救い、そして希望:大学じゃがいも
2月末にグループホームで脳梗塞を発症した母。急性期病院に1ヶ月入院した後、今はリハビリ病棟のある病院に転院しています。
母が救急搬送された時、元々認知症だった彼女が今度は脳梗塞になって、その脳の中は一体どうなってしまうんだろうと何とも言えない気持ちになりました。きっとその機能はとんでもないことになっているに違いない。でも、どんなふうに?
母の脳で何が起きていたのかはわからないけれど、ある程度状況が落ち着いてきたも彼女が自分が置かれている状況を理解できていないのは明らかでした。何が起きているのか分からないのに、今まで見たことのない部屋で今まで見たことのない人に囲まれて、鼻に管が入り、両方の手をミトンで覆われて、母は混乱していました。(経鼻栄養の管を抜いてしまうので、両手にミトンを着けていました。これは私たちも了承済み)
病室で大きな声を上げるようになりました。
リハビリ病棟に転院してからも、母は声を上げ続けました。そりゃあそうです。また、今まで見たことのない部屋に今まで見たことのない人たちがやって来て、鼻にはまだ管が入っているのですから。(それでもミトンは外れました)
いくら認知症だとはいえ、何でこんなふうになってしまうの?まるで動物が声を上げているみたい。
母の声を聞くたびに私の心はざりざりと削られました。
ある日のこと、病室へ行くとベッドサイドに小さなCDプレーヤーが置いてあって、美空ひばりの歌が流れていました。転院した時に私が調査票に「母は歌が好きだ」と書いた言葉をスタッフの方がちゃんと読んで、覚えていてくださったのでしょう。
「こんなことをしてくれるなんて、優しいね」と言うと母は頷き、「でも、お母さん、美空ひばりは好きじゃないよね」と言うと「へへっ」と笑いました。
ああ、この人はわかっている。上げていた声は咆哮などではなく、何か意味があるんじゃないだろうか。
先日、母を担当してくださっている理学療法士さんから、母の様子やリハビリの経過を報告する電話がありました。20代半ばから後半くらいの若い男性です。一度彼が母にリハビリをしてくれる時に立ち会ったことがあります。美空ひばりに替わって私が持って行った童謡のCDが流れる病室で母の脚をマッサージしながら「僕、この歌知りません。初めて聞きました」(割と有名な童謡で)と言ったので、隔世の感とはこのことかと笑いました。
そんな若い彼が言うには「お母さまが上げる声は2種類あると僕は考えています」と。
曰く、「僕の言葉に頷いたり何らかの反応をしている時の声は、何かを言おうとして思わず出てしまう声。そうでない時に上げている声は、枕の位置がずれているとかトイレに行きたいとか、不満や要求を訴える声なんじゃないかと、お母さまを見ていると感じるんです。お母さまが上げている声には意味があります」
母の声には意味がある。
私がそう考えるのは身内であるがゆえの願望かもしれません。理学療法士さんがそう考えるのも絶対に正しいとは言い切れません。
でも、たとえ母の上げる声に意味がなかったとしても、それでも私は療法士さんが母をしっかりと見てくださっていることがとてもうれしかった。実の娘ですら「動物みたい」なんて言って諦めかけたというのに、彼は諦めずに母を人としてしっかり見て、探ってくれている。それが仕事なのだから当たり前と考えることもできますが、小さな絶望を孕む病を抱えた患者の家族には、患者の尊厳を守りながらきちんと仕事をしてくれる専門家の存在は救いであり、希望なのです。
母はまだ声を上げます。喉が痛くなるからやめなよと言っても、時に絞り出すような声を上げます。最近は私も、ただ不快や抵抗の叫びを上げているのではなく、何か言いたくてもそれが言葉に出来ず、音量の調節もできないのだなと思うようにしています。先日面会に行った時も、何が言いたいのかわからない声を上げて、そしてその合間にふと「ありがとう」とはっきり言って涙を流しました。
とはいえ、これが「クララが立った!」レベルの感動の進歩だとは私は思っていません。母の苦闘と私たち家族のざりざりはきっとまだまだ続きます。
それでも、そこに真摯なプロが手を添えてくれるのだとしたら、それは暗くて長い道の足元を照らす灯りになってくれるだろうと私は思っています。
それにしても、医療、介護のプロの皆さんのありがたいことよ。
そんなこんなでここ最近、物理的にも精神的にもなにやら慌ただしい日々を過ごしています。なので毎日の料理もちょっと面倒。手を抜きたい。(慌ただしくなくても同じこと言ってるじゃん)というわけで、冷凍食品を使う頻度が増えてきました。
今日ご紹介する一品は『大学じゃがいも』です。ご存じのように、大学いもはさつまいもで作るもの。ですが、さつま芋をカットして、水にさらして、その水を拭き取って…とちょっと面倒臭い。そこで、冷凍のフライドポテト(くし切りのもの)を使ってみました。おやつにしてもおかずにしても美味しいですよ。
大学じゃがいも
- フライパンに醤油、砂糖、水、酢(ほんの少し)をあわせておきます。
お酢は味のためではなく、蜜が固くなり過ぎずにお芋にうまく絡むために使います。 - 冷凍のフライドポテト(くし形にカットされたもの)を油で揚げ、油を切っておきます。
- フライパンを火にかけ、全体がふつふつと沸くまで煮詰めます。
- 揚がったじゃがいもをフライパンに加えて蜜を絡めるようにさっと混ぜ合わせ、蜜がトロっとしたら出来上がりです。
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