キッタリハッタリ・下 : きのこのソテー
手術台に横になった私は、もはやまな板の上の鯉。これから始まる切ったり貼ったりの作業にはあまりにも似つかわしくない「デザイン」という言葉に「変なの」と思いながらも目を閉じじっとしていた。すると先生、 線や印らしき点を 私の顔に描き始めた。描きながら学生に「油性だけど、アルメン(おそらくアルコール綿)で吹けば落ちるから」。油性?! 油性ペンで直接顔に描いてるの?! アルメンで落ちるという先生の言葉を信じるしかないけれど、本当に大丈夫なのか?
ちなみに、この時、こちらの希望などは聞かれず。某美容クリニックのCMのように好みのデザインを選べるのが美容整形(保険適用外)で、あくまでも患者さんの本来の目の形に戻るように手術をするのが形成外科(医療)なのだなぁと気づいた。
麻酔は片目2カ所、合計4カ所にやや長めの針がすーっと入った感じ。これがまた痛い。私が余程変な顔をしたのだろう、若くて、可愛くて、優しい看護師さんの「頑張って!」という声が聞こえた。ただし、結果的に手術中に大きな痛みを感じたのはこの時だけだった。(ん?これって痛み?というレベルのものは何度か)
麻酔がしっかりと効いたので、痛みどころか、まぶたに触れられているという感じすらない。緊張でガチガチになっていた体の力も抜けて、「これならこのまま眠れるぞ」とすら思ったのだけど…甘かったね。いくつかの手順を踏んだ後、先生が学生に向けて解説を始めたのだ。
「ほら、この赤いのが〇〇筋。今からこれを切って剥がすわけですが、ここまでメスで切ったらここからはハサミで行きます(ちょきちょきちょき)」切って剥がすって…(涙)
「この境目が難しいんだよね。ともするとこちらの方を切ってしまいそうになるんだけど、そうすると失敗ね」失敗すんなーっっ!!
「これから××筋と△△筋を剥がすんだけど、あぁ、この人のは癒着しちゃってるなぁ」ああ、私の筋肉が悪いんです。ごめんなさい、ごめんなさい!
自分の体が切られて開かれて剥がされている様子を生中継されるって、こんなに怖いんだ。しかも、こっちには口をはさむ権利がないんだから。こうなってみると、「わたし、失敗しないので」って凄まじく心強い台詞だよなぁ。
それにしても、自分の体なのに私は一生見ることがないであろう場所を、他人に覗き込まれていじくりまわされるなんて、手術って不思議。
ところで、若い学生さんたちに見られているからか、先生、ちょっと張り切っていた。
しきりと「A先生は~だけど、僕は…」と言う。
「A先生は最初から麻酔を2(ミリグラム?)入れるけど、僕は1なんだよねぇ」いや、最初から2入れていいなら入れろや!痛くなったらどうするんだよ?!
さらに張り切る先生、「やっぱり写真で見るのと実物を見るのとでは全然違うでしょ?」となぜかちょっとうれしそうな声で学生に聞く。「はい!」と元気に答える答える学生に「そうだよね。やっぱり平面と四次元じゃ全く違うからねぇ」
四次元???
おいおい、四次元って、ポケットかよ?!ドラえもんかよ?!学生諸君、気づいてるんだろ? 言ってやれよ!
ところが、准教授相手に声を上げられる学生なんているわけもなく、 そこから先生、四次元連発。しかも、心なしかドヤ声で。そして私は、そこから笑いとの闘いに突入。
さて、そんなこんながありながらも、無事、眼瞼下垂手術は終了。
先生がアルメンで落ちると豪語していた油性デザインラインはなかなか落ちず、私の両眼下には、まるでカオナシかマリリン・マンソンかというような筋が残ったものの、持参した小室圭さんのお母さん風サングラスで隠すことができた。
私が手術室を出た頃には、待合室には「いやぁ、大学病院のコンビニ恐るべし!」と、キンパとグリーンカレーが入ったレジ袋を抱えてほくほく顔の妹しかいなかった。 予定よりもちょっと長めに時間がかかってしまったので、 他の人は皆診察が終わってしまったのたろう。しかし、キンパとグリーンカレーって、どういう組み合わせだよ?!
