将来の夢は映画館
もう還暦も過ぎたので、人生をどう終わらせるのか、ということをたまに考える。たっぷりお金もあって、自由になる時間もいっぱいあるなら話はまた別だと思うのだけれど、金も時間もなく「貧乏暇なしの人手を挙げて!」と言われたら真っ先に手をあげて「ハイっ!」と大きな声で返事をしてしまいそうなのである。
なので、これはなにか具体的な計画があるということではなく、本当に文字通りの夢なのでそのあたり勘違いしないでいただきたいのだが、やれることなら映画館をやってみたい。どんな映画館がいいのか、ぼんやりと考えてみた。
東京とか大阪みたいな都市部じゃないほうがいいなあ。何をするにしてもかかるお金が高そうだ。まあ、地方に行ってもそれなりにかかるだろうけど。近くに海があるとか、山があるとか、そういう特徴のある町がいい。でも、新幹線を使えば、2時間とか3時間で東京か大阪にたどり着けるくらいの便利な都合の良い場所はないものかね、と思っている。
座席の数は50くらいかなあ。100もあると満席にするために、必死になってしまいそうだ。家賃が格安なら週の半分だけ稼働する映画館でもいいかもなあ。それ以外の日はカフェ営業だけ。まあ、気が向いたら映画かけてもいいんだけど。役所広司特集を企画している間は、役所広司さんがカフェにたまに来て、ファンと雑談できたりして。で、作品は何にしよう。黒沢清監督の『KAMIKAZE TAXI』は外せないなあ。でも、あんまり一般受けする作品じゃないから、これはレイトショー的に上映して、昼間はやっぱり『Shall we ダンス?』あたりを流しつつ、受けなくても小栗康平の『眠る男』は絶対にかけなきゃと思ってしまう。もちろん『PERFECT DAYS』も。
だけど、自分があんまり好きじゃなくても、あの作品はヒット作だから入れておかないと売上があがらないのかとか考え始めると、映画館の運営なんて自分には無理なんだろうなあ、と思い始める。けど、やっぱり、面白そうだから、失敗覚悟で期間限定でやるという手もあるしなあ。
こんなことを考えるのは、映画の学校で出会った、高林陽一監督から「映画やるならモギリまで」と言われたからだと思う。昨日、高林陽一監督の墓参りに行ってから、ずっとそんなことばかり考えている。
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植松事務所
植松雅登(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。