たぶん500回目に小泉今日子を思うのココロ。
たぶん500回目である。途中で数え間違えているかもしれないので、なんだか自信はないのだけれど、たぶん連載500回目なのである。普段は意識しないけれど、500回と言われるとちょっとすごいなあと思う。確かめてみると、最初の投稿が2013年6月7日だった。もう10年を超えているのか。500回も続いているということは、適当にテーマを選んで、その時その時思いつくままに書いているに違いない。そうでなければ500回も書けるわけがない。
というわけで、500回目に書こうとしているのも、思いつくままの話題だ。このあいだ見ていたテレビのことだ。NHKの連ドラ『あまちゃん』が再放送されて、再び話題になっていたのだけれど、そこに出演していた小泉今日子にも再びスポットがあたった。そこで、NHKが小泉今日子のデビュー40周年のスタジオライブを再放送した。それをぼくはぼんやりと見ていたのだ。懐かしいなあ、とか。kyon2のこの時のアイドルっぷりはすごいなあ、とか。
そんなことを思っていると、当時を証言する役回りで黒柳徹子へのインタビューが挿入されたのである。ちょうど『なんてったってアイドル』の頃のkyon2を振り返って黒柳徹子はこんな話をした。「なんてったってアイドルなんて、すごい歌ね。あなた自身はどう思ってるの?って聞いたのよ。そしたら、『大人が悪ふざけしてると思ってます』って答えたのよ。可愛いのに、しっかりしてる人だと思ったわ」みたいな話だった。
どう考えても、大人の悪ふざけだと思う。アイドルが自分で『なんてったってアイドル』と歌うなんて普通はやらない。けれど、当時の秋元康をはじめとする大人たちは思ったわけだ。小泉今日子なら、この悪ふざけに乗ってくれるし、ちゃんと成立すると。そして、小泉今日子も悪ふざけとわかりつつ乗っかったわけだ。
あの頃のテレビや芸能界の成熟ぶりがうかがえる。アイドルをアイドル自身が相対化する。相対化しつつ、そこに新しいアイドル像を絶対的に君臨させる。そして、それは見事に成立して、成功したのである。たぶん、それは奇跡だし、同じメンツが同じ時代にタイムマシンで再結集したって、奇跡は起きないと思う。アイドル歌手としては松田聖子や中森明菜のほうが小泉今日子より上なのだと思うけれど、あの時点で新しいアイドルだったのは間違いなく小泉今日子だった。
あんな奇跡的なことは、これから先、もう一度起こるんだろうか。なんか、起こるような気がしないんだよなあ。
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植松事務所
植松雅登(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。