帰って来たゾロメ女の逆襲⑤ ~ゾロメ女文学賞発表の巻~
まもなく(4月9日)発表される【本屋大賞】のキャッチコピーは<全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本>だそうですが、私は<いちばん!お薦めしたい本>は?と聞かれると、「よくぞ聞いて下さった!それはもう山本幸久さんの『床屋さんへちょっと』に決まってるではないですか!」と答えてきました。
ここ3~4年ずっと。
・・・私ったら一途だなあ(笑)。
すごくいい!と思うのに、世間の知名度や評価がそれに見合ってないと感じるような小説・・みなさんにもありませんか。
もちろん、小説の価値は知名度や世間の評価だけじゃないし、小説の嗜好や志向は、歯垢と同じくらい千差万別で、どんなに自分が「いい!」と思ったからといって他の人にその気持ちを無理強いできないことは言わずもがなです。
ただ、『床屋さんへちょっと』に限っていえば、私がそのタイトルを口にするとほとんどの人が「知らない」と言うのに、こちらの啓蒙運動が功を奏して晴れて読んでいただいたアカツキにはほぼ確実に「すっごく良かった!教えてくれてサンキュー」という感想が返ってきます。
その、まるで轍(わだち)ができているような流れのサンプル数がすでに2桁に届かんとする今、あらためて思ったわけです。
「この小説、なんでこんなに知られてないんだ?」
そして、おせっかい心がむくむく発動し
「なんか、すごくもったいない気がする」
とも。
従来の、出版社が主催したり後援する文学賞に加え、最近は本屋大賞やTwitter文学賞など、個人レベルの発想からスタートした新機軸の文学賞が登場してきました。
これって
文学賞も、権威付けとか上から目線の「選んでやった」的賞ばかりでなくていいじゃん!
草の根的な主観に満ちた賞があっても、むしろあった方が、面白いじゃん!
という方向に文学賞の概念が拡大されてきた、ということの表れではないでしょうか。
そしてこの趨勢、うっすらですが、ゲリラ的というか言ったもん勝ち的な気配がします。
であるならば、今がチャンス!
私がこの別冊に参加させていただいたのも何かのご縁!もしくは啓示!(おおげさ)と、「1人で勝手に決めた文学賞」を創設してしまおうと思い立った次第です。
ガタン!(イスを蹴って立ち上がる音)
この連載も5回目となり、季節も、自分の肩も、かなりあたたまってきた気がします。
いつまでもおとなしくしてると思わないでよ、とばかりに、このあたりでひとつ、タイトルの「逆襲」に見合った(と本人は勝手に思っている)プレゼンをさせていただきたい。
そんなわけで、お仕事小説というジャンルですでに確固たるポジションを築いていらっしゃる山本幸久氏ではありますし、2009年刊行の作品ではありますが、氏の『床屋さんへちょっと』を「なんで知られてないんだ?もったいない」という選考理由で、選考委員1名の【ゾロメ女文学賞】の第1回大賞作にさせていただきたいと思います!
ぱちぱちぱちぱち。
『床屋さんへちょっと』についてちょっと。
この小説は8編からなる連作短編集で、宍倉勲(ししくら・いさお)という人物の半生記になっています。
全ての話に床屋さんが絡みます。
1編めは、73才の勲。
2編めは、中年の勲。
3編めの働き盛りの勲。
そう、この連作は時系列が逆なのです。
それは7編め、父親が創業した製菓会社の若社長である勲青年の奮闘記まで続きます。
とにかく、この逆時系列が効果抜群です。
最初の方に1行で語られたエピソードが後の編で布石として描かれていて、そういうことだったのかと腑に落ちる。
伏線の妙、とでも言いましょうか。
なんでもない一言や、一見個性的には見えない人間に徐々に奥行きを持たせて、人や事象は多面体だとあらためて感じさせてくれる小説なのです。
この賞の頻度?
そうですねー、次に、心からもったいないと思う小説が登場したら考えます。
By月亭つまみ
こんなブログをしています。正体不明な女二人のブログ。 お昼休みなぞにのぞいてみてください♪→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」
きなこ
ゾロ目女更新されたかな~、とたまたま覗いてみたら、、あっ!更新されてる!
え!?今日!?あら、11時!?たった今じゃん!
……これってマジですか??
虫の知らせならぬ、ゾロ目の知らせ…
なんだか怖いので、論理的な説明をお願いします。
床屋さんへちょっと、読んでみます。いつもいい本教えてくれて助かります。
今年の目標は普通の大人の本をたくさんよむことです。
では私も真似して”きなこ賞”を発表します!
大賞は……
大賞は……
…すぐには思いつかないので後日追ってお知らせします。
きなこ賞って智恵子抄みたくて気に入りました。
ゾロ目、次回も楽しみにしてますね~
ドーリー
【ゾロメ女文学賞】、うれしい!もっともっとーっ!
私の趣味は読書だけど、読む物がどうしても好きな作家や人気作品に偏るので、こうやって勧めていただけるのってすごくありがたいです。
図書館で借りることがほとんどなので、話題の本をリアルタイムでは読めていないけど、2009年刊行のこの本なら図書館ですぐにも借りられそうですね。
急ぎ、借りてまいりますっ!
また報告しまーす!
masakobe
早速、自分の“これから読みたい本”棚に登録しておきましたv
良い本を紹介して頂いて、ありがとうございました!
江ノ島カランコロン
「床屋さんへちょっと」 只今アマゾン売り切れ中….
