第196回こう見えて一途(いちず)です。
つまみ:
思わせぶりなタイトルだし、転職が多いくせにどの口が言う?だけど
浮気せず(ちょっとはしてもいいけど)長く付き合ってる人やモノ、ある?
夫以外で。
私は裁縫箱の中身かなあ。
箱自体はもうないけど、針山とか待ち針の何本かは
小5になるときに家庭科セットで購入したまま。
その証拠に、頭が平べったいタイプの待ち針には
母の字で書かれた私の名前(もちろん旧姓)がまだ判読可能。
一途っていうか、裁縫道具の使用頻度が異常に低いっていうか。
まゆぽさんはどお?
まゆぽ:
裁縫箱の中身、あるあるだね。
私もまち針とかチャコとかまだ持ってるよ。超長寿命!
小学校ってやたらといろんなものを買わせて、
いちいち名前書かせてたから、今思うと親は大変だったよね。
裁縫箱を筆頭に、書道セット、大工セット、
算数セット(おはじきとかが入ってた)、
給食セット、掃除セットとか。
でも今も残ってるのは裁縫箱の中身だけ。
半世紀以上まち針やってるって一途だよね。
一途な長い付き合いという意味では、私は西武線かな。
東京以外の方には馴染みがないかもしれないけど、
沿線には西武ライオンズの球場や、
故志村けんさんで名を馳せた東村山などがあります。
両親とも、西武線沿線で生まれ育ち、
私が育った実家もあるので、
今も月に2回くらいは利用してるし、
どこか遠くへ行ったとき、「帰ってきた」と
感じるのは西武線を見た時だったりする。
いわゆる「ふるさと」と呼べる町はないんだけど、
自分は西武線の子どもだという気持ちがあるなあ。
↑西武線の特急「小江戸号」
つまみ:
西武線の子どもかあ。
まるで西武線全体が少女まゆぽを見守ったり庇護していたみたいで、いいね。
考えてみると、確かに電車って子どもにとってホームだよね。
私は子どものときは引っ越しばかりしてたけど
数年間、沿線に住んでただけなのに
飯坂電車(福島交通飯坂線)はホーム感があります。
父親と長兄のお墓が今この沿線にあるのでたまに乗るんだけど
いろいろなことが変わったのに、いろいろなことが変わらない
泣きたいようななつかしさに毎回グッとくる。
そして、ホント「帰ってきた」という気持ちになる。
さっき検索したら、全長9.2キロ。
10キロにも満たなかったのかー、すごく長く感じた。
ずっと知ってるもの、見てるもの、付き合ってるものって
意外と、全容や本質や正しい知識、ないかもねー。
↑飯坂電車(いい電ニュースより)
まゆぽ:
飯坂電車、初めて聞いた名前だった。
検索したら、短い路線だけど頑張ってる感はんぱなかった。
こういう電車で通学したりすると、物語が生まれそうだ。
昔のドラマ『白線流し』を思い出した。あれは長野県だったと思うけど。
「一途」のためには、それなりの長い時間が必要じゃん。
だから、ちょっと遠い目しちゃうし、甘酸っぱい気持ちになるよね。
あんなふうだったあの頃から、
今はずいぶん遠くに来てしまったもんだなあ。
でも、変わらないモノを見ると、
あの頃の気持ちや風景やそこにいた人が蘇ってくる。
小学生の時使ったまち針を見ると、
すっかり忘れていた先生の顔が思い出されたりして。
新しいことが覚えられなくなった代わりに、
過ぎていった時間の引き出しの数が増えたことが
高齢者の醍醐味の一つかもね〜。
ときどき引き出しの整理して、
ここにこんなの入ってた〜という
隠して忘れたへそくり発見的喜びを噛み締めましょう!