ゾロメ日記 NO.66 極私的(気づいちゃった)言いまつがいワールド
※前回、義父の永眠のご報告をしたところ、多くの方々から哀悼の言葉をいただきました。どなたの言葉も心に沁み入りました。ありがとうございました。中に「大きな悲しみの中にもとても温かな波を感じる」と言ってくださった方がいて、死という絶対的な事実の前にこぼれ落ちかけていた大切なものを、柔らかい所作で掬いとってもらったような気がしました。悲しみはネガティブに寄っている感情ではあるけれど、絶望と直結しているわけではないことに気づいたというか。
そんなわけで、私は元気です。
◆3月某日 可愛すぎる
家族のひとりがこの世を去って、葬儀が終わり、月もあらたまった。四十九日までは落ち着かないし、事務手続きをはじめ、やることは山積みだが、気が抜けた。
亡くなってからお通夜までかなり日数があったので、その時点で相当気が抜けたが、葬儀後のそれは一段階も二段階も上の気抜けっぷりだ。炭酸成分ゼロである。その状況を立証するかのように、現在の仕事(小学校の図書室でのパート)の命綱とも言えるUSBカードを持たずに出勤してしまった。
前の週、ほぼ作成が終わっていた図書だより3月号は発行できず、今年度の業務報告書も進められない。やさぐれる。でも、一年男子に真剣な顔で「先週、センセーが読んでくれた『わらべしちょうじゃ』どこですか?」と聞かれ、しばしの絶句後、復活した…気がする。
“わらべし”だって。可愛すぎる。一昨年、やはり一年生が「もめん」を「めもん」と言った事例に匹敵する可愛さだ。図書だよりがなんだ、業務報告書がどうした、という気分になった(それはそれで問題)。
◆3月某日 それじゃあ、まんまじゃないか
映画『オケ老人!』を観てきた。原作はかなり前に読んでいて、それは以前このゾロメで書いたことがある佳作『ちょんまげぷりん』(ここです⇒★)と同じ荒木源。こりゃ、行くしかない。
主人公は学生時代にバイオリンを弾いていた高校教師(原作では男性だが映画は杏ちゃん)。彼女は新しい赴任先で地元のアマチュアオーケストラのコンサートを聴き感動し、入団を決意する…のだが、この土地には実はアマチュアオーケストラが2つあって、間違って老人ばかりのオーケストラの方に入団してしまうのであった。で、すったもんだするというお話。
私は、笑って泣いて感動もしちゃう、小難しくない、いわゆる「通俗的」な映画が好きだ。寅さんシリーズ(特に初期)のファンだし、単品ではつかこうへいの『蒲田行進曲』や『二代目はクリスチャン』、立川志の輔の落語から生まれた『歓喜の歌』…などなど、VIVA!ツーゾク映画!のクチである。
この映画も大満足。リフレッシュできた。面白かった。でも、いちばん笑ったのは、映画館でチケットを買うとき、私の前の銀髪のオシャレなおばさまがふつうに「ボケ老人1枚」とおっしゃったこと。
それじゃあ、まんまじゃないか。
◆最近読んだ本
『煽動者』 ジェフリー・ディーヴァー著
リンカーン・ライムシリーズのスピンオフで、キネシクス(伝達手段としての 表情や身ぶりを研究する学問)の天才、キャサリン・ダンスシリーズももう四作目。今回ももちろんどんでん返しは堪能したけれど、パニック小説と恋愛小説の様相も呈していた感じ。ドキドキ三種三様。
『老いの道づれ 二人で歩いた五十年』 沢村貞子/著
かっこいいなあ、おていちゃん。頭脳と理想と筆力とプライドはあっても、今ひとつ生活力、体力、気力に欠ける(ようにこっちには映る)男性と出逢い、世間的には「道ならぬ恋」に落ち、でも決して自己陶酔には浸らず、現実を直視し、でも相手を立てまくり、生活の後ろ盾になるお銭を稼ぐために女優という職業を特殊なものとせずプロ意識に徹して従事し、もちろん家事にも手を抜かず、相手の甘さも遠因に思える試練を幾度もくぐり抜ける。
なにより、相手を好きで好きでやまない。
一生をかけて愛することができる人に出逢えるか否かは運もあると思う。出逢っても、どんなふうに接していくのかは人それぞれだ。だから、おていちゃんの生き方は見事でも、それが理想形だとか、手本だとは必ずしも思わない。でも、窮地に立ったとき、自分の優先順位を迫られたとき、おていちゃんはたぶん迷ってない。聡明で厚情で自分の道が見えているから。その道の連れが誰か、明確だから。そこはもう見事過ぎてクリアで小気味いい。
夫婦が五十年間交わし合ったラブレターを盗み見したような申し訳なさ、気恥かしさも少し感じた。
by月亭つまみ
まゆぽさんとの掛け合いブログです。→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」
★毎月第三木曜日は、はらぷさんの「なんかすごい。」です。
爽子
子供の言いまつがいは、本当に、かわいく何度も脳内で繰り返してしまいます。
我が家でも、言いまつがいのストックはあったはずなんですが、はて・・・
メモっておけばよかったなあ。
殴打事件のことを、おバカな次男が「なぐだ」と読んだため、たった一回のまつがいだったのに、
うちの家では「なぐだ事件」と読むことになってしまいました。
哀れ次男よ。
ボケ老人の言いまつがいは、わたしがやりそう。。。78%くらいは。。。
まんま。。。なのが笑えませんな。
つまみ Post author
爽子さん、「なぐだ事件」、「おうだ事件」より臨場感があっていいと思います。
アッタマきて思わずなぐだ、みたいな(^O^)
私もこれからはそう呼びたいです。
気取った言い方の「ボケ老人1枚」がツボでした。
屈折したカミングアウト?と。