犬の散歩とは、絶対に無事故で家まで帰ってくるミッションの遂行なり。
こんにちは、カリーナです。
年がら年中、書いているのでご存知の方も多いと思いますが、わたしは、スーという6歳のオス犬(雑種・18キロ)を飼っていて毎日毎日せっせと散歩しているのです。この散歩というもの、傍から見ると、ただ歩いているだけのように見えるかもしれませんが、必ず何か小さなアクシデントが起きるスリル満点、一瞬も気の抜けない行為なのです。
昨夕は、階段を上って公園に入ると、真反対にいた小学1年生ぐらいの男の子と女の子が「ぎゃー!犬だーーーー。わんちゃーん!わんちゃーん!」と絶叫しながら、2機の戦闘機のように螺旋を描きながら爆走してきました。大きめの雑種に熱狂する珍しいタイプのキッズです。
砂場の向こう側に二人が仁王立ちし、肩を上下に動かしながらハーハーと口から息を吐いて、キッラキラ輝く疑いなき目でこちらを見たとき、わたしは、手の平を広げて腕を伸ばして静止し、大きな声で「ちょっと待って。待って。お願い。ストップ。それ以上、寄らんとって。この子、怖がりやから。ごめんね。ありがとうね。ごめんね」
あっけにとられた子どもたちは、せっかくの興奮に水をさされ、きょとんとして不満げです。ごめんやでえ。ほんまにごめんやでえ。おばちゃんも犬と触れ合ってほしいけど、そのやり方では触れ合えんのよ。犬がびっくりすると、君たちもびっくりするやろう。犬と子どもの組み合わせほど予測不可能で怖いものはないのよ。
さらに家の近所まで来ると顔見知りのおばさまに「あらあ。何歳になった?」と声をかけられました。「おとなしいねえ」と言いながら、手をひらひらとさせて近づいてこられます。
これも、うれしい。ありがたい。でも、手の平を頭の上でひらひらしながら近づかれると、スーは警戒して避けようとする確率100%。
「おとなしいんですけど、怖がりで…へへ」と言いながら、リードを引いて少し距離をとります。安全策、安全策。
この方が昔飼っていた犬の思い出話などをしていると、何を思ったか、スーは女性のほうに近づいていきます。近づくんかい。
「あら?どうしたん?」「すみません。ちょっと匂いだけ嗅がせてもらえます?」「はいはい。もう、コロちゃんは死んじゃったから、匂いはしないけどねえ」スーは、手の甲やスカートのすそあたりを遠慮がちにクンクン。
そして、やおら、その人の隣にちょこんと行儀よくお座りするではありませんか。まるで、その人の飼い犬みたいに並んで、おさまりかえって。
ここでは、お利口なんかい。
犬のなかには、「いつも例外なく人懐っこい」「いつも例外なく犬懐っこい」タイプもいるのでしょうが、うちは、そこらへんビミョーです。警戒心が強いので、相手の行動にびっくりして跳びはねたり、逃げようとしたりする。つまり、私には、相手の人の行動を読み、それによって引き起こされる犬の行動を予測し、それによってさらに引き起こされる相手の反応を予測して対応するという、何手も先を読む棋士のような判断力が必要なのです。
さらに18キロとそこそこのサイズなので「犬嫌い」の人とすれ違うときも注意が必要です。うっすらと発せられる警戒オーラとかすかな嫌悪の仕草から、「近づかないでほしい」というサインをすばやく察知して十分に距離をとり、安心感を与えなければなりません。
さらに野球少年のボールが転がってきたらスーが見つける前に拾うか、間に合わずに咥えてしまったら口に手を入れて奪還し、「ごめんねえ」と謝りながら少年たちに返さねばならないし、爆走せずゆっくりと近づいて触ろうとする子どもには、「んじゃ、おやつあげてくれる?手のひらに乗せてね」とインスタント動物触れ合い教室も開かなければなりません。
つまり、散歩というと呑気なようですが、その実態は、「万一、何かあれば相手を傷つける可能性のある敏捷でパワーのある動物」を平和裏に連れ歩き、絶対に無事故で家まで帰ってこなければならないというミッションの遂行なのです。そりゃ、緊張するわ。
犬に100%はなし。
今後も警戒を怠らず、歩きたいと思います。
今週もオバフォーはコツコツと更新します。時間のあるときに遊びに来てください。待ってます。
きき
カリーナさんはじめまして。長い間読んでいるだけだったのですが、今日はもう、コメントせずにはいられません!頷きすぎて首もげそう。
相手は善意と好意のかたまりなのでひたすら謝ります。ごめんね、臆病なんですよ~、ホント怖がりでーなんて。
声かけていただけるのは嬉しいのです。だから申し訳なくて。
我が家は中型犬二頭。一頭が珍しく撫でてもらってると思ったらもう一頭は後ずさりでハーネス抜けそうでハラハラ。
頭の上じゃなくて下から出してまず匂い嗅がせてねーって子供相手にミニふれあい教室、どこでも開講です。
そのほか変なもの拾うのを阻止したり雪道で引っ張られて転んだり。楽しそうに見えて今日も脇汗びっしょりです。
好きで飼っているんだから文句言ったら叱られますね。今日もミッション遂行、がんばりましょー!
カリーナ Post author
ききさん
コメントありがとうございます!頷きすぎて首もげそうなんて言っていただけて、書いた甲斐がありました。
中型犬2頭のお散歩、頭が下がります。
ハーネス抜け、そうなんです。あれ気を遣いますよねえ。
頭のほうから引っ張ると犬が後退したときにすっぽ抜けるんですよねえ。ああ、怖い。怖い。
子ども相手のミニ触れ合い教室も同じです。なかまーーー。
あれも、子どもの期待に応えたいし、何かあったらいけないしで気を遣いますよねえ。
変なものを拾うのの阻止も毎度です。
転倒の危険とも背中合わせ。
ほんとに今日もがんばりましょう!!これから夕方の散歩に行ってきます。無事故、第一!
aiko
カリーナさん、初めまして。
”一緒だぁー”って思いました。
のんびりお散歩じゃないですよね。
目配り気配り、キョロキョロ、前後や右左、常に気にしていますよね。
わが家はお散歩大好きグイグイ黒柴と
お散歩嫌いノロノロ白柴、それぞれ11kg。
ふたりに挟まれて右往左往です。
なかなかお散歩も大変です。
白柴は穏やかな子なので、いつも撫で撫でして貰う担当です。黒柴は、気が強いから無理ですよ〜って先にお伝えしています。
1日5000〜8000歩はこの子達がいてくれるからなので、少しは運動不足を解消出来てるかしらと思っています。
アメーバは5年程前に登録はしたものの、放置状態で昨年の暮れ辺りから見るようになりました。
『夫が倒れた!献身プレイが始まった』をネットで見つけた時、読んでみたいなって思ったものの、そのままになっていました。最近…カリーナさんとお名前が似てたようなって思って、ドンピシャでした。
一気に読んでしまいましたよ。
カリーナ Post author
aikoさん
コメントありがとうございます!
これ、ずーっと感じていたことを書いたので
一緒だーと思っていただけてすごくすごくうれしいです。
ほんとに常に周囲を気にして歩いていますよねえ。
白柴と黒柴ですか。グイグイさんとのんびりさんのお散歩をなさっているなんて
めちゃめちゃ上級者!すごいです。
本も読んでくださったんですね。
光栄です。一気に読んでもらえてよかった!
今日も明日もがんばってお散歩しましょうねー。
aikoさんも頑張っていると思って私も頑張る。