ごめんなさい:おからの煮物
空き家になった伯母の家を片付けにに行った際、亡くなった伯母の日記を数冊見つけました。
伯母は、脳梗塞の後に血管性と思われる認知症を発症した伯父の介護をし、看取った後に自分も認知症を発症してグループホームへ入所後亡くなりました。
小さな手帳にちょっと読みにくい文字で綴られた日記は全部で8冊。
時系列に並べて読んでいくと、介護の度合いが高くなるにつれて伯母の言葉にも悲痛さがにじむようになり、正直読むことが辛くなるほどです。
「お昼の食事の時、何とも悲しくなって思わず涙こぼす。テレビのアンディ・ウィリアムスのボリュームを最大にしたり、私の心もどうかなったのか。席をはずしてひとりで泣く」
「年をとること、病気になることは本当に心細く、淋しい」
「怒ってしまった。明日は優しく介護できるだろうか」
そして、そんな悲痛な言葉の合間に、趣味で続けていた俳句やら、
「サンドイッチ150円、貝ボタン1,120円、鰆粕漬600円」といった生活じみたメモが残されているのを見て、私は声を上げて泣きました。
伯母が苦しんでいた頃、私は20代半ばから後半でした。
ああ、私は一体何をしていたんだろう。子供ではなかったのに。
仕事がかったるいと愚痴を言い、友達と遊び、笑い、何も知らずに、知ろうともせずに。
まるで我が子にそうするように私を可愛がってくれた人なのに。
ごめんなさい。ごめんなさい。
「家族に認知症の人がいない人の言葉は、やっぱりぴんときません」
これも日記に書かれていた伯母の言葉です。
どんな出来事があってこんなことを書いたのかはわかりませんが、伯母が介護に悩んでいた頃には認知症や介護の意味を全く知らずにいた私。あの頃だったら、伯母の苦しみを知ったところでピンとこなかったことでしょう。
伯母が今生きていたなら、今の私がそのままあの頃へ戻れたなら、私は伯母の手を握って、肩を抱いて、「一緒にデトックスしよう」と笑って互いの重荷を分かち合うのでしょうけれど。
私が遊びに行くと、伯母は私の好物だということを覚えていてくれてよくハヤシライスを作ってくれました。それにいくつかの和食のおかずが食卓に並びました。今日ご紹介する「おからの煮物」も、伯母がよく作ってくれたものです。
伯母はあさりのむき身を入れていましたが、生のむき身を手に入れることが難しいので、私はちくわを入れたり、ひき肉を入れたりします。
おからの煮物
- 人参、椎茸、長ネギを細かく切る
- 鍋に油をひいて火にかけ、豚ひき肉を炒めます
- ひき肉に火が通ったら、人参、椎茸、長ネギの白い部分、枝豆を加えて炒め、全体に油が回ったらおからを加えてさらに炒めます。
- だし汁、酒、醤油、砂糖、みりん、塩を混ぜ合わせて煮汁を作り、3の鍋加えます。
- 焦げ付かないように混ぜ合わせながら煮ます。
- 水分がある程度飛んで、全体に味がなじんだら長ネギの青い部分を加えて出来上がりです。
とても伯母に会いたいです。もちろんもう会えないけど。
日記と一緒に持ち帰った沢山の写真を整理して、いつか従妹弟たちと楽しめるようにアルバムを作ろうと思っています。
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