お国柄・その1 : オクラとささみの梅肉和え
今週はカナダにいた時のお話。
海外に行くと、その地のお金、特に硬貨の使い分けに困ります。
どの硬貨がいくらなのかがなかなか覚えられなくて、
「ああもう面倒くさい!!」とお札ばかり使ってしまうので、お財布の中が硬貨だらけ。
じゃらじゃらと重くなってしまうのです。
カナダに移り住んだばかりの私も、硬貨を使いこなすことができずに
自宅の貯金箱には山のように硬貨が溜まっていました。
ある日、「このままではいけない!」と一大決心をした私。
両替のため銀行へ向かいました。
<じっくり見ればわかるけど…>
貯金箱を抱え、銀行のカウンターで事情を説明する私。
当時の私の英語力はそれはそれは低くて、
日本語で例えてみるなら
「わたし、ちっさいおかねたくさんあります。
うれしないです。
おっきいおかね、かえますです。
うれしです。
たすけて。おねがい」
てな感じ。
もう必死。
それでも、カウンターのお姉さんは根気よく耳を傾けてくれました。
「溜まったコインをお札に両替したいのですね。わかりました」
なんて優しいお姉さんなの!
家であれこれ考えて英文を作り、それをバスの中でぶつぶつと繰り返し、
やっとたどりついた銀行で必死に暗唱した甲斐があったというものです。
するとお姉さん、ちらりと腕時計を見ました。
「You know what? あのね…」
ん?
「私、10時半からコーヒーブレイクなの」
あ、たしかに10時半だ。
「向こうのカウンターにいるBillがあなたに対応するから、
彼に話してね。Bill、彼女の話を聞いてあげて」
そういうとお姉さんは、席を立ちました。
私が話したことをBillに伝えることもなく。
えっ?
結局私はBillのカウンターへ移動して
「わたし、ちっさいおかねたくさんあります…」
カナダの人は、勤務時間や休憩時間にきっちりしています。
日本人の私からすると
「今やってる仕事に区切りをつけるくらいの時間超過はいいじゃん」
なのですが、彼らにしたら
「私の労働時間はここまでと言ったらここまで!」
なのです。
確かに、決まったところでちゃんと線を引かないと、ずるずるとなし崩しになってしまう。
「それくらいの時間超過はいいじゃん」
それが積りに積もって、サービス残業や過労死を招くのかもしれません。
頑張り過ぎることが美しいと思うのは、時に間違いなのかもしれませんね。
というわけで、今週は頑張りすぎないための一品です。
というか、て・ぬ・き。ウフッ。
『オクラとささみの梅肉和え』
- オクラを茹でます。
塩を加えたお湯にオクラを入れ、1分ほど茹でたら水に取ります。
茹で過ぎ注意です。 - オクラの水分を切り、1/2か1/3にカットします。
- お皿にのせたささみに酒を振りかけてラップをし、レンジで加熱します。
- ささみの粗熱を取り、手で適当な大きさに割きます。
- 梅干しの種を取り除き、包丁で叩いてペースト状にします。
- 3の梅肉にごま油と塩を加えてよく混ぜ合わせます。
- オクラとささみを6で和えたら出来上がりです。
だらだら長くやればいいってものではないということですわ。
要はメリハリ。
カナダのお姉さんを見習って、無理はしないという方向で行きたいと思います。
っていうか、いつも無理なんてしてないんだけどね。
ミカスでした。
アメちゃん
こんにちわ。
私が昔勤めていたクリエイティブ系の会社でも
徹夜や休日出勤をするのが忙しい売れっ子の証拠、、
みたいな風潮がありましたね。
でも、上司も先輩もいい意味で個人主義で理解があったので助かりました。
ところで、ミカスさん!
先日のはげ頭を塗るおじさんの話。先駆者がいましたよ!
ゆうべ、昔の文豪の逸話を紹介するラジオ番組を聴いてたら
宇野千代さんと結婚していた北原武夫という作家が
髪の毛の薄くなったところに墨を塗っていたんですって!
で、北原先生がクラブなんかで飲んでいると
だんだん汗で墨が解けて、額に流れてくるんで
同席してた川上宗薫先生が
「北原先生、墨が流れてますよ」って教えると
北原先生は、黙っておしぼりで額をふくらしいです。
ホステスさんも「北原先生に、おしぼりおかわり!」と言ったとか言わないとか。
私は横になってぼんやりラジオを聞いてたんですけど
これはミカスさんに教えて差し上げなければ!!と、ガバッと起き上がって
あわててメモを取ってしまいました。
nao
こんばんは!
この梅肉和えにはごま油を入れるのですね!
やってみよう。うちに今梅びしおがあるので、叩かなくても混ぜるだけの超手抜きでできそうです(笑)
海外に行くと不便さもみんなでシェアするのだなと思いますね。
何かと時間も手間もかかるけど、人間のやることってそんなものなのかも。
日本も少しはそうなったほうがいいんじゃないかってことが増えてきた気がします。
ミカス Post author
アメちゃんさん
忙しくしているのが格好いいという感覚を持っている人っているんですよね。
きちんとめりはりつけて働ける人の方が格好いいという方向へ世の中が変わっていくといいのですが。
北原武夫の話、ありがとうございます‼︎
塗る男のパイオニアの話に鳥肌が立ちました。
それにしても、川上宗薫先生も、ホステスさんも、
そしてご本人も粋だなぁ。
山手線でうろたえてしまう私は、まだまだ小物です。
ミカス Post author
naoさん
梅びしおなら簡単ですね。
ごま油を入れるとコクが出ます。
そして何より香りがいい!(ごま油好きです)
ぜひお試しください。
郷に入れば郷に従えではありませんが、他の国へ行ったら、その国のリズムに合わせて過ごすのが一番だと思います。
多分、日本はちょっとやり過ぎ、きちんとし過ぎなんじゃないかと思います。