Podcastで愚痴る。
先日、over40のメンバーがやっているPodcastに出させてもらった。と言ってもオンラインなので、自宅の二階でラフな格好で、ボタンをいくつかクリックするだけでつながってしまうので、ハードルが低い。ハードルが低すぎて、なんとも失態を演じてしまったような気がする。
文章と話し言葉が近いとよく言われる。特にメールでやり取りしている人には、そう言われることが多い。ことさら大げさに書いたり、馬鹿丁寧に書いたりしないからそう言われるのだと思うのだけれど、それでもメールのように後に残るものについては、何度か読み返してから送るので失敗は少ない。
ただ、直接の話になるとよく失敗する。だいたい、人前で話すのは苦手なのだ。3月まで学校で教えていたけれど、その時も毎回緊張していたくらいだ。時間いっぱい話しが持つだろうか。話しがもったとして、ちゃんと楽しませることができるだろうか。映画が面白いんだということをひとりでも多くの学生に伝えられるだろうか。そんなことを考えていると、緊張してしまう。
人と話すことが嫌いなのではなく、ちょっと苦手なのだ。ここがややこしいところだけれど、決して人に会ったり、話したりすることが嫌なのではない。緊張して話しすぎたり、いらぬ事を口走ったりしてしまう。だから、話した後に、ああ、いらんことばっかり話したなあ、とか、もしかしたらあの話しは言わないほうが良かったかも、などと考えてしまうのだ。もう還暦も過ぎたのに。
今回は、2回目ということもあり、なんとなく気が緩んでいたこともあって、最近、僕が感じていることを正直に話してしまい、それがそのまま自分の人生というか現代社会を愚痴る方向へ。いやもう、還暦過ぎたおっさんの愚痴なんて老害以外のなにものでもない、と普段思っているのになあ。
というわけでPodcast出演後、高倉健みたいに生きられたらシンドロームがやってきたのである。何か聞かれても「…はい」「…いいえ」「…不器用ですから」という返事だけで乗り切るくらいの無口な男になりたい、という病である。しかし、そんな男前な資質もないのに、そんなものは望むべくもない。まあ、無い物ねだりは人生の常なのに、僕はこの人生で二度か三度、この病に冒されている。
次は半年後くらいに呼んでいただいて、僕が高倉健のように無口に返事をするという回をぜひ収録していただきたい。初めて聴いた人が「わあ、男前!」と声をかけてしまうような男を演じたいと思う。えっと、きっと、たぶん、無理だと思うけど。
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植松事務所
植松雅登(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。