というわけで、その後私は、小室ママサングラスをかけたままスーパーで買い物をしたのですが、その日に作った夕食の一品は『きのこのソテー』です。
たっぷり作っておけば数日は日持ちして、作り置きにできるんじゃないか?単品で食べるだけでなく、オムレツに入れたり、ソースにしたり応用ができるんじゃないか?てな考えで作りました。
『きのこのソテー』
- きのこは好きなものを数種類使ってください。私は、しめじ、まいたけ、エリンギを使いました。
- きのこは根元を切り落とし、食べやすい大きさにカットするか手でほぐします。
- フライパンでオリーブ油を熱し、2のきのこを炒めます。
- きのこに油がなじんだら、バルサミコ酢、醤油、砂糖少々を加えてさっと炒めたら出来上がりです。
炒め過ぎないように加熱時間を上手く調節してくださいね。
術後についてちょっとご説明。
手術後、抗生物質と鎮痛剤が処方されました。抗生物質は全部飲まなければなりませんが、鎮痛剤は痛い時だけ。結局、帰宅後麻酔が切れてから少し痛んだので、これ以上痛くならないようにと鎮痛剤を飲みましたが、その痛みも我慢できない程ではなく、その後は一切痛みませんでした。
手術当日は、飲酒、入浴は禁止です。(シャワーはOK)
また、アイメイクは抜糸まで禁止。抜糸は手術の一週間後でした。
抜糸までは、目やに、目の乾き、見えづらさがあって、ちょっと気になりましたが、眼瞼下垂の術後にはありがちな症状だそうです。抜糸後は収まりました。
術後1週間は超腫れる、1ヵ月まではやや腫れる、見た目の違和感が完全になくなるのは3~6ヵ月と言われましたが、私の場合、術後5日(縫い目あり)と抜糸日当日(縫い目なし)に人に会ったものの、どちらも「手術後とは思えない」と言われるくらいの傷跡&腫れ具合でした。
眼瞼下垂の手術をする(した)と言うと、自分も気になっているけどどんな手術なのかわからないと言う方が思いの外いました。
もし、眼瞼下垂の手術を検討されつつも迷っている方で何か知りたいことがある方はコメント欄に質問を書き込んで下さい。お答えできることであればお答えしますので、お気軽にどうぞ。
ミカスでした。
okosama
ミカスさん、お疲れ様です。
ぷぷぷ。ごめんなさい。笑ってしまう。油性マジックでまぶたに眼玉を描かれているミカスさんを思い浮かべてしまいました。
真剣に考えてみましたが、わ手術前-手術中-手術後のまぶたの時間経過も含めて4次元?
あと、名前を見ただけでおよそ作り方が分かる料理を、4段階のレシピにまとめるなんて、さすが!笑
つきまちさんの器でしょうか?
ミカス Post author
okosamaさん
4次元…謎ですねぇ。
まぶたに目玉、まさにガガ様ですね(笑)
いやもう、なんたって素人ですからね。
誰でも思いつくようなレシピでも毎週ひーひー言ってます(涙)
はしーば
ミカスさん、謎の准教授の4次元カンファレンス?、大変お疲れ様でした。
私の場合、左眼が酷めの飛蚊症&ドライアイで、そのせいかは分かりませんが、左瞼だけが重く、見辛いのです。
ミカスさんはどの程度の違和感を感じて手術に踏み切りましたか?
曖昧な聞き方で申し訳ありませんが、
もし良ければ教えて下さい。
ミカス Post author
okosamaさん
書き忘れました。
器はつきまちさんからのものです。
okosamaさん、すごい!
とても使い勝手が良くて、友人にもプレゼントしました。
ミカス Post author
はしーばさん
私の場合、この2〜3年、写真を撮るたびに目が開いていないように見えることが気になっていました。白目と黒目ではなく、ただの筋のような。
また、まぶしくて目がしょぼしょぼする時のように目が開きにくいということが増え、意識して目を見開かないとなりませんでした。
こね状態が加齢によって更に進んでしまう前に、と思って手術を受けた次第です。
はしーばさんも気になるようでしたら、まずは眼科を受診されてみてはどうでしょうか。手術した方がいいとなれば、そこから形成外科に紹介状を書いてもらうといいと思いますよ。
ネットや口コミで、眼瞼下垂手術の数が多い病院や評判のいい病院を探してみてください。
疑問、質問、いつでもどうぞ。
はしーば
ミカスさん、丁寧に教えていただきありがとうございます。
私も数年前から写真では左眼だけ開いてないなぁと気になっていました。
次回、眼科に行った時に相談してみます。
ミカス Post author
はしーばさん
目にメスを入れるのですから、いくら経験者が大丈夫だと言っても不安ですよね。
まずは眼科でじっくり相談、診察を受けて、考えてみてください。
何があったらいつでも何でも聞いて下さいね。
アメちゃん
ミカスさん。
マリリンマンソンで噴きました。
おもしろすぎ!
昔読んだ田辺聖子さんのエッセイに
「その子が面白いということは、その子の人生も面白いってこと」
みたいなことを書かれてたの、思い出しました。
ミカスさんが面白いから、面白いことを引き寄せるのか?
それとも、些細なことでもミカスさんだから面白くなるのか?
それにしても、そうやってまぶたの筋肉を
ああだこうだと説明しながら見せるってことは
かなり至近距離から、まじまじと学生らに観察されてるってことですか?
手術中は、布かなにかを顔にかけてくれるんですか?
ミカス Post author
アメちゃんさん
マリリン・マンソン、一か八かぶつけてみましたが、笑ってくれる人がいて良かった!
私は、どんなことについても「何か面白いことがあるんじゃないの?」と思いながら、ちょっと斜めから観察してしまうクセがあるので、面白いことを割と見逃さないのかもしれません。
受診の時は、目の部分だけが開いた布のような物を被せられました。もちろん目は閉じたままですが、仮留め(しつけ縫いみたいなもの)の時は、起き上がって目を開けた状態を医者&学生にまじまじと観察されました。「うーん、右、もうちょっと上げた方がいいかなぁ」「そうですね」てな感じで。