さて、どこに住もうか
関西の出身で、大阪までスムーズにいけば45分くらいで出られる土地で生まれ育った。実家を出てからは大阪市内、西宮、尼崎とそれぞれに便利な土地を移り住み、そのまま東京へ。東京でも市ヶ谷、神楽坂、上石神井、文京区、荒川区と、まるで根無し草のように移り住んだ。
二人の子どもたちはそれぞれ成人して、まあなんとかなるだろうというところまで来たのだが、今度は自分がそろそろどこで死ぬんだ、と考えなければならなくなった。
前にも書いたけれど、成人するまで生まれ育った出身地には、ほとんど想い入れがない。あちこち住んでみたけれど、ああ、ここに死ぬまで住みたい、と思った土地もない。けれど、これから先、だんだん身体も自由に動かなくなるだろうし、やっぱり穏やかに暮らしたいし、と思いながら、ここしばらく気になる場所を訪れている。そして、数日の滞在のなかで、「ここに住んだら、どうだろう」と考えている。
「ああ、ここは母方の祖父の出身地だなあ」「ここは父方の祖父が生まれ育ったところだなあ」というところから始まって、「縁もゆかりもない場所だけど、住みやすそうだなあ」とか「ここに住むと映画館がないから映画を見るのに不自由するなあ」とか「ここに住むと、たまにある仕事で東京に出て行くのにえらく時間がかかるなあ」とか考えている。
すぐに、という話ではないのだが、そろそろ目処を立てないとと考えている。そして、いま頭のなかの候補が三ヵ所ある。自分の会社を潰したり、無駄なお金をたくさん使ったりしたので、お金はない。だから、あまりお金のかからないところで、のんびりしていて、できれば庭で小さな畑ができて、本当は小さくてもいいから映画館があるといいなあ、と思っている。
あ、あと本屋はほしい。どんなに小さくてもいいから本屋さんがある町に住みたい。古本やでもいいかなあ。
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植松事務所
植松雅登(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。
kokomo
植松さん、お気持ちわかります。
私も将来の一人暮らしが現実味を帯びてきて「もしかして、今住んでいるところにいる必要ないんじゃない?」と少し前から思うようになってきました。住んだことのある場所やテレビやネットで目にする土地に住んだらどうだろう?と夢想しています。
植松さんの条件は本屋、あとはできれば映画館ですか。植松さんらしいですね。私が住むところに求める条件ってなんだろう?と考えてみましたが、今も家にこもりっきりでずっと配信を見ているような生活なので、スーパーや病院が近いとか、ありきたりの条件になってしまいそう。そうしたら他の場所に住む必要はないんじゃない?というところで堂々巡りなのです。
uematsu Post author
Kokomoさん
ぼくも堂々巡りです。
ほんと、どこに行けばいいんだか(笑)。
しかも、熟考えてもうまく行くかどうかは、
結局、行かなきゃわからないし。
でも、その辺りも楽しまないと、
損なのかもしれませんね。