4月26日はカレー記念日

カレー記念日

背中痛い 言われてのみこむ 私もよ

4月26日はカレー記念日

Jane

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カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

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なんかすごい。

祖父は生きている。

 

 

 

 お天気に恵まれたゴールデン・ウィーク、我が実家では、じいさんが死にかけていた。

 この「なんかすごい。」でも何度か書いたことがある人形づくりの祖父だが、去年の11月で103歳になった。そして、低空飛行ながらも4月くらいまではそこそこ元気でやっていたのが、ここのところ急に弱って、母親から「ちょこちょこ顔出すようにしときなさいよ、刺激にもなるし」と言われていた矢先のことである。

※祖父について書いた記事はこちら→「100歳の明日」「祖父が取材をうけた話」

 

 4月29日、仕事中に母親からラインが入り、「おじいちゃんが変だからすぐに連絡してください」と書いてあった。余談だが、SNSを使い慣れない母のラインは直裁的で非常にこわい。いそいで電話をかけると、「気持ちが悪いというので医者にかかったら、あと数日と言われた。で、どこで看取るかなんだけど、〜」といきなり本題に入ってきたので、ちょっと待て!ええ!もうそんなとこ?!と慌てた。

 じつは祖父は10年来の大きい腹部大動脈瘤を抱えていて、随分前からもういつ破裂してもおかしくない、と言われている。それが、どうもいよいよ破けはじめているようだ、というのが医者の見立てだとのことだった。
 その大動脈瘤だが、どのくらい大きいかというと、定期検診で総合病院にかかるとき、主治医が研修医たちを呼んで、「生きてる人間でこんなすごいの見る機会そうそうないから、触っときな。」と言うくらいである。「だいたい破裂して運び込まれたケースしか見ることないから」って…医者の業…。

 

 ともかく、母親に祖父の容態のほうをよく聞くと、意識はしっかりしていて、今は体調も落ち着いているとのこと。でも数日なのか。母との電話が切れないうちに、今度は職場の電話のほうに妹から電話がかかってきたと同僚が呼びにきた。みんな大慌てである。

 数日だけれど今ではない。なにがなんだかわからないが、じゃあ仕事が終わったらすぐ行くよ、と言って電話を切った。

 

 終業時間と同時に職場を出て、実家に電話を入れると、父が出た。「じいさんどうしても帰りたいと言って、家帰ってきた。」とのこと。「なんか寿司食べたいって言ってるから買ってきて。ホタテ。」

 ええー?!気持ち悪い人が寿司なんて食べていいの。でもあと数日なんだったら、食べたいものなんだって食べればいいさ。いったん家に戻って、着替えだけ持って飛び出す。
 立川のデパ地下で寿司(ホタテ)を買って実家に着くと、寝ているとおもいきや、祖父は自室でベッドの上に起き上がってテレビを見ていた。
 買ってきた寿司を3つくらいも食べ、そのあと顔を見にきた叔母やいとこたちに、「今日はひどいめにあったから、酒飲んで寝るか」などと冗談までとばして、10時過ぎに床についた。

 今夜、次の間にわたし寝ようか、と提案したが、「夜中にトイレに行くかもしれないし、邪魔だからいい。」と断られる。そ、そうですか…トイレ自力で行くんだね…。しつこいようだけどあと数日…。

 

 ところが、翌日じいさんはふたたび体調を崩し、結局救急車でまた病院に逆戻りした。そこで、私たちはいよいよ「こりゃあ…」と思ったものである。
 午前中から祖父の妹であるKおばちゃんや甥のおじさんも様子を見に来てくれていて、はからずもみんなで搬送を見送ることになった。Kおばちゃんなんか、早くも「ほんとによくしてくれたねえ、もう十分だよ。」なんて言っちゃって、すっかりみんなその気である。

 

 私は父と一緒に救急車に乗り、病院へ向かった。ストレッチャーの上の祖父は、ずいぶんとしなびて小さく見える。曲げた腕や足首の骨と腱のあいだがくぼんで、水をそそいだら、たくさん入りそうだな、と思う。猫も犬も、年をとるとみんなこういう風になる。
 それでも頭はしっかりしていて、名前もちゃんと言え、救急隊員さんの「誕生日を言ってください」との問いに、「大正3年11月28日」と答えていた。「合ってますか?」と隊員さんが確認してきたので、「合ってます、合ってます」と自慢する。

 連休中の病院は混んでいて、午後もだいぶ遅くなってから、とりあえず救急病棟のベッドに落ち着いた。祖父は点滴に入れた薬で吐き気もおさまったらしく、眠そうにしているので、いったん帰ることにする。夜中にもう一度様子を見に行くが、異常なし。

 

 

 その翌日から、祖父の容態は超低空飛行のまま安定してしまった。食事をほとんど取らず、一日うとうとしている日もあるが、食べる時はサンドイッチ一枚ぺろりと食べて、私たちを驚かせたりもする。
 火曜日には「週刊朝日買ってきて」といい、5月2日の私の誕生日をちゃんと覚えていて、当日封筒に入ったお金をくれた。ノートとペンを持ってこさせて、見舞いにきた人、医者に伝えた話、ぜんぶ書き留めている。

 本当にあと数日なのか…っていうかもう数日以上経っているんですけど。

 やがて主治医の先生も、「もしかして、ちがったのかなあ。」と言いはじめ(おい!)、まあ、連休明けまで様子をみましょうということになった。

ノートをとるじいさん

 

 そして今日(書いているのは15日夜だが)、祖父はどっこい生きている。

 連休明けの再検査の結果、および祖父の容態から察するに、いつなんどき、という状況には変わりはないが、今日明日というほど切迫していない、のではないか、ということになった。
のではないか、とかあいまいなのは、もう造影剤を入れての検査とか体に負担がかかることはしないことにしたので、ほんとのとこはわからない、すべて推測なのである。

 

 ともかく、じいさんはにわかに死ぬことはない!
 にわかに死ぬことはない!

