ゾロメ日記⑯ 人生はなにかと“必至”だ
◆7月某日 行きたくなること必至
ノーラ・エフロンと聞いて、ああと思う人は、映画好き、もしくはメグ・ライアン好きってことになるのだろうか。『恋人たちの予感』の脚本や『めぐり逢えたら』『ユー・ガット・メール』の脚本&監督だが、彼女のエッセイ『首のたるみが気になるの』を読む。訳は阿川佐和子さん。
何を隠そう(隠してないが)、私は映画『ユー・ガット・メール』が大好きだ。メグのファッションやニューヨークの街並み、お店、インテリアなどなどが心地いいったらありゃしない。映画通には叱られそうだが「何も考えずに、ただ心地よくなりたいために観る映画」というジャンルがあってもいいのではないか。・・いや、決して悪口ではなく。
このエッセイもきどりがなくて心地いい。ハイソな暮らしっぷりなのに案外下世話で、美容も子育ても政治も同じ土俵で語られているところに好感が持てる。文章も平易で読みやすいが、これは訳のせいかもしれない。
そして、読んだ人がアプソープというニューヨークの有名巨大アパートメントに行きたくなること必至。私はこの存在を全く知らなかったので思わず検索してしまった。
それにしても、ノーラが2012年に亡くなっていたとは・・。終盤、確かにやけに死について言及しているなあ。せつない。
◆7月某日 フルーツサンドのオーダー必至
仕事以外の長時間外出はあまりできないここ数ヶ月だが、月に二度ぐらい、夫とそのへんの喫茶店に行く。下町とすら呼べない都内の僻地なので、近隣に洒落た喫茶店などなく、結局落ち着く先は駅前の老舗レモン。昭和っぽいが特にレトロでもなく、オシャレ感のかけらもないが、フルーツサンドがけっこうおいしい。なので、ここに来るとつい頼んでしまう。
ところが、今日行ったら「サンドイッチ用のパンが売り切れ」だった。ま、午後3時におやつ代わりにフルーツサンド、というのもどうかと思うのでいいんだけど残念。
それより、暑いときはサンドイッチ、が時代の趨勢なのか。
いかにも常連客風のオバサマが、お店の人と小型飛行機墜落事故の話をしていて「えっ?田園調布じゃなくて調布なの?・・なんだ」と言っていた。なんだってなんだ?!
◆7月某日 マスク装着必至
パートで小学校の司書をしているが、夏休みのこの時期、私の勤務自治体の学校は蔵書点検祭りになる。登録されている全ての本をバーコードでスキャンして、不明本をチェックしたり、廃棄本をピックアップして除籍にしたりする。いわば棚卸し。
去年の夏、各クラスに大量にある学級文庫の本があまりにすごいことになっていたので、うっかり「学級文庫を見直してきちんと管理したい」などと学校にプレゼンしたら通ってしまった。われながらうっかりにも程がある。思えば、この提案をした頃は、この手の業務にスキルのある強力な協力者もいたし、ついでに言うと義父にはまだ視力もあった。幸せな時代だった。
弱音と愚痴を周囲に撒き散らしながら非絶賛開催中。4日間の予定の業務の現在、後半戦だが、午後も2時を回る頃になると、毎回、口も聞きたくないくらい疲れる。エアコンをガンガンかけて作業しているが、涼しければ疲れないってわけじゃないのだな(あたりまえ)。
本のホコリがすごいせいか、なんだか毎回風邪っぽくなって・・ヤバイ。
◆7月某日 ビックリ仰天必至
昨日の朝、家の猫が2ヶ月ぶり2度目の脱走をし、2時間半後に帰って来た。朝っぱらから捜索でタイヘンだった。今回も義母が勝手口を開けっ放しにしたのが原因。ああ。
一緒にもう長いこと「チチカカ湖でひと泳ぎ」 という掛け合いブログ(←こういう言い方があったとして)をやっているまゆぽさんちの愛猫てんちゃんが10日前から行方不明なので、猫が突然いなくなることを考えては「たまらんだろうなあ」と思っていた矢先だった。ああ。
と、ところが、なんと!これを書いているたった今、てんちゃんが発見されたとの報が!
