ゾロメ日記 NO.69 春なのに 春なのに ため息またひとつ
◆4月某日 椅子の主張
30年一緒に暮らし、2月に93歳で亡くなった義父の四十九日と納骨が終わった。義父の不在は日常になりつつあるが、時折、あれ?いないんだ、と虚を衝かれたように周囲を見回してしまうことはある。犬が死んだときもしばらくそうだった。「犬と一緒にするな」と言われそうだが、義父本人はむしろ喜ぶと思うので躊躇せずに書いてみた。
義父のものは、徐々に処分したり、しまい始めてもいるけれど、洋服や靴、補聴器、椅子など、ついこの前まで日常的に使用していたものが無造作にまだそのへんに置いてあったりもして、それらは、使い手が登場するのを待っているような、諦観しているような、ハナからなんとも思っていないような、とにかく日々佇まいが変化する感じだ。こちらの気分を反映しているってことなのだろう。
今日は椅子が存在感を主張している。昨日、案外強い義母の希望で処分することに決めたせいだ。義父のものが徐々に減っていくことは淋しいけれど、視界にあり続けたり存在し続けることで感じる淋しさもある。
義母がどういう気持ちで義父のものの取捨選択をしているのかは正直わからないし、もしかしたらその判断力が鈍っているのかもしれない。が、基本的には義母の気持ちを優先している。60余年一緒に暮らしたつれあいの気持ちの前には、こっちが抱く要不要の選択なんてちっぽけに思えるから。なあんて、単に自分が判断を放棄しているだけかもしれないけれど。
◆4月某日 昔「銀座わが町」ってドラマがあったっけ
久々に銀座に行く。快晴の日曜日ということもあってか、友達と待ち合わせした銀座三越の玄関前は、待ち合わせ&信号待ちの人がすごくて、ほうほうの体で店内に避難。
ノエビア銀座ギャラリー で開催中の「土門拳写真展 昭和のこども」を見る。昭和のこどもの写真展と聞くと、足を運びたくなる。原宿を歩いていてラフォーレ原宿で開催されていたアラーキーの『さっちん』展にふらっと入って以来の習慣(?)だ。たぶん20年ぐらい前のこと。あれからけっこういろいろな写真展を見てきたが、写真家の名前はほとんど覚えていない。
写真集をめくるのも楽しいが、この分野は個人的に、ギャラリーで壁に張り出されたのを見るのが好き。今にも動き出したり、声が聞こえてきそうで。今回の写真展は展示数は少なかったが、思わず笑ってしまうこどもの表情を見ることができて満足した。
その後、1年ぶりに教文館書店に行く。 西巻茅子展をやっていた。正直、1~2冊しかその作品を知らない人だが、展示はよかった。最近、自分は気骨のある日本女性に興味があるらしく、沢村貞子、武田百合子、高峰秀子、島尾ミホ、などに関する本をちょこちょこ読んでいるが、西巻茅子さんもそのグループの人だと思った。安直で凡庸な括りだろうか。
◆4月某日 負のスパイラルから抜け出せ!
2014年度から2つの小学校で司書のパートをしているが、今年度から勤務校が2つとも変わった。いっぺんに2校が変わることに対して、ある程度のとっちらかりは覚悟はしていたものの、この仕事に就いて4年目になるわけだし、なんだかんだ言っても年数相応の経験値というのが発揮されるのではないか…と思いきや、予想以上にハードなのだった。ああ、考えがvery sweetでした。
公立小学校という絶対的な括り、しかも同じ自治体のわけだが、それぞれの中に入ればローカルルールまみれである。図書室の場所や広さはもちろんのこと、パソコンのヴァージョン、児童の利用の規定、本の管理や選書に対するこちらの権限、図書だよりのチェック頻度、給食を食べるか否か、日報やバックアップデータの取り扱い、学校における図書室の立ち位置、司書と先生の距離感(はあはあ…)、なにもかもが違っている。
今までの学校ではふつうにやれていたことがオオゴト扱いで許可が必要だったり、逆だったり、まだ全然把握できていない。オリエンテーションや読み聞かせというイベントより、そういうことで疲労困憊だ。
こういうのって、私の仕事に限らないことだと思う。慣れればかなりラクになる…と、わかっているけれど、つい、不慣れさに対して卑屈になる自分がいる。ローカルルールに不慣れ⇒緊張する⇒ふだん以上にミス⇒ますます緊張⇒慣れに時間を要する の負のスパイラル。
自分のことじゃなかったら「慣れてないことと仕事ができないことは違うよ」と知ったようなことを言うのだろうが、こと自分の話になると、そういう俯瞰もできない。医者の不養生(全然違う)。
とにもかくにも、私と同じように、新しい環境で右往左往しているみなさん、愚痴や弱音を日々の緩衝材にして一緒にがんぱっぺ。
byつまみ
まゆぽさんとの掛け合いブログです。→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」
nao
こんにちは。
春から新しく、というのが年々しんどくなっています。全く新しいことも辛いけど、上司が変わる、組織が変わるというマイナーチェンジも結構ストレスです。
今年は私の職場は同じなのですが、組織再編で建物の代表電話がテープ対応(これまで交換手さんが回してくれた)になり、他の課の問い合わせがたくさん入ってくるようになりました。どの課が何の仕事をしているのか網羅していないので、すごく混乱しています。
今更ながら交換手さんがいるってありがたかったんだなーと思います。
新しい学校でのお仕事、慣れるまで大変だと思いますが、しんどい時は少しペースを落としてやり過ごしてみてください。もうすぐゴールデンウィークです。
つまみ Post author
naoさん、こんにちは。
コメント、ありがとうございます。
「変わること」のハードルが年々上がっている気がします。
若いときは、平気だったのが今ではフシギです。
交換手さん、ありがたいですよねえ。
デキルひとであれば、かける方も説明は一度で済むし、受ける方は篩にかけてもらえるわけで、効率的ったらありゃしません。
電話ってクセモノですし。
慣れて、開き直れる日ももうすぐ!…と思ってがんばります。