第61回 同い年への特別な感情(同性編)の巻
一緒に机を並べたわけでもないのに、同い年と聞いただけで親近感を覚えたりしませんか。
私はけっこう覚えたりします。
もうひとりの自分が「だからなんなのさ!」とツッコミを入れても、親近感を覚えた自分は「なんでもないけれど、覚えちゃうんだからしょうがない」と開き直っています。
たとえば、私はあの黒木瞳と同い年ですが、長年「女優の彼女に特に興味はないが、活躍している彼女を見るのは好き」という屈折した二重構造的感情を抱いています。
最近はただただ「がんばれ同い年!」的なエールで見ていますが、以前は少しニュアンスが違っていました。
瞳サマは21世紀初頭(年齢的には四十代)、やたらと年下男性と浮名を流す役をやっていらっしゃいました。
岡田准一、伊藤英明、向井理・・などなど。
年齢以外は何の共通点もないのに、当時の私はまんざらでもなく(バカ一段め)、なんとなれば、自分もまだまだ捨てたもんじゃないかもと思いそうになり(バカ二段め)、まるで黒木瞳と同い年なのが自慢すべきことでもあるかのように錯覚し(バカ三段め)、聞かれてもいないのに唐突に「ワタシ、黒木瞳と同い年」とカミングアウトして、その場に居合わせた人をやたら困惑させていた気がします(バカ四段め)。
まさにバカのミルフィーユ状態。
ちなみに「山田邦子とは年も星座も血液型も一緒」とか、「山村紅葉とタメ」とは人に言ったことがありません。(両「山」さんに失礼ったりゃありゃしません。)
そんなわかりやすい思考経路ですが、あまりにもおのれを知らなすぎで、どうかしてました。
あのまま、勘違い五十代に突入しなくてよかったですよ、まったく。
・・違う意味での勘違い五十代には突入してしまっているかもしれないにせよ。
それはさておき、同い年問題。
東京オリンピックを脳内に記憶することには間に合わなかったものの、GSブームを、NHK少年ドラマシリーズを、アポロ11号の月面着陸を、大阪万博を、キラ星のごとく現れる芸能界の時代の寵児・・天地真理や新御三家や山口百恵やピンクレディ・・の活躍を、そして数多の事件、社会情勢、災害、などなどを、あたりまえだけれど全部同じ年齢で見て感じてきたという事実は、精神構造にいくばくかの共用部分を形成するのでは?と思ったりします。
実際どうなのかは全然わかりませんけれど。
同い年にまつわる歴史の中で、1970年代後半、十代の小説家新井素子のデビューは、まだ頬っぺたの赤味も抜けていないような私とっては度肝を抜くできごとでした。
石野真子がいくら満面の八重歯で擬人化された気の毒な動物が怖いの怖くないのと連呼しようが、浅野ゆう子が異様に長い脚(に見えた)でダンダンドンドンと韻のようで韻じゃないフレーズを歌おうが、石田えりがはちきれんばかりの健康美で闘病モノのヒロインを演じようが、同い年には理解を示していた心の広い私でしたが、「同い年が小説家」への心の準備はまだできていなかったのでした。
新井さんのデビュー作は、幸か不幸か当時の私がよしとするタイプの小説ではありませんでした。
その頃、梶井基次郎に傾倒していた私は、若気の至りMAXで「ふ~ん。こんなのがいいのか」と思いました。新井素子さん、スミマセン。
ほぼ同じ時期に中沢けいの『海を感じる時』もかなり話題になり、こちらの作品には心惹かれた自分がいましたが、これまた幸か不幸か、中沢さんは同世代ではあるものの同い年ではないという理由でそれほどの衝撃はなかったのでした。
そして月日が流れ、二十代後半、ついにあの宮部みゆきの登場となるわけです。
ちょうど、ミステリー小説にハマり始めた時期と一致していたこともあって、デビューのわりと直後にその存在を知りました。
最初に読んだのは『魔術はささやく』でした。
これがものすごく面白かった。
作者が自分と同い年であることを知り、このときは衝撃ではなく、なぜかうれしくなりました。
同級生に心から自慢すべき人が登場!みたいな。
ホント、同い年バカだわ、私。
以降、出る作品出る作品が自分にとっては傑作ばかりで、その切れ目なさも驚異的で、現在、全ての作品を追い切れてはいないものの、ずっとファンです。
その後、小野不由美、乃南アサ、朝倉かすみなどなどの同い年の女性作家を知ることになるわけですが、特に21世紀になってから登場した朝倉さんは、OV40ならではの、予測のつかない日常をシニカルに切り取ったり、悪意すらフラットな筆致で描く小説が魅力的で、注目しています。
願わくば、これからも同い年の人にどんどん出てきて欲しいです。
そして、私もがんばろうと思わせてもらいたいです。
・・自分が自力でがんばれよ、ですかね(苦笑)。
でも、半世紀以上生きてきたからこそ、同じ年齢でも人それぞれで、ひとりの人間の中にも、大人と子どもが混在し、臨機応変ならまだしも、「こんなときに子どもの私が出てくるのかよ」とか、「ここは無邪気でもいい場面でしょう」と、必ずしも時と場合に応じて適切な自分が登場してくれないのを経験で思い知っているからこそ、物理的な年齢を基準にする気持ちは、むしろ昔よりあるような気がするのです。
最後に、同い年で最もインパクトのある著名人を探してみました。
サラ・ブライトマンでどうだ!?