明日、近所の本屋三件回ります。あるといいな
で、わたしも真似して 音楽賞作ってみました。
第一回 [お茶の間にJ-POPを 呼び戻そう大賞]は
大石昌良さんの ♪おはよう
さわやかで 口ずさみやすくて めざまし代わりにも使えちゃいます。
よろしかったら、一度聴いてみてくださいね
みなさんの 勝手に大賞 も知りたいです。
ハヤテ
轍Aです(笑)
にやにや。
第二回待ってますよ~い!
つまみ Post author
きなこさま
11時更新って、まさしくゾロメだったのだわー。
気づかなかったです。
きっと、4月4日の11時だからじゃないでしょうか。
ふだんよりゾロメ度が増して、感受性の強い人は感知してしまったのだと思います。
・・・あまり論理的じゃなくてすみません。
きなこ賞、お待ちしています。
1人1文学賞って面白いかも。
パーソナルの極み!?
つまみ Post author
ドーリーさま
わーいヽ(´▽`)/
ありがとうございます。
もう、私のスイートスポット直撃のコメントです。
そう言っていただけると、一人芝居も無駄じゃなかったと報われて余りあります。
お読みになったらぜひ感想を聞かせて下さいませ。
楽しみにしています。
つまみ Post author
masakobeさま
こちらこそ、ありがとうございます。
そうおっしゃっていただけて、うれしいです。
読みたい本棚に登録・・私もやってみようっと。
つい、忘れちゃうんですよねー。
つまみ Post author
江ノ島カランコロンさま
ありがとうございます。
ひゃー、売り切れですか!?
早速、受賞効果が!(なんちって)
>[お茶の間にJ-POPを 呼び戻そう大賞]
わー、面白そう。
今度、聴いてみます。
私は・・最近またよくピチカートファイブや大滝詠一、オフコースなんかを聴いています。
J-POPというより、昭和の青春ポップス(死語)みたいな。
勝手大賞、いいネーミングだと思います。
私も知りたいです。
カリーナ部長に相談してみようっと。
つまみ Post author
ハヤテさまへ
ありがとーございます。
思えば、ハヤテ嬢の感想を聞いてうれしくなって
「こうしちゃいられない!世間のみなさまにも教えてあげないと!」と思ったのでした。
そういう意味では、あなたはゾロメ文学賞設立の立役者です。
あらためて、ありがとうございました!!
sprout
轍のひとです。
わたしはしごとなんて大嫌いだし、サラリーマンや会社の生態などてんで知らない門外漢ですが、ものすごく面白かった。みんなどっかでがんばってんだな、人生も悪くないって、じつにこっぱずかしい感想を、天下に大手を降って言い放ちたい気持ちにさせる小説ってそうないと思います。
へそまがりにこそ読んでもらいたい!
ところで4月4日はゾロメの日ですが、同時にどら焼きの日で、オカマの日です。
親和性がないようである…ような。
つまみ Post author
sproutさま
今回の私の文章では手薄になった『床屋さんへちょっと』の魅力をきちんと紹介してくれてありがたや~です。
ところで
どら焼きの日、とは知りませんでした。
今、Wikipediaを見て由来を知りましたが、みんな、強引なこじつけ、好きだなあ。
もちろん、私もそういうの、大好物ですけど。
ドーリー
図書館で借りて来て、読み終わりました。
つまみさん、この本を紹介してくださって、本当にどうもありがとうございます!!
「あー、いい本に出会えた、読めて良かった」って、すっごく感謝です。
これから大事にしたいと思う言葉ももらえたし、ちゃんと生きてればちゃんとなるんだよねって思えたし、泣き笑いしながら、あったかい気持ちで本を閉じたとこです。
これは確かにもっと広めたい本ですね。
願わくば、勲さんの奥様の睦子さんには、『別冊』で「小さな事を楽しも♪」ってな連載を持って欲しいほどです(笑)。
未読の皆さんも、ぜひぜひぜひ読んでみてくださいねー。
つまみ Post author
ドーリーさま
早速、読んでいただいた上に、感想まで♡
ありがとうございます!
うれしいなあ。
勲のあの言葉、沁みますよねえ。
実は、最初は今回のゾロメ女の文章に言葉そのものも入れたのですが
「いやいや。これは読んだ人の特典だ」と思って削りました。
分かりやすい良さもある小説ですが
spuroutさんもおっしゃっていたように
いろんな小説を読んでいる人や
一筋縄ではいかない、へそまがりな御仁にも読んで欲しい小説です。
私もまた読みたくなりました。
4回目くらい。
あお
更新されたこの記事読んでソッコー、アマゾンで注文したのは私です。売り切れにしてしまった原因のひとりです。
届いてから、まじまじと表紙を眺め、著者のプロフィールに「私とたった1歳違いやん!」と関係ないことにちょっと感動して・・・一気に読むのがなぜかもったいなくて、通勤電車の中でチビチビ読んでいます。しかも「桜」の章は2回繰り返して読みました。
この本、何回読んでも飽きない感じがします。
今日もこれから仕事です。電車が楽しみ~わくわく。
つまみ Post author
あおさま
実は私も、Amazonに注文しました。
単行本は持っているのですが、この際だから文庫本も買っちゃえ!と。
「この際」の意味が不明ですが。
あらためて、勲ワールド(?)に浸っています。
通勤電車のチビチビ、わかります!
読み終わったらまた感想をお聞かせいただければうれしいです。