料理は愛情…とは限らない : かぶの肉詰め
日増しに気温も上がって来たせいもあって、
ここ数日またもや料理する気ガタ落ちのミカスです。
ただでさえ少なかったやる気が更に減っちゃったものだから、
女性ホルモン同様、そりゃあもうカスカス。
カスカスミカス。
<♪カス、カスカスカス、ミカス>
テレビの前でごろごろしながら考えた。
「私、誰のためなら毎日笑って料理することができるだろう?」
たとえば…
夕食の支度がほぼ整ったところでドアベルが鳴る。
玄関を開けるとそこには「ただいま!」と立つ西島秀俊。
ネクタイを外しながら「今日は暑かったなぁ」。
「腹減ったから先にご飯にしようかな。おっ、うまそう!」
と、満面の笑みで食卓に着く…
で、できるかもしれない。
てな妄想はさておき、
たとえ相手が西島秀俊でも、日々を重ねていけば
「もう料理なんてしたくないよ~」と思う日は来るはずです。
『キューピー3分クッキング』の最後に、
「愛は食卓にある」というナレーションが流れます。
昼食の支度をしながらそれを聞く私は、
毎回「ないよ」と呟きます。
いや、あるかもしれないけど、
『お母さんが手間暇かけて料理を作る=愛』という図式が
当たり前のように作り上げられているのがたまらないのです。
なんとなくだるい日、気分が乗らない日。
「スーパーのお惣菜で済ませちゃおうかな」という思いが過ったとしても、
私が西島秀俊を愛していないわけじゃない。
いや、愛してる。大好きだ。
でも、秀俊の前で「愛してる!」と土下座はできても、
どうしても料理する気力がわかない日もあるのですよ。
そんな日は、愛をこめて出来合いのお惣菜を盛り付けたい。
出来合いによる溺愛だ!
小林カツ代さんはこう言ったそうです。
「料理は愛情っていうのはつらい言葉ね。料理は技術よ」
もちろん、愛情をこめて料理を作っているという人を否定はしません。
そうだとしたらそれは素晴らしいことです。
ただ、全てに手を抜かずに料理をすることや、
手間のかかった美味しい料理を作れることが愛情だと思われてしまうのは
カツ代さんの言う通りつらいことです。
たとえ、冷凍食品をチンしたとしても、
忙しい仕事の帰りに慌ててコンビニのお弁当を買ったとしても、
そこに愛情がないわけではない。
食は大切にするべきだけど、大切にする方法は人それぞれでいい。
と、自分のやる気の枯渇を、不毛な妄想とちょっと気取った話で
ごまかしてみました。
今日の料理は『かぶの肉詰め』です。
やる気ないって言う割には手が込んでるって?
いや、最後に「私、作りました!」って言える料理を作ったのはいつだったかな、
何だったかなと記憶をたどって思い出したのがこの一品だったのです。
『かぶの肉詰め』
- かぶは皮をむいて、中身をくり抜きます。
くり抜く穴が小さいと詰め物があまり入らないので
できるだけ大きめにくり抜きましょう。ひびが入ったりしないよう注意。 - 葉っぱの一部を刻んでおきます。
- ボウルで、豚ひき肉、包丁で細かくたたいた海老、卵、塩、片栗粉を
しっかりと混ぜ合わせます。 - かぶの内側に片栗粉を薄くはたき、3を詰めます。
加熱すると詰め物が縮むので、できるだけぎっちりと詰めるように。 - 鍋に水、酒、鶏がらスープの素を入れ強火で加熱します。
煮汁の量は、かぶの2/3が浸るくらい。 - 5が沸いたら4のかぶを鍋に入れます。
倒れないようにゆっくりなべ底に置くように入れてください。
やけどには注意して。 - 蓋をし、弱めの中火でじっくり加熱します。
時々煮汁を上から回しかけるようにしてください。 - かぶが柔らかくなり、肉に楊枝を刺しても濁った汁が出ないようなら
煮上がっています。 - かぶを鍋から取り出し、煮汁に2の葉っぱと水溶き片栗粉を加えます。
かぶに9の煮汁をかけて出来上がり。
なるべく火を使わず、なるべく品数を少なく、なるべく体力を使わず。
この3つを固く胸に刻んで、
このカスカス状態をなんとなくやり過ごしていこうと思います。
と、ここで『ミカ料』の過去記事を読み返してみたら、
去年の今頃も私、同じようなことを言ってる。
しっかりしろ、私!
ミカスでした。
爽子
ミカスさん、わたしとて同じでござるよ。毎日毎日、嫌だよねー。
でも、秀俊に愛していると土下座する?
噴いたわ〜〜。お腹いたーい。
思いっきり自堕落なメニューで、自分をもてなしたいわ。
nao
ミカスさんのかぶ料理、とても美味しそう!
