味をひそませつつ、
まっすぐ立つ人を目指しましょう。なーんてね。
ミカス Post author
ほっこりさん
ほっこりさんが手放された引き出しにも、
ほっこりさんとご家族の日々が刻まれていますね。
長く使っていると、それはもうただの「物」ではなくなってしまうのですね。
メーカーはある程度の期間で買い替えさせようと
その期間が過ぎると部品をなくしてしまうのではないかしら。
なんて考えるのはひねくれているでしょうか。
でも、使い慣れたものを大切に使いたい人の気持ちに応えてくれる世の中になるとうれしいですよね。