映画の当たり年
映画は「観る」のだと習ったのだけれど、自分で書くときにはついつい、映画を「見る」と書いてしまう。広辞苑などによると、一般的には「見る」を用いてることになっていて、観察したり、見物したりする場合は「観る」らしい。最近は使わないけれど、映画見物なんて言い方もあったくらいだから、やっぱり映画は「観る」が正しいのだろう。
でも、僕の場合はなんかことさら改まって、というよりも何気なく座席に座って、ぼんやりと見ているうちに「おおっ!面白いぞ」というのが一番嬉しい状況なので、やっぱり映画は何気なく見たいのである。
ま、そんな話はちょっと置いておいて、年末年始と映画ばかり見ていて、まるで映画ジャンキーである。『フラニーとズーイ』以外はまともに本も読まず、映画ばかり見ている。で、その映画が年末からあたりばかりである。アキ・カウリスマキの『枯れ葉』、ヴェンダースの『PERFECT DAYS』、トラン・アン・ユンの『ポトフ』など、どれも面白かった。他にも『アメリ』リバイバルや配信で見たあれやこれやなど、どれもこれも面白かった。
けれど、よくよく思い返すと、どれも僕が若い頃から好きだった監督も作品だったり、若い頃に好きだった作品もリバイバルだったりする。う〜ん、これはもしかしたら、僕の中に懐古趣味的な波が来ているのかもしれない。えっ、これは、クレヨンしんちゃんの大人帝国の逆襲的なよくない流れなのか?とも思ったりするが、今時の映画が面白くないんだから仕方がない。そんなことは知ったこっちゃない!と思い、今日、おみくじを引いてみたら、「調子に乗るな」と書いてあったので、僕はとりあえず、配信で『クレヨンしんちゃん 大人帝国の逆襲』を見るところから始めようと思ったのである。
果たし、自戒を込めて見始めた『クレヨンしんちゃん』はこれまた、当たりだったのである。おみくじの通り、調子に乗らず、でも、この映画の当たり年を楽しみたいと思う新年である。
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植松事務所
植松雅登(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。