以前教えていただいたかぶのポタージュは我が家の定番になりました。
やる気はしょっちゅう迷子になってます。
そんな時ツイッターでよく回ってくる診断メーカーで
「あなたのやる気見つかりました」というのを定期的にやってしまいます。
私のやる気は南極に行ったりギャングにさらわれたりしていて
ああ、それなら仕方ないか、、と思えるのです。
よかったら遊んでみてください。
Naomi
ああ、若い頃に見ていた料理番組で「料理は愛情っ!!」って、
うすらボウス頭の男性の料理家先生が力説しておられましたね。
…ふぁっきん!だぜ。(笑)
その時その時で、フレキシブルに対応できる能力こそ、家庭の「食力」だと思うんですよ。
(ってか、そう思っていたい)
楽するもよし。手間ひまを楽しむもよし。
作んないほうは、いちいちブーブー言いなさんな! p(`ε´q)、的な。
小林カツ代さんの言葉は存じ上げませんでしたが、
呪いを融いてくれる、良い言葉だなぁーと思いました。
アメちゃん
記事を読みながら
「私だったら、誰のために料理するかなぁ??」と妄想したら
ポンっとジョージ・クルーニーの顔が浮かんでしまいましたよ(とくにファンじゃないけど)。
でも、ジョージならなんとなく私のために料理してくれそうだし
そもそも、毎回素敵なレストランに連れ出してくれそうだなぁ・・とか
思ったりしました。
ああ、これは楽しい妄想ですねぇ。
料理研究家の土井善晴さんは「一汁一菜でよい」とご提案されています。
(ネットでもインタビュー記事が読めます)
一汁三菜なんて、もともとハレの日のごちそうだとか。
それがなんや知らんうちに、「一汁三菜」とか「一日30品目」とか
「〜ねばならない」の呪いが、作る人を苦しめてるんですよねぇ。
やる気がないときは、休んでテキトーでいいんですよ〜。
ミカス Post author
アメちゃんさん
ジョージかぁ…
何を作ったら喜んでくれるかしら。
シーザーサラダしか浮かばない田舎モノの私(笑)
やっぱり素敵なレストランでキャンドルディナーですね。
「〜ねばならない呪縛」か。
誰が決めたわけでもないのに、素敵なこと、愛あること、正しいことのイメージが作り上げられちゃってますよね。
自分に呪縛をかけないように気をつけないと。
ミカス Post author
爽子さん
これからずっと当たり前のように続くと思うとげんなりします。
私、すごく好きになると「土下座したい衝動」に駆られるのです(笑)
自堕落なメニューって、例えば何?
知りたいです
ミカス Post author
Naomiさん
実は私も、料理がしんどいなと感じるとあのうすらボウズの姿と声が頭に浮かぶんです。
で「うるさいわ、ボケ‼︎」と振り払うのですが、今度から「ふぁっきん!」にしよう(笑)
カツ代さんの言葉は、暮らしの食を地道に支えてきた人のものだとつくづく思います。
呪いを叩き捨てて、気楽にいきましょう!
ミカス Post author
naoさん
ありがとうございます。
私も診断メーカーでやる気を探してみよう!
しかし、やる気、ギャングにさらわれちゃったなら仕方ないですよね。のんびりするしかない(笑)
ちなみに、このレシピでくり抜いたかぶの中身でポタージュ作れます。
晩御飯に肉詰め、翌日の朝ごはんにポタージュをどうぞ。
kokomo
今年の春に娘がJKになり、お弁当生活が始まりました。入学時の保護者会で「保護者の方も忙しいでしょうけれど、手作りのお弁当を是非持たせて下さい。」って先生に強~く言われました。子供が保育園に行っているときにも「冷凍物ではなく、愛情たっぷりの手作りのお弁当を」って言われましたが、高校になってまで言われるとは。
小林カツ代さんの言葉は名言ですね。「料理は技術」そしてミカス様の「出来合いによる溺愛」は今日から私の座右の銘です。
私も診断メーカーでやる気をちょくちょく探していますが、私のやる気はマグロ漁船に乗ったまま、長い航海での疲労と船酔いで苦しんでいるみたいなので、そっとしておきたいと思います。いつ帰ってくるのかなぁ。
ミカス Post author
kokomoさん
「手作りのお弁当を是非」って言われちゃうとねぇ…。
作れないお母さんもいるだろうし。
冷凍食品使ったら愛じゃないんだろうか?
そういう「手作り=愛」って悪意のない決め付けがみんなを辛くするような気がします。
お互いゆるく頑張りましょうね。
ちなみに、私もやってみました診断メーカー。
私のやる気は北極で凍死寸前なのだそうです。
やっぱりね。
モリミー
コメント遅くてすみません。結婚して、36年。夫との二人暮しに戻って12年。子供のためにお料理することはあったけれど、夫のために作ることはほとんどありません。毎日朝、昼、晩と三食、私が、食べたいもを2人分作ります。ついでに作るので、そんなにイヤではありません。ただ、体調が悪かったり、食べたいものが見つからない時は、大きくレベルダウンします。一気にスーパーのお惣菜になります(笑)
誰のためなら、やる気が出るかな・・・が、 とてもおもしろかったです。私は、自分のため です。
ミカス Post author
モリミーさん
あぁ、私も自分のために作りたいなぁ。
私も基本的には食べることが好きだから作ることが好きなんです。食べたいものを作りたい!
だから、自分以外の人のために作るのはちょっとしんどいです。
それにしても、36年間誰かのために作り続けているモリミーさん、すごいです‼︎