「昭和高度成長期歴史遺産」として保存してほしい!懐かしき寂れ感。
こんにちは、カリーナです。
先週月曜日に和歌山県の南紀勝浦温泉に行ってきた話は、こちらにも書きましたが、そこで泊ったホテル浦島が印象深かったのでもう少し紹介させてください。
ホテル浦島の誕生は、昭和31年。忘帰洞と玄武洞という太平洋に面した自然の洞窟温泉があり、なんといっても観光客の目的はその温泉!オープン当初は、新婚旅行のメッカにもなっていたそうです。こちらから洞窟温泉が見れます。すごいよー。
昭和31年といえば、いまから68年前!わたしより年上!いくつもの建物を渡り廊下でつないだ迷路のような作りと、それゆえにどこに行くにも遠い移動距離が時代の変遷を伝えます。きっとその時々で求められるアミューズメントや売店、レストランが変わったのでしょう。長い移動距離の間には、野外の渡り廊下に出ることもあり、「涼しい」「熱い」「涼しい」を体験することになります。どことなく心地よさだけでない「海の家」感。
そうなんです。ここは、高度成長時代の家族客の亡霊たちが巨大な温泉旅館を今も楽しんでいるような雰囲気があるのです!
…と書くと怖い感じがしますが、というか、ちゃんと怖いのですが、ホテルの部屋は清潔だし、スタッフはみなさん親切だし、バイキング(食べたのは朝食のみ)もおいしかったし、部屋からの海の眺めはすばらしいし、洞窟温泉は一生忘れないほどすごかったし、ちゃんといいところなんですよ。←ここ、強調したい
ロビーから部屋へ向かう長い廊下にこのゲームコーナー。左右にぎっしりとゲーム機。すべて古い。ぎゅうぎゅうに置かれていますが、私たちが到着したときは、完全な無人。完全な静寂。電源の入っていないゲーム機が長い廊下にぎゅうぎゅう。写真の反対側にもぎゅうぎゅう。怖い。
午後6時になると電源が入り、ちらほらと遊ぶお客さんもいたので「ああ、人がいる」とほっとしましたが、ついた当初は営業前と知らず怖かった(笑)。上の写真だけだと寂れたホテルのようですが、ちゃんとピカピカのところもあるので、そこはご心配なく。「ピカピカ」と「寂れ」のまだら模様なのです。
さらにこの日は、ホテル内で夏祭りをやっていて、その会場が私たちの部屋に通じる廊下から見えるのですが、畳の大広間にぽつりぽつりと出店風の設えがあり、そこに何をするでもない若い男女のスタッフが手持無沙汰にぼんやりウロウロしています。お祭り風ぼんぼりに照らされてほんのりと赤く色づく閑散とした大広間。響くお囃子の音。あの人たち、人間なのかな。わたし、生きてるのかな。ちょっとのぞいてみたら、もちろん、そこにいたのは人間で、「1000円でチケットを買って遊べる」と丁寧に優しく説明してくださいました。うん、ちょっと高い。平日だったので、この日は子どもの姿はなし。きっとこれから賑わうのでしょう。
部屋から温泉、温泉から売店、売店からレストラン、レストランから部屋がそれぞれに「うちの家から最寄りのコンビニ」ぐらいの距離があり、何をするにも思ったより時間がかかるので、これから宿泊される方は、すべてにゆとりをもって行動することをオススメします。あと足腰に自信のない方のため、杖と車椅子がレンタルされていました。
温泉もすばらしかったけど、昭和30年代から現在までの時代の変遷が建物のあちこちに刻まれているので「ああ、これは…」とか「こういうのあったなあ」とか「この空間は、元々は何に使われていたんだろう」とか「はい、こういう素材が流行ってましたね」など自分が生きてきた風俗史を走馬灯で見るような面白さがたまりません。あちこちにあるパネル展示が「もう一つ、気合いの入っていない博物館」味も醸し出しています。
昨年12月、「東京に本社がある投資・事業経営会社『日本共創プラットフォーム』は、1日に開いた記者会見で、和歌山県内で4つのホテルや旅館を経営する『浦島観光ホテル』のすべての株式を譲り受け、事業を引き継ぐ契約を先月(11月)22日に締結したことを発表しました」とのことなので近々大きく変わることになりそう。「昭和高度成長期歴史遺産」として保存してほしいなあ。トータル・コンセプトで空間を覆い尽くさない、それゆえに「闇」と「隙」が生まれる昭和の歓楽の味わい!消えてしまうのは、惜しいです。
きれいで快適だけどのっぺりした気取ったリゾートホテルになる前に行くなら、今!那智大社も那智の滝も最高!
オバフォーは今週もコツコツと更新します。時間のあるときに遊びに来てください。待ってまーす。
都忘れ
カリーナさん、こんにちは。お暑うございます。
ホテル浦島!なつかしい~。私も30数年前に同じく南紀勝浦のホテル中の島に泊ったことがあります。
熊野那智大社にもお参りしました。たしかお正月だったので、けっこう人が多かったように思います。
当時元気だった父の運転で行きましたが、ホテルまでは近くの港に車を停めておいて、本当に小さな舟に荷物を抱えて乗せられて行くという…。それが、なんとなく島流し感がありました。(笑)
すっかり忘れていた記憶がいろいろと思い出されてほっこりしましたよ。カリーナさんに感謝です~!
カリーナ Post author
都忘れさん
わあああ。ホテル中の島も海に浮かぶ宿なんですね!(ネットで拝見しました!)
30数年前というと80年代後半ぐらいですか?
バブルのころ??
わあああ。そんな雰囲気だったのかお話を聞きたいーーー!
わたしが体験したのとはまったく違うでしょうね。
でも、そのときすでに絶頂期は過ぎていた??
那智大社は、私たちが行ったときは無人だったんです。
なんかアニメの夏の風景画像に入ったみたいな気がしました。
いろんな時代の南紀勝浦、体験してみたい(笑)
これからリゾート開発されるの、なんか楽しみなような残念なような感じです…