ゾロメ日記㊸ 言い訳や芸術やこの世、の境目劇場
★主な登場人物★
●友人MM嬢・・駅の駐輪場で自転車のカギが入らず、蹴飛ばしてカギを壊して乗ってから、自分の自転車じゃなかったことに気づいた、という仰天ピソードを持つ頭文字ゾロメ女。
●木内昇さん・・新作が出るたびに「今までのも良かったけど、今回がベスト」と思ってしまう、わが敬愛作家。ちなみに女性。
●Cometさん・・新米言語聴覚士として日夜奮闘中(見てないけど、そうに決まってる)。
●私・・小学校の図書室パート。新1年生の貸出カード登録をしたら、キラキラネームのオンパレードが眩しくて、キラキラ酔いした、薄暗闇な中年。
◆4月某日
花粉症の時期は通常より顔が老けていると思う。
アレルギー反応で肌は過敏になっているところに、つい目をこするので、まぶたは赤味を帯びている。マスクを装着していることが多く、頻繁に鼻をかむので、顔面の潤いは根こそぎマスクやティッシュに吸い取られる感じ。そんなコンディションなので、化粧もおざなりだ。
でも、この惨状、真剣に訴えれば訴えるほど、言い訳くさくなるのはなぜだろう。そして、気がつくと、ほうれい線が深くなったのも、顔の輪郭がますますあいまいになったのも、全部花粉症のせいにしようとしている自分がいるのはなぜだろう。いわゆる「どさくさに紛れる」ってヤツか。
◆4月某日
友人MMと会う。待ち合わせは清澄白河。東京で最近いちばんオシャレなイメージになった街はここだろう。ちょっと前まで「それ、どこ?」な場所だったのに。

こんな渋い物件もある。
友人が予約してくれたイタリアンレストランで美味しいコースランチを食べ、幸せになって、現代美術館へ。
東京都現代美術館好きだ。年に二度ぐらいは、一人で特に目的もなく行って、隣の木場公園をからめてまったりするのが理想だが、このところ行けていなかった。2013年末、Cometさんの推奨(この記事⇒★のコメント欄です)で行って以来だ。
ロスト・ガーデンには幻惑された。

ロスト・ガーデンは、どう撮影しても自分が写り込むのだった。角度によっては何人も。2013年の複数のワタシ。
今回は、友人がタダ券をもらったというので、特別展示がなにかもわからずに行ったが「ピクサー展」だった。もんのすごく混んでいた。入場まで60分待ちだというので、思い入れのない私たちはとっとと諦め、常設展だけ見た。こちらはこちらで堪能。
現代美術に接すると、「なにが芸術なの?」「芸術だと思えば芸術っていうけど、はたして本当にそうなの?」という自問自答で頭が痛くなることがある。今回も、豊嶋康子さんという人の、自身の膨大な貯金通帳&振込カードの展示を見て、ちょっと頭が痛くなった。それは、難解とか理解不能というより、自分がふだん使っていない思考(脳)をフル稼働させた負荷による頭痛という感じだ。