Twitter情報によれば、まゆぽさんちのマンションのお向かいの部屋のお風呂と壁の間に入り込んでいた、とのこと。10日間も!?救出され、獣医さんから戻り、今は元気にカリカリを食べている模様。身体は臭いらしいが。
最近ロクなことがないなあと思っていたので、この吉報には心洗われる。・・それにしても、なにゆえてんちゃんはそんなところに入ってしまったのだろう。今の時点(7/28 19:40現在)では詳細は定かではないが、この日記が更新される頃は、ここ(→★)でその真相が読めるかも。なににせよ諦めちゃいけない・・ではなく、諦めかけた先に思いもかけない展開が待っていることもあるのだなあ。
by月亭つまみ
サヴァラン
ノーラ・エフロンのこの本
阿川さん、安藤優子さん、大石静さんが
2,3年前の「僕らの時代」で話題にしてました。
ああ、でもまだ読んでないっ。
阿川さんはご自分が翻訳したこの本のタイトルを文字って
「首のたるみが気になるの」
「足のかかとも気になるの」
って笑ってはなしていらっしゃいました。
この本の帯だかあとがきだったかを
安藤さんが書かれているみたいですね。
でもあの鼎談
安藤さんがひとり、ズレていた気が。。
いやしかし。
みいちゃんもてんちゃんも美猫&大器だあ。。。
つまみ Post author
わー(*’▽’*)♪サヴァランさん!
その「僕らの時代」は見ていませんが、「I Feel Bad About My Neck: And Other Thoughts On Being a Woman」を「首のたるみが気になるの」と訳すセンス、やっぱり阿川佐和子さん、タダモノではない!?
日記には書き忘れましたが、「年をとるって素晴らしい!」という世の中の風潮に異を唱えているところも小気味よかったです。
加齢が悪いことばかりとは限らないものの、健康面を筆頭に、年をとるといろいろ面倒だし、ポジティブに「ありのままを受け入れる!」と言う人にも違和感があるので、ブレながら右往左往する日常にシンパシーを感じました。
私はノーラのように「死ぬほど必死にお手入れ」してませんけども。
安藤さんって、長らくジャーナリスティック(という言葉があるかどうかは不明ですが)の第一線にいると自覚している人特有の「どんな事象や世界や文章も偏見を持たずに本質を理解する能力がある自分」臭がちょっと鼻につきます。
それはこのあとがきに限らず、ここ十年ぐらいうっすら感じていたことですが、そういう人(他にもいっぱいいるけど)って案外浅い気がする。
むしろ、自分の判断力とか洞察力に懐疑的な人の方が予定調和でモノを見ないし、響く言葉が発信できるよなあ、と今回も思ったりしました。
アメちゃん
こんにちわ!
猫が突然いなくなる、、といえば
内田百聞の「ノラや」を思い出します。
強面の百聞先生が、ノラがいなくなってオロオロ、
ノラを思い出すたびに、ノラの居た風呂場へ行って泣く、、
を、ケラケラ笑いながら読んでたのですが
続編?の「クルやお前か」では
私も号泣に次ぐ号泣で、次の日も思い出して泣きながら朝ごはんを食べる
という状態になりました~~;。
つまみさんのにゃんこは、パトロールに出かけたいのかもしれませんが
どうでしょうか?
余談ですが、アンドーさんは
震災直後、節電のためにウィンドウの照明を消す百貨店のニュースを受けて
「もっとオシャレにキャンドルとかぁー」とムキーとなって
ああ、この人、なんも分かってない、、、と私の中でダメになりました。
つまみ Post author
アメちゃんさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!!
暑いですねー。
コメントを拝読し、激しく「クルやお前か」を読みたくなりました!
未読です。
パトロール、そうなのかもしれません。
勝手口の塀の上を悠然と歩くノラ三毛猫を見て以来、特に。
パトロールか、友達になりたいか、微妙ですが。
アンドーさん、そんなことを!?
それはアレですねー(^^;)