桜田淳子さん、58歳。「わたしの青い鳥」は、歌うことだったのだな。
少し前 ですが、桜田淳子さんがライブに出演したと話題になりました。ある番組で「お子さんも大きくなったし、もう一度、大好きな歌を歌いたいという気持ちになったのでは…」とコメンテーターが分析していました。ご本人の胸の内はだれにもわからないけど、それもあるのかもしれません。桜田淳子さんは、58歳。「何かを始めるなら、今!」という気持ちが切実にあるんじゃないでしょうか。
ターシャ・テューダーがバーモンド州にあの家と庭を構えたのは、50代半ば。ジョージア・オキーフがニューメキシコの二つの家に住みはじめたのは、62歳のことだとか。50代半ばから60代前半というのは、そこからの「人生という時間」を何に使うかを真剣に考える時期なのだと自分がその年齢になって知りました。「人生フルーツ」の津端夫妻が語っていた「時をためる生き方」。自分は、何をためるのか。時をためて何をつくるのか。わたしもしばしば考えます。身動きがとれない気がするときもあるし、がんばろうと思えるときもある。いろいろです。
「何に取り組むのか、何をつくるのか」という自問は、「いまからはじめて何かできるのか。もう、手遅れではないか」「今までできなかったんだ。こんなわたしに何ができる?」というさらなる問いを生んで自己嫌悪の谷に真っ逆さまに落下する危険性がありますが、「他人の評価はいいや。わたしは、わたしのためにやるのさ」という答えにさえ至ることができれば、はじめられる。不格好でも、素っ頓狂でも、身の程知らずでも、途中で放り出してもいいじゃん。自分の時間なんだもん、という具合に。
桜田淳子さんも「批判があっても、自分と自分を待つファンのために歌いたい」と思っているんじゃないだろうか。「わたしの青い鳥」を歌った人だもん。
この記事もそうですが、ツイッターやフェイスブックは「いいね!」という反応がすぐに返ってきたり、返ってこなかったりするので一喜一憂しがちです。どうも、「時をため」にくい面がある。もちろん、それが良さでもあります。刻々と流れていきつつ、軽い共感と反発でつながっていくSNSだからできることも、救えることも、救われることもたくさんあるからです。そんな良さを享受しつつ、「ひとり寂しく時をためる」こともしていきたい。桜田淳子さんに3つ年下のわたしは思うわけです。
5年めのオバフォーは、何かをためられているでしょうか。積み立て貯金のように継続することで何かたまっていますように。わたしのなかでメンバーと読者のみなさんへの敬意と親愛はたまっています、確実に。
いま、人生の貯金ゼロでも大丈夫。人生の積み立て貯金は、いつからでもためられる。そう思って、今日も地道にやりましょうよ。
カレー記念日、今週も毎日更新です。心によぎるあれこれを一首ひねりながら、時をためるのはいかが?
映画が公開されています。東京は先週の土曜から。それから各地で6月頃まで。