オンライン会議で動かない人
コロナ禍でオンライン会議がすっかり定着した。コロナが蔓延して、いいことなんてなんにもなかった気がするけれど、正直、オンライン会議はありがたい。打ち合わせや取材を対面でやろうとすると、それぞれの日程を合わせるだけでも大変。いろんな場所で、いろんなことをしている人が、ピンポイントで時間さえあえば、なんとか顔合わせできる。時には、移動中であっても打ち合わせに耳を傾けることくらいはできる。いや、これは書き仕事をしている身としてはとてもありがたい。
で、オンライン会議で唯一困るのが、Wi-Fi環境である。これが僕たち素人目には強いのか弱いのかなんてわからない。パソコンの画面の上の端っこに、扇形のマークが電波状態を教えてくれるのだけれど、最強になっているはずなのに、つながらなかったりする。逆に、一本しか線が出てないのにスムーズにつながっていたりする。
会議中、メインで話している人の画が固まったり途切れ途切れになったりすると、みんなが「あ、声が」とか「一度、つなぎ直しますか?」なんて声をかけてくれるし、なんなら接続し直すまで待ってくれたりする。問題は、メインじゃない人である。自分がそうなったときには、えらく焦ってしまう。誰かと誰かが会話をしているのに、なんだか映っている人たちの顔の動きや音声が途切れ途切れになる。途切れ途切れになるのに、みんな気にせず話しているときは、きっと自分の接続が悪いのである。
だいたい5人以上、画面に顔が並んでいるときは、一人くらいそんな状態に陥っている人がいたりする。みんなが一斉に笑ったあと、一人だけ笑ったまま固まっている。で、僕はそう言う人がいると、その人が気になって気になって仕方がない。真ん中で画面が大きくなって話している人たちを見ずに、隅っこで笑ったままになっている人を盗み見している。
すると、その人がたまに動き出したり、また固まったり、ときには、一度、接続を解除して、真っ黒になって、また復活したりする。でも、そういうときは、だいたいまた固まるのである。そして、その固まった顔を見ながら、僕はいまこの人はどんな気持ちなんだろうと同じように焦ってしまうのである。
ちなみに、僕は固まるのが怖いので、できるだけ有線でつなぐようになったのである。便利なのか、不便なのかよくわからないけど(笑)。
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植松事務所
植松雅登(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。