4月25日はカレー記念日

カレー記念日

両親の 命日をもう 忘れかけ

4月25日はカレー記念日

月亭つまみ

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カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

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ゾロメ女の逆襲

ゾロメ日記 №60  長い一日 劇場

 

◆11月28日 心の救急車

初めて救急車に乗ったのは西暦2000年、実家の母が、入院していた家の近くの病院から、車で40~50分ほどの地域ではいちばん大きい総合病院に転院したときだ。

母の病気は重篤で、その3ヶ月後に亡くなってしまったのだが、転院時はまだ意識が明瞭だった。救急車に同乗してくれたナースと私は、車中で気を紛らわせるように共通の知り合いである従兄の話をしたが、私が従兄を評して「さだまさしについてアツく語りすぎ」とコメントしたときは、ナースと共に母も声を上げて笑ったものだった。

救急車の後部は病人(怪我人)優先仕様なので、付き添い同乗者にはあまり乗り心地が良くない。そのときは睡眠不足が続いていたせいもあって私はがっつり車酔いした。いろんな意味で二度と救急車には乗りたくないと思った。

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そんな救急車に久しぶりに乗った。義父が突然変調をきたしたのだ。93才なので迷わず(うそ。少し迷った)119番通報した。まず「救急ですか?火災ですか?」と聞かれた。聞かれることは知っていたが、本当に聞かれるんだなとちょっと肩の力が抜けた。

 

遠くから救急車の音が聞こえてきたとき、少し胃のあたりが縮むような気がした。その理由が、非常事態の正式なゴングのような気がしたからなのか、あの16年前の記憶のせいなのか、もしかしたら、ただ空腹によるものなのか、はわからなかった。

救急車の音がいよいよ大きくなったので、出迎えるために玄関を開けると、ちょうど隣の家の人が出かけるところだった。思わず「今、近づいてくる救急車はわが家に向かっているのです」と言いたくなったが、自分が出がけに隣人にそんなことを言われたら困惑するだろうと思い、会釈だけにした。

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救急車は家の前までは入らず、近くのパン屋さんの前に横付けされた。そこから担架と共に3人の隊員が降車した。こちらですと手を挙げる私に向かって、隊員の1人が「月亭さんですか」と確認してきた。ちょうど昼どきだったせいもあって、パン屋さんに来たとおぼしき人々もいっせいにこちらを見た。私はそのへんの人全員に向かって「はい、月亭です。」と名乗るかっこうになった。

救急隊が家に入ると、2人は義父、1人は私、担当になり、私は症状の詳細や昨日今日のこと、かかりつけの病院名、今までの入院歴などなど矢継ぎ早にたくさんの質問を受けた。その間に、義父担当の2人は、義父に話しかけたり、体温や血圧などのバイタルを測定したり、かかりつけの病院に連絡をしてくれたりした。

それらが済むと、義父は毛布にくるまれ、ベッドから担架に移動し、外に出た。荷物を抱えた私も後に続いた。お天気がよく暖かい日でまだよかったと思った。でも、義父の顔色は家の中よりずっと白く見えた。

担架に横たわる義父のくせっ毛を見て、義父が昨日「散髪に行きたい」と言ったことを思い出した。まだいいような気がして連れて行かなかったが、連れて行けばよかったかなと思った。パン屋さんの向かいの義父の行きつけの床屋さんは閉まっていて、それで今日が月曜日であることを思い出した。担架に続いて救急車に乗り込むとき、16年前に母と乗ったときのことは全く脳裏をよぎらなかった。

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道路を優先走行できる救急車だが、だからこそ、遠慮がちに慎重に進むものなのだった。後部座席から外の風景はほとんど見えないが、「赤信号ですが直進します」を繰り返しながら、意外なくらい「ゆっくり急ぐ」ものだというのはわかった。

病院に到着すると、家族は待合室で待つように言われた。救急車を呼んだ場合の状況説明は、付き添い者ではなく救急隊員がするものらしい。そのための、自宅での矢継ぎ早のたくさんの質問だったのだ。

30分ぐらいすると、私にたくさんの質問をした救急隊員が来て「状況は全て医師に伝えました。私たちの仕事はここまでですので、帰ります」と言った。反射的に席を立って外を見ると、他の2人の隊員がちょうど出ていくところだった。「私たちの仕事はここまでです」という文言と去り方がなんだか全方位的にかっこよかった。

言葉で気持ちを伝えたい気がしたが、ただ「ありがとうございました」と頭を下げることしかできなかった。日々、救急隊員に向けられる「ありがとう」は、シチュエーションは違えど、どれも言外にこぼれ落ちそうな気持ちを含んだ密度の濃いありがとうに違いない。そして、言われる方もきっとそれはわかっている。ことさら言葉を重ねなくてもいいのだろうなと思った。

 それから2時間待合室で待たされ、義父の病気と、入院が必要であることを告げられた。入院が決まってからも検査や処置が続き、仕事先から来た夫と家に帰ったのは、救急車を呼んでから8時間後の夜8時だった。お昼も食べていなかったが、空腹は感じなかった。が、家に帰ったらすごくお腹が空いて、かき込むように食事をした。長い一日だった。

 

◆最近、読んだ本

『浮遊霊ブラジル』 津村記久子/著

なんだ?この短編集は。静謐~ブッ飛んだ、までの振り幅が大きいんだか、一周回って同じなんだかわからない世界が、次々に登場。死が近くて妙に安心する。それってすごい。

by月亭つまみ

まゆぽさんとの掛け合いブログです。→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」

★毎月第三木曜日は、はらぷさんの「なんかすごい。」です。

 


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