 

 この一週間はなんだったんだ。私たちはぐったり疲れ、同時にとてもとても安堵した。祖父はまだ死なない…。

 しかし、私たちみんな、もう祖父は死ぬんだと思って、大急ぎで心の準備をしていたことが可笑しかった。
それは、今回の顛末が、なんとなく私たちが予期していた祖父の出立と、とても合致したせいもあるだろう。
ここまで元気に生きた祖父だから、その時は突然来るだろう、きっと長患いはしないだろう、もしかしたら、ある朝起きてこない、そういうこともあるだろう。

 みんな思い思いに、そうか、その日はこういう風にやってくるのか、と納得してしまった感があった。って早まるなよ!…人間って、どうしてすぐ順応してしまうのだろう。

 

 祖父が入った病院は、救急病院を主にしているところなので、予断を許さないけれども積極的な治療もしない、祖父のような患者を長く入院させておくことはできない。そこで、近く別の、療養型病院に転院することになった。

 祖父はもしかしたら、思いのほか病院で長く暮らすことになるかもしれない。それは、じいさんは、家で死ぬ、くらい屈託なく思っていた私たち家族の誰も、予想していなかったことだった。ずいぶんノーテンキだと思われるだろうが…。
やっぱり、人生は最後までわからない。

 ちなみに今回の入院で、家族のだれひとりとして、祖父の入れ歯の手入れ方法を知らなかったことが判明した。自立しすぎの103歳。
私は子どものころから、祖父が入れ歯を出し入れしているのを見たことがない。

 

 先日は、病院の人がぜんぜん言うことを聞いてくれないと言って、「もっと個人の意思を尊重してもらいたい。」とずいぶん怒っていた。
 そして今、私はじいさんから風邪をうつされ、ふらふらである。
 数日前、けん、けん、と軽く咳をしているので、「あれー、風邪かね?」と言ったら、「だったらMちゃん(わたしのこと)、危ないな」とにやっとしていた。でも、病棟内だし、乾燥してるからな、くらいに思っていたら、翌日からまんまと喉がはれ、頭痛、発熱、鼻水に咳……風邪だよ!! 

 しかし祖父にこれといって咳以外の症状はあらわれていないそうだ。老人の体では菌も繁殖できないのか?
 若い体(わたしのこと)を手に入れた風邪菌は、体内で日々その姿を変えていく。「あと数日」のはずだったじいさんから、よもや風邪をうつされるとは…。
祖父もわたしも、生きている。がんばれじいさん。いや、がんばらなくていいから、死ぬまで生きろ。

 

By はらぷ

 

※「なんかすごい。」は、毎月第3木曜の更新です。はらぷさんのブログはこちら

※はらぷさんが、お祖父さんの作ったものをアップするTwitterのアカウントはこちら。

 

 

 


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コメント、ありがとー!

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    江ノ島カランコロン

    うーん まさしく なんかすごい…
    私は 父母義父母ともに生きております。
    でも、それぞれに大病抱え それなりの生活。
    身近にあるはずなんだけど いっこうに実態のつかめない 死というやつ。
    生きるって 死なないって なんかすごいなぁ。
    人間って なんかすごいなぁ。

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    AЯKO

    いややや、本当に人の生死はどうなってるのか人間にはわからない。そして本人の意思じゃなくても、周りの家族を大いに振り回し、孫に風邪をうつし、っていうのが生きている証なんだね。生れ落ちるのも相当のことなら、死ぬのも相当のこと、死ぬまで生きるっていうのも簡単ではないね。

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    はらぷ Post author

    江ノ島カランコロンさん、こんばんは!
    コメントありがとうございます。

    そうか、江ノ島カランコロンさんのご両親、それぞれにご病気とともに、日々を送っておられるのですね。
    ご本人にとっても、周りの家族にとっても、いつもどこか頭の片隅にある「死」というやつ。でも、ふだんはその存在に慣れてしまっているのか、見ないようにしているのか、けっこう平気で暮らしていたりもします。
    かと思うと、ふとその黒々とした翼を感じて、しばし立ちすくんだり。
    「そのとき」がくるまで、ほんとうにはわからないものなのかな。それが、生きてるものたくましさなのかもしれませんねえ…。

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    はらぷ Post author

    AЯKOさん、こんばんは!

    ほんとうに、さまざまなことに挑戦し、打ち克ってきた(かにみえる)人類ですが、生と死だけは最後の最後までわかりませんねえ。
    どんなに始末のよい人でも、やっぱり最後には多かれ少なかれ、周りの人を巻き込んで死んでいくのだよね。
    子どものいない自分は、どうなるかなあ、なんてことも考えてしまいました。

    どんなに医学が進んでも、生まれるときは命がけ、死ぬときも命がけだ。
    あ、死ぬときはほんとうに命と引き換えだから文字通りそうですね!

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