今回、これも常設展でやっていた大友良英さんらによるインスタレーション作品『withot records』
何かを見るという行為は、それだけで、自分が思う以上に脳を動かすものなのかもしれない。
だとしたら、このところ義父の物忘れがどんどんひどくなっているのは当然だと思う。耳も遠く、視覚と聴覚、両方の情報が入ってこないのだ。なんだか暗澹たる気持ちになる。
◆今読んでいる本
『よこまち余話』 木内昇
実はまだ読み終わっていない。読み終わるのが惜しいから、先を急がず時間をかけて読んでいる。そんな本は意外と少ない。つい、意地汚く貪ってしまう。が、この小説はそうしたくない。もったいない。連作短編という形式のせいもあるだろうが、いちいち余韻に浸っている。
自分の生活にしろ、テレビや新聞、パソコンで触れる世界にしろ、見えるもの、聞こえることが全てではないと思いつつ、ついつい自分の視力聴力の範囲で一喜一憂したり、ジャッジしたりしてしまう。まるで、自分が見聞きしていない場所に世界は存在しないかのように。
でも、こういう小説を読むと、世の中は自分の知らない場所ばかりな気がしてくる。この世とあの世以外にも数多の世があって、それはパラレルワールドとも違う、次元のズレや生死の境目みたいなところで、自身の心のありようや佇まいで、見える箇所が違ったり、見えなかったりもするのかもな、とか。それは少し怖いけれどおもしろい。此岸の価値観や通念がなにほどのものでもないことを示すようで、ちょっと小気味いい。
・・まだ読んでいる途中なのに長々と書いてしまった。ずっと途中だったらいいのに。
by月亭つまみ
まゆぽさんとの掛け合いブログです。第141回は【ささやかな幸せ。】→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」
mikity
つまみさん、
なんと私も昨日から「よこみち余話」を読み始めたのですよ!
つまみさんと、一緒でうれしい( ´艸`)
分かります、分かります。もったいなくて読めない感じ。
私も昨日、電車の中で第1章を読んだのですけど、いけない、いけない、もっと家でじっくりと
読みたいと思い、続きを読むのをやめました。
読み終わったときに、主人公と離れるのが寂しく感じられるときありますよね。
もっともっとあちら側の世界に浸っていたいような気持ち。
木内さんにはもっと書いて欲しいような気もするけど、このゆったりとしたペースがまたよいのでしょうね。ガンガン新刊出されたら、ちょっとひくかも。
中島
「よこみち余話」読みたくなって、買っちゃいました。
これから楽しみに読んで行こうと思います。
現代美術って私も苦手です。みるからに綺麗なLED使ったインスタグラムとなどは感動するけど、あとはほとんどわけわかめ。
現代美術とは、わからないものと定義づけしちゃってます^^
つまみ Post author
mikityさん!
おおっ!それは奇遇です。そして、この小説についてリアルタイムで語り合える人がいる幸せよ。
そうなんです。出先や道中で小説を読むのもとても好きなのですけど、これはなんだかもったいなくて、ほとんど家で読みました。
そして、実は昨夜、読み終わってしまったのですよ。
余韻をやり過ぎて、寝るのが遅くなりました。
木内さん、確かに次々読みたいけれど、このペースがいいですね。
でも、今年は2冊ぐらい出るみたいで、それはそれで、もちろん楽しみです。
この小説のmikityさんの感想、楽しみ。
あ、もちろん、急がずじっくり読んでくださいねー。
つまみ Post author
中島さん、わおー!お買い上げ、ありがとうございます(と、私が言うのもおかしいですけど)。
この小説、中島さんだったらどんな挿画を描くだろうなあ。
きっと、描きたくなる世界だろうなあ。
読み終わる前と読み終わった後で、自分のいる世界が違って見える小説が大好きなのですが、これはまさにそういう小説でしたよ。
現代美術、なんかこっちが試されている気がしてうっとうしいときもありますが、それもコミで楽しめることも。
相性?
花緒
私も3年前にこちらのブログを読んで東京都現代美術館行きました、うさぎスマッシュ展に!
私もロスト・ガーデン撮影しました(^^)
2階か3階の、オイルの張ってある部屋も不思議でした。
女友達と4人で観てから移動してランチしました。
清澄白河のお洒落なカフェやレストランも行ってみたいですね。
つまみさんや中島さんのコメントを読んで安心しました。
ロスト・ガーデンみたいな展示がたくさんあると思って行ったので、他は分からないものが多かったです。
木内昇さんに興味が湧いて来ました。
「今までのも良かったけど今回がベスト」という事は、古い順に読んだほうがいいのかな?
つまみ Post author
花緒さん、こんにちは。
うさぎスマッシュ展は、においとかオイルの部屋とか、スニーカーが並んでいるのとか、フシギな展示が多かったですね。
内心「なんじゃこりゃ?」と思ってました。
木内昇さん、私は順不同で読んでいますが、いつも、いちばん最近読んだのがベストだと思ってしまいます。
きっと、どれも読後感(読了感?)がいいのだと思います。
地味だったり、暗かったりもするのですけど。