ゾロメ日記㉝ 人生は数字だ!?
◆1月8日 悪趣味で迷惑なのは誰だ!?
今年ももう2週目かあ。元日が過ぎると「今年もあと364日」と言ってみたり、1月も中旬になると「今年ももう24分の1が終わった」、2月になると「12分の1経過」などとつぶやいて、世間を焦らせることに血道をあげる悪趣味で迷惑な人がいるけれど、1年を52週だとすると「今年も52分の1が終わった」わけである。
でも、52分の1って全くピンとこない。そもそも52って、ピンとこないこと、ぼんやりしていること、にかけては絶妙な数字だと思う。素数のスペシャル感もなく、26×2、13×4と糸口を探すが、特になにも出てこない。
思わずWikipediaを見たら「自然数また整数において、51の次で53の前の数である。」とあってのけぞった。これじゃあ、まるでドレミの歌の「La a note to follow sew(ラはソの次の音)」だ。何もないんなら、ないと言ってくれていいのに。
・・などと書いたが、この日記が更新されるのは14日、もはや中旬なのであったと気づく。ってことは、今年ももう24分の1が・・・以下、今更ながら自粛。
◆1月9日 囚われの身
若いときは、ある程度の年齢になったら数字に囚われる人生とはおさらばできると思っていた。根拠も、ある程度の年齢の定義も、なかったけれど。
ところが、自分が中年になって、全くそうではなかったことを思い知る。たとえば年齢や体重。加齢に特に抗っているつもりはないのだけれど、意識はする。同い年の有名人に妙に詳しかったりする のもその一端なのかもしれない。体重は要管理なのである。見てくれや服のサイズ問題のためだけではなく、血糖値をはじめとした健康面で。
金銭にまつわる数字ももちろん大事なのであった。日々のことで言えば、新聞の折込チラシで1円単位を比較して、その日行くスーパーを決めたりするのはあたりまえの日常だ。生鮮食料品は一概に安けりゃいいというわけではないが、いつも買う味噌醤油マヨネーズなどは自分なりの底値があるので、チラシでその数字を発見すると「なんとしても行かねば!」という気持ちになる。生協やネットスーパーを利用していれば、こんなドタバタはないのかと思うが、まだ使えないでいる。
他の多くのことはどんぶり勘定で、無駄なことを山ほどしているくせに、われながらこのピンポイント的こだわりがフシギだ。私以外にもそういう人は存外に多いのだろうか。
そして、老親の介助生活をしていると家族の数字の管理も発生する。体温や血圧、就寝後のトイレ回数。義父の血圧に関しては1日2回測定して折れ線グラフにし、通院時に持参することになっている。
いちいちグラフに目盛りを振るのが面倒なので、エクセルでグラフにして持って行くのだが、主治医から毎回「やる気満々な嫁」扱いされて、それにまつわるお決まりのやりとりがうっとうしい。手書きよりラクだからやっているだけである。
◆1月11日 ビリー・ジョエルの名盤とハガキ代
ゾロメの日の今日は成人式である。ハッピーマンデー反対派としてはしっくりこない祝日だが、街が晴れ着で華やぐのはステキ。
近所に住む友人と地元でランチ。その後、近くの自然動物園に行く。無料で入園できる小さい動物園だが、ペンギン、プレーリードッグ、ワラビー、オオアリクイ、シロフクロウ、リスザル、レッサーパンダなど、なかなかなラインナップだ。
大勢の家族連れにまじってオオアリクイのミミズのような舌を凝視しながら、また52のことを考えていたら、52といえばビリー・ジョエルの「ニューヨーク52番街」があるな、そういえばハガキ代も52円じゃないかと思い至る。ふだん見ないものを見ると脳が活性化するのかもしれない。
今回はレッサーパンダは見ることができなかった。また脳が停滞したら行こうっと。
家に帰ったら、夫がスピーカー台を制作していた。わが家のリフォームはいつ終わるんだろう。
■読んだ本
『いちばんここに似合う人』 ミランダ・ジュライ
『あなたを選んでくれるもの』が面白かったので、数年前の作品を遡って読んだ。2ページの掌編から中編に近いものを含む16の短編集。孤独で淋しくて奇妙でギリギリでエグい話が次々に登場するのだが、あまり湿り気は感じず、自分もその世界の一部であることが、とんでもないことのような当然のような、フシギな距離感を覚えた。なんだかちょっと1980年代の村上春樹の短編集を思い出した。『カンガルー日和』とか『中国行きのスロウ・ボート』とか。
by 月亭つまみ
まゆぽさんとの掛け合いブログです。→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」
あ き ら
こんばんは。いちばんここに似合うひとは、枕元に積んだままですが、背中を押されたので読むとします。
義父さまのお散歩姿が愛しいですが、そうとばかりは思っていては過ぎられない波の寄せたり返したりなど。つまみさんのお気持ちを妄想し、それがまたもっと愛しいです。
つまみ Post author
あ き ら さん、こんばんは。
なんて深味のあるコメント、嬉しゅうございます。
しかし、いまさら何を言ってる、と思われるでしょうが、気持ちの芯のところはなかなか言葉や文字になりませんね。
『いちばんここに似合う人』、あ き ら さんの感想をお聞きしたいです。