第194回 私の中にいるXX。

「ラッキーガール」 佐藤知津子さん
まゆぽ:
このテーマはTBSラジオ『日曜天国』からのパクリです。
たとえば、ヨーグルトを食べるとき、
私の中の左官屋さんが目覚め
容器の内側をきれいにこそげ落としたくなる、などが紹介されてた。
で、私の中にいると感じるのは「新記録を狙う短距離走者」なの。
健康のために徒歩通勤しているのに(歩く距離が大事なの)、
なぜかこの短距離走者が
「こっちの方が近道だぞ。早く着くぞ」とささやくわけ。
早く着く必要はないし、近道を急ぐのは本来の目的から外れてる。
なのに、ついつい少しでも早くと
斜めにスクランブル交差点を渡ろうとしてしまう。
自分の意志とは違うのに、
心の中に短距離走者がいるんだとしか思えないよ。
つまみちゃんの中には何がいると思う?
つまみ:
おもしろいテーマ。
まゆぽさんの「新記録を狙う短距離走者」、わかる。
そこがポイントじゃないのに、時間を競う(誰と?自分か)感覚ってあるよね。
自転車で通勤してたとき、意味もなくラップタイム録ってたことある。
新記録が出るとうれしかった。
危ないっつうの。
今は、いかに万歩計の歩数を稼ぐかに夢中だから、むしろ逆。
無駄に動こうとする。
これも自分との闘い。
図書室内を行ったり来たりして配架する自分にうっとりしちゃう。
スーパーとかも、時間に余裕があるときは
やたらうろうろする不審者。
目的が、買い物なのか歩数かせぎなのか不明。
あと、自分のなかに未公認建物鑑定士もいるね。
散歩してるとき、そのへんの戸建てやマンションを勝手に査定してる。
ド素人だから、パッと見でイメージした間取りとか
日当たりと外回り全体のイメージでの判断なんだけど
ここは、南側の駐車場にいずれマンションが建って
日当たりが悪くなるリスク大とか
古いけど、手入れが上品でよろしい!とか
ジャッジするのが楽しい。
どんなに立派なマンションでも
段差があったり、スロープの使い勝手が悪そうだと
鑑定士(わたし)の評価は低い。
介護経験者あるある。
介護経験者の自称建物鑑定士なんて私しかいないだろうけどさ。

まゆぽ:
新記録を狙う体質、つまみちゃんもそうなのね。
自分はまったく体育会系じゃないのに、体の中にアスリートがいて、
虎視眈々と記録更新を狙ってるんだねえ。
建物鑑定、なるほどです。
介護など自分の経験から体内に蓄積したものさしってあるもんね。
前にも書いたけど、私は間取り図見るのが好きだから
この動線はどうだろうとか、あのソファはここに置けるとか、
猫が楽しめるだろうか、とか空想するお節介不動産屋が中にいるよ。
あとね、最近寒くなって湯船に浸かることが増えたんだけど
(夏はシャワーだけ)、
だいたいがカラスの行水タイプなんだ。
ところが「もう出よう」と思うと、
「待て待て、レトルトカレーだって沸騰したお湯で7分なんだぞ。
それじゃ中まであったまってないだろ」と
私の中のレトルト野郎がささやくんだわ。
それで、そうか、じゃあ、あと200数えるよ、とか思うわけ。
もう一つはね、料理してると、どうしても並行して片付けたくなる。
料理を食べる時には、キッチンがきれいになってないと落ち着かなくて、
作りながら洗い物しちゃうんだよね。
私の中のアライグマが姿を現して
洗え、洗えって手を動かすとしか思えない。
洗ってる間にせっかく作ったラーメンがのびちゃうのに…。
つまみ:
私の中のレトルト野郎、私の中のアライグマ‥ウケる!
ちゃんとあったまろうとは思うけど、レトルトものをイメージしたことないし
私も、洗いながら作りたい方だけど、アライグマの意識はなかったよ。
そう考えると、自分の中にこれぞと思うXXをイメージして暮らすのも手だな。
段ボールを見たら、私の中の猫が目を覚まして収まろうとするとか
ヘンなブラウスを見かけたら、ふだんは自分の中にいない
首藤奈知子アナを呼び出して
避けずに着てみるとか。
あ、収拾がつかなくなった。
キレイに締めといて。
まゆぽ:
きれいには締まらないけど、みんなの中にいろんなものがいるってことで、
人は皆、多重人格、多重物格、多面体なんだねー。
つまみちゃんが変なブラウス着てたら、
お、今日は首藤アナが目を覚ましたなと思うことにする。
私が「しゃらくさい」とか「残尿感あり」とか言ったら、
私の中のつまみがでしゃばってると思ってね。
つまみ:
きゃあ!リアクションに迷うなあ、それ。
急がなきゃならないとき、前に進まず、上にジャンプしそうになったら
まゆぽさん、今じゃない!とたしなめることにするよ。

「ゆりとネックレス」 佐藤知津子さん
★「チチカカ湖でひと泳ぎ」を盛り上げてくださる
佐藤知津子さんはオバフォ屋雑貨店で『詩画集 ドロップス』を販売中!
(知津子さんのHPはこちらです ⇒ ★)
Jane
「ラッキーガール」、見る人を通り越した向こうを見ているような、ほんわりしているようで強い目力がありますね。口を隠して全体を見ると、印象がかなり違いますね。
「雪ねこ」は、雪、目の玉、斑の三種類のドットが面白いです。
「ゆりとネックレス」、顔まわりのラインが点で描かれていて、薄緑青い目の色やネックレスの珠、レースの襟飾りと共に、透明感がありますね。それとは対照的なぼってりした髪とふくよかな体型。ゆりを後ろに持っているところがいいし、このゆりによって物語が生まれますね。
まゆぽ Post author
Janeさん、知津子さんの布絵の感想、ありがとうございます。
いつも素敵な、Janeさんならではの鑑賞眼を感じるコメントをいただき、
なるほど、そうだよね、そういうところに知津子さんの思いが込められているんだ、
と改めて布絵を見直しています。
今回(割と久しぶりに)コメントをいただいたのも、何かテレパシーめいたものを感じました。
実は、知津子さんが体調を崩されて、現在創作活動ができなくなってしまっています。
なので、チチカカ湖でも無理なお願いはできず、来年からの画像をどうしようかなと検討中でした。
Janeさんのコメントに力を得て、今までに送っていただいたたくさんの作品の中から使わせていただきながら、知津子さんの回復を待つ方向もありかなあと心が動いています。
つまみさんとも相談して決めていこうと思っていますが、
Janeさんには、知津子さんに代わって心からのお礼を言わせていただきます。
ありがとうございました!
一緒に知津子さんの回復と創作復帰を願ってくださいね。