「大したことないけど、それなりに機嫌よくしている自分」という大人。
この春、大学を卒業し就職する姪からメールをもらいました。若い人たちが、新たな門出を迎える時期ですね。学生から社会人へのそれは、楽しいばかりとはいかない、複雑な門出じゃないでしょうか。わたしなんか、それが、もう、ただただイヤすぎて就職しなかったぐらいです。
姪への返事には、「おばちゃんは、卒業後、挫折の連続だったけど、こうやって、それなりに機嫌よく生きているから、大らかに楽しく、〇〇ちゃんらしくがんばれ。応援しています」というようなことを書きました。
わたしは、若い人との会話に「挫折フレーバー」をほどよく利かすのは、わりに得意なほうだと思います。暗く重たく話すわけでなく、「それがあったからこその今!」という感じに無理やりまとめるのでなく、現在の「大したことないけど、それなりに機嫌よくしている自分に着地させる話し方」とでもいいましょうか。相手の心を動かすことを目的にせず、「ほどよい自己肯定とそれなりの前向き」にさせる話し方とでもいいましょうか。
若い人たちは、紋切型の叱咤激励やメッセージに囲まれて生きています。
「可能性は無限」「夢をもて」などの言葉ですね。その対極に「がんばらなくていいんだよ」「無理なんてしなくていいよ」という冬の温い布団みたいな言葉もある。どっちの言葉もそれなりの効果があるとは思いますが、わたしはそれとは違う言葉を使う大人でありたいです。
たしかに人生に「がんばりどころ」はあると思いますが、「がんばり」の継続は、これらの両極の言葉の間にある広大な領域に、自分で細~い抜け穴を作るように手掘りしていくしかないんじゃないかと思うからです。
あなたも手で掘れ。
おばちゃんも手で掘ってるよ。
ああ。こう掘ったか。
ここんとこ、こういう感じで掘ったんだね。
あんたは上手だ。
でも、こう掘ると別の味わいがあったよーー。
とか、ま、それぞれの人生について話す機会があるとしたなら、
そういうことを話したい。
自慢あり失敗あり
かっこわるいことあり、
ちょっとよかったことあり、
卑怯あり、正義あり。
あれこれ若い人に開陳して
「ああ。この人って小さい人間だなあ」と思われて
その先に、ふと芽生えるかもしれないのが、
ほどよい「敬意」じゃなかろうか。
そして、その「敬意」は、
芽生えても、芽生えなくてもよし。
★去年の11月ころから忙しかった仕事がようやく落ち着き、本腰入れてウキウキと「どうする?Over40」に取り組めるときがきました。「今日のこていれ」の小島葉子さんとのプチイベントや「Sex & the Age」のスタート、メンバーの新コンテンツ連載準備などサクサクと進めてまいります。また、読みに来てくださいね。
Jane
初めて読んだ記事の気がします、多分この年にはまだ私はこのブログを読み始めていなかったのかもしれません。
「がんばり」の継続は、これらの両極の言葉の間にある広大な領域に、自分で細~い抜け穴を作るように手掘りしていくしかないんじゃないかと思うからです。
ってところ、本当にその光景が目に浮かぶようです。あまりに個人的で個性的な、遅々として進まぬ、ただ一人でつくっていく抜け穴。ただの穴じゃなくて、抜け穴ですね、やっぱり。