ゾロメ日記㊵ 人生はブックについてのトークだ
◆3月17日 学校編
パート先の小学校で6年生にブックトークを実施。1時間目と5時間目、Wヘッターで2クラス。当初の予定日から順延が続き、卒業式一週間前の開催と相成った。指定されたテーマは「戦争」だ。
紹介した本は、絵本や憲法の本も含め10冊ほど。メインではないが、以前この日記でも感想を書いた『鹿の王』や『14歳の世渡り術 世界を平和にするためのささやかな提案』も取り上げた。
この本は、各界の著名人22人が主に中学生に向けて発信する「平和についての提案コラム」だ。私はこの中から、京都大学学長で、ゴリラの研究で有名な山極寿一氏の提案をピックアップしてみた。タイトルは「味方をつくらない」。
1980年代に、進行役タモリで放送されていたNHKの「ウォッチング」という動物番組が好きだった。この番組で山極センセーを知り、ファンになった。
ハリソン・フォード、チャールズ・インガルス(役名だっ!)、山極センセー・・20代の自分の男性の好み、われながら一貫性があるなあ。そんな山極センセー、世界を平和にするためには味方をつくらないことが肝要だとおっしゃるのである。
実は、「味方をつくらない」という提案に、自分は百%賛同したわけではなかったりする。インパクトがあるからピックアップした感は否めない。もっと言えば、ミドルティーンにさしかかる彼らに、大人の言うことに疑問を持ってほしいというか、耳触りのいい正論ばかりを鵜呑みにしてほしくないというおせっかいで選んだのであった。
1時間目も5時間目も、ブックトーク終了後、この本を手にとる子たちが多かった。経験値とスキル不足で反省点の多いブックトークだったが、この部分に限ってはちょっとだけ達成感があった(自己満足)。
◆3月19日 夫編
最近、夫が本をよく読んでいる。もともと活字中毒気味だが、このところは見るたびに『赤と黒』とか『罪と罰』、『地底旅行』など、思わず「ティーンエイジャー!?」とツッコミたくなる本を読んでいる。
理由を聞いてみると、ネットで「死ぬまで読みたい世界の名作100選」的なものを見て、その中から格安で買える物件をポチッとしているとのこと。
・・えーと、素直過ぎないか?
夫は6時前には仕事に出かけるので就寝時間が早い。なのに先日、いつまでも寝床で本を読んでいるので「早く寝ろすぐに寝ろ今寝ろ」と言うと、「『嵐が丘』が佳境に入ってやめられないよ。どうしよう」とのこと。・・知るかっ!
◆3月21日 自分編
かくゆう私も、最近わりと本を読んでいる。私は、時間や精神に余裕があるから読書をするじゃないみたいだ。もしかしたら逆かもしれない。そんなわけで、最近読んだ本を何冊か。
『未成年』(イアン・マキューアン./著 村松潔/訳)
重篤な病気で輸血を必要としながら、エホバの証人信者の両親と当事者である息子アダムはこれを拒否する。両親と病院が対立しタイムリミットが迫る中、裁判官フィオーナにその判断が委ねられる。
フィオーナは50代後半、結婚生活は長いものの子どもはおらず、夫との間に問題を抱えている。そんな彼女は、あとわずかで18歳のアダムと面会し、心を通わせることになるが・・。
人間は下世話だ。保身に走ったりもする。でも同時に、純で崇高なものに感応することもできる。面白かったが、フィオーナと夫は・・どうなのっ、これ!?
『知ろうとすること。』(早野龍五・糸井重里/著)
5年前の東日本大震災ではいろいろな意味で自分の臆病さを思い知らされた。それまでも「知らない方がシアワセなことがいっぱいある」とは思っていたが、あの日から「知る知らない」の基準が変わった気がする。
知ろうとすることは勇気だ。そして、学問や研究を一生の仕事に選んだ人は、自分の仕事や矜持を社会に開示し、伝える努力をすることも勇気かもしれない。っていうか、その勇気を持ってほしい。この本を読んで「淡々とした熱意」という勇気について考えたりしている。
『1989年のテレビっ子』(戸部田誠/著)
Twitterで知った本。著者である「てれびのスキマ」氏は、「関係者への取材は足枷」と設定し、一般の人々に明かされている映像や活字の「証言」のみでお笑い(人&番組)論を展開した。
オフィシャルな場での「証言」が本音とは限らないことは言わずもがなだけれど、単品で読むと点に過ぎないそれが、複数になると線になり、さらに書き手(証言収集者)の分析や気持ちが入ると面⇒多面体になり、ムクムクと立ち上がって縦横無尽に動き出す。そうとなれば、本音や建前などはどうでもよくなる感じだ。とにかく、テレビやお笑いや芸人が、時空を遡ったり飛び越えてぐいぐいこちらに迫ってきた。この感じ、既視感があるなあと思ったら、先日読んだ『つかこうへい正伝』でも味わった。
濃厚だけれど胃もたれしなかったのは、足枷設定のたまものだ。語り手に都合のいい後出しジャンケン的な言質を取らなかったのが効いていると思う。アツいけれど、対象との距離に、粘度や中途半端な生ぬるさがない。
読み終わったら、笑っていいとものグランドフィナーレが無性に見たくなった。
by月亭つまみ
まゆぽさんとの掛け合いブログです。第140回は「この不公平は不公平だ!?」→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」
サヴァラン
「知ろうとすること」は、ちょうど去年の今頃
受験が終わったむすこに買って渡しました。
そのとき選んだもう一冊が
「社会不満足」。
先日、春休みに入ったむすこがこれを手に
「おかーさん。世の中はかなりフクザツだねー」と。
ご主人さま(以前にお写真で拝見)
チャールズにそっくりっす!!
つまみ Post author
サヴァランさんのむすこさん!
確かに、世の中はかなりフクザツですけど
タンジュンなものをわざとフクザツにしているところもあると思います。
どうしてって?
その方が、アタマがよさそうに見えたり、商売になったりするから。
・・と、心の汚れた図書館のおばさんは言ったりするのでした。
チャールズ!?
寄せても、ホームレス・チャールズです(^^;)