by月亭つまみ
こんなブログもやってます♪→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」
rieko
あら!
まさしく私も全く同年代であります!公表する時点で、自分の年齢をばらしてる。
娘にゃ、黒木瞳さまと同年代、または石野真子と同年代というと「とても同い年には見えん」とお決まりの突っ込みかあります。
そういう娘は華のマー君、マエケン世代であります。
アメちゃん
こんにちわ!
私は同じ年より、同じお誕生日に反応します。
それは
高木ブーさん。
別にファンでも、ウクレレ習ってるわけでもないんですが
「高木ブー」と聞くと
ああ、同じ誕生日、、っていつも思います。
そして。
同じ星座で誕生日が2日違いということで
松田聖子さんには、バカのミルフィーユ(バカ5000段ぐらい)をおこしますね。
星座以外になんの共通項も見当たらないのに
聖子ちゃんがいつまでも可憐で若々しいことが、ものすごく嬉しいです♪
okosama
つまみさん、こんばんは。
私は小川洋子さんが同い年(学年違うけど)って知ったときに、親・近・感♩持ちました。あと恩田陸さんが同世代と知ったときも嬉しかったです(^^)
全然話は違うのですが「天地真理」を即あまちまりと読めるのはいくつくらいまででしょうねぇ。
つまみ Post author
riekoさん、あら!親近感(^O^)
黒木瞳と石野真子も、違う方向でがんばってますよね。
そのまま突っ走れ!
マー君とマエケンって同い年だったんですねー。知らなかったです。
彼らもお互いを「同い年」という文脈(?)で意識していたりするんでしょうか。
riekoさんの娘さんも。
つまみ Post author
アメちゃんさん、こんばんは。
誕生日もありますねー。
高木ブー(^_^)そうですかあ。
私は、チャーとか高見山とか山本晋也です。
・・渋。
松田聖子さんは、年齢的なもののランドマーク化している気がします。
目指さなくても、あの人がああいうポジションにいることが多くの人の目印になっているというか。
好き嫌いを超越してる存在みたいでスゴイ。
つまみ Post author
okosamaさん、こんばんは。
「学年は違うけど」って、どうしてもありますよね。
私もよく、「清水ミチコは学年が違う」と思いますです。
天地真理、若い人には読めないのでしょうか?
そうか、それは考えなかった。
なんかショック(^^;)
ジャスミン
私も同じ年に反応しますが
それは美人女優の場合のみ!
「同じ年でこんなにキレイなんて 私も頑張ろう!」と励みになります!(^^)!
つまみ Post author
ジャスミンさん、コメントありがとうございます!
「同じ年の美人を励み」は正しいと思います(キッパリ)。
最近はそこに、「同じ年で健康そうな人を励み」が加わりました、ワタシ。
頑張ろうっと!
花蓮
同い年に思い入れってないんですが、楽しくコメント欄まで拝読しました。
そしてこの中で未読の「魔術はささやく」に一番反応したらしく、気づくとまたカートに入れていましたw
「狗賓童子の島」はつまみさんのレビューがまさにそのままでした!
でも今回は古本にしました(笑)
つまみ Post author
花蓮さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
同い年への思い入れって、ない人はないのですねー。
私のはなんなんでしょ(^^;)
紹介した本を読んでもらえるって本当にうれしいです!
ありがとうございます!
「狗賓童子の島」、買いやすい値段になって、また誰かに読まれるのもいいですね。