4月26日はカレー記念日

カレー記念日

背中痛い 言われてのみこむ 私もよ

4月26日はカレー記念日

Jane

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

ゾロメ女の逆襲

【月刊★切実本屋】VOL.54 極私的大河ドラマ候補

2021年は個人的に辻村深月イヤーだった。その前年か前々年に『かがみの孤城』を読んだのがきっかけだ。

辻村さんの小説は、テーマやモチーフにいじめが多い印象があってずっと食指が動かなかったのだが、『かがみの孤城』は、とにかくおもしろいから!伏線の回収が見事で「やられたー」と思いつつ泣くから!と知り合いに薦められたのだった。

おっしゃるとおりだった。SFであり、ミステリーであり、十代の成長小説であり、なにより小説を読むことの醍醐味である「ワクワクドキドキハラハラ(最後のは涙)」に溢れた小説だった。読んだ知人が決まって口にする「伏線回収の見事さ」もまさに!

そして、この小説は間口が広かった。読んだ「知人」には、小説に一家言ある大人も、本好きのそのへんの(あえてそう書く)小学生中学生もいる。これってすごいことだと思う。うさんくさいくらいだ。

とはいえ、それで一気に自分が辻村ワールドにのめり込んだわけではない。理由は、作品数が多く、しかも分野が多岐にわたっているから。

この人って今いったいいくつなの?
いつから書いてるの?
年に何冊発行されてる?

とWikipediaを三度見したくなるくらい多作。しかも、シリーズでもない複数の作品に共通の登場人物が出てくるのが、やっかい。

このパターンは、私の偏愛作家山本幸久さんでもおなじみだが、辻村深月さんのそれは、時にそのことがネタバレにもなるので(前に読んだ〇〇という小説に、もっと大人のこの人が出てた…ってことは、今回は死なないわけね、とか)先に読んだ人はおせっかいを焼きたくなるらしく、「辻村深月」と検索すると自動的に「読む順番」が出てくる。その順番が、出版順とはまったく関係ないのがクセモノなのだ。

なので、「いったいぜんたい何から読んだらいいのさ」状態になり、いちげんさんお断りかよ、みたいな気分になり、めんどくさくなって読まずにいた。

しばらく経って、めんどくさい気持ちも覚めた頃(いろんなことに私はすぐ覚める)、『サクラ咲く』という中高生向けの中編集を読んだ。これがもう、あなた!瑞々しくて胸に沁みて、やっぱり辻村深月はスゴイなと思った。

それからは、わりと手当たり次第に読んでいる。そして、全著作の半分ぐらいを読んだ現時点での結論(仮)は、辻村深月の小説にハズレはなく、あるのは、小当たり、中当たり、大当たりの三種類、そして今までのいちばんの大当たりは『東京會舘とわたし』だ。

辻村さんの小説は上下巻が多い。これもそうだ。東京會舘という、宴会場であり結婚式場でありレストランもある実在の施設が舞台の連作短編集である。

関東大震災の前年に創業というタイミングからして、この會舘はなまなかな道を行けないと運命つけられたかのようだ。その思いは読み進むほどに強くなり、太平洋戦争も含めながら、東京會舘の状況とそこに関わる人々の精神力を試されるような歴史が続く。それにまつわる11編。

この會舘の唯一無二さを際立たせる存在として、大正時代の名ヴァイオリニストで、関東大震災の直前に来日して演奏会を催した、かのクライスラーと、昭和のど真ん中に位置する大歌手越路吹雪を登場させたのは、粋で、ノンフィクションとしても出色だ。東京會舘は二度の建て替えを経た現在も、そういう有形無形な歴史をすべて内包し、あたかも有機生命体のように存在し続けていくのだろうと思わせてくれる。

11章11編すべて読ませるが、東日本大震災の一夜から、「男子厨房に入る」のクッキングスクールまでを見事に繋いでみせた8章(このスクールの教えが素晴らしい!)と、直木賞を受賞する小説家が登場する9章が印象的。特に9章は、辻村さんの実体験がベースになっていると、その後読んだ彼女のエッセイ『図書室で暮らしたい』(これについて書かれたのは『東京會舘とわたし』刊行よりだいぶ前)で知った。

読後感は、東京會舘の波乱万丈で真摯な歴史に立ち会ったような、深い、おごそかな心持ちだ。よくぞこの題材を見つけてくれた。おそるべし、辻村深月。なんとならば、大河ドラマ「東京會舘」はどうだろう。人じゃなく、建物主体のドラマ。けっこう本気で言ってます。

…実は、自分はまだ一度も東京會舘に行ったことがないのですけどね。

by月亭つまみ


Amazon


Amazon


Amazon


Amazon


Amazon


Amazon


ゾロメ女の逆襲 記事一覧へ


コメント、ありがとー!

  • アバター画像

    にゃまの

    実は私、4月に東京會舘のお隣の病院で腰の手術する予定になっています。先日初めてその病院に行ったのですが、事前知識なく東京會舘(しかも工事中)が現れビックリしました。この病院、新しいのにWi-Fiが使えず、何か本でも持って行こうと思っていたところこの記事です。ありがとうつまみさん。謹んですぐ近くで「東京會舘とわたし」読ませていただきます。楽しみ!

  • アバター画像

    ぱろる

    つまみさん。
    ご自身の気持ちと本の説明を、なんでいつも、こんなに上手いこと書けるのでしょう!💕

    図書館で借りた本が積まれてるのに、つい、辻村深月さんに心動いております🌙✨📚

    どれから読んでも間違いないことがわかっても、じゃあどれから…って決めかねちゃうなぁ。
    どれも面白そうで。実際面白いのでしょうし。

    でも。

    「東京會舘とわたし」
    わたしはこれからだな。

    バブルの頃、私が勤めてた派手目な業界、
    よく立食パーティーがあったのですが、

    頼んでから仕立ててくれるオムレツが絶品で
    20代の小娘だった私は、同僚とおかわりしては
    「こどもかっ!」と上司におこられてました😅
    (周りのおじさんたちもおかわりしてましたけどね😁)

    宴会場の食べ物の記憶しかなくて、若き日の自分の鈍さを呪いたくなりますが、ここは確かに
    「グランドホテル」的に,いろんなドラマが繰り広げられるであろう、クラシカルで特別な場所だと思います。

    まずは、本借りてきます。
    順番待ちの間に、名物のクッキーも買ってきます🍪
    (こちらも、仕事時代、もらうと嬉しいお土産でした💕)

    なんだか私の
    「東京會舘とわたし」になってしまったm(_ _)m

  • アバター画像

    つまみ Post author

    にゃまのさん、なんと!腰の手術をなさるとは!
    入院や手術、その後のリハビリと、それでなくても一大案件なのに、感染症というやっかいなものもあり、大変ですね。
    しかも、新しい病院でWi-Fiが使えないってあるんですね。

    本の紹介としてはグッドタイミングでよかったです。
    くれぐれもお身体、ご自愛ください。
    案件が過去形になりましたら、ぜひ感想を聞かせてください。

  • アバター画像

    つまみ Post author

    ぱろるさん、さっそくコメントをいただきありがとうございます。

    わー!ぱろるさんは、リアルな「東京會舘とわたし」の思い出があるのですね。
    そういう人は、きっと小説を読むときの自分の立ち位置も違うのでしょうね。
    なんか、うらやましいです。
    書いてくださった私の「東京會舘とわたし」って、出久根さんも書いています。
    https://books.bunshun.jp/articles/-/5003

    名物のクッキー、買いに行こう。
    ネットで買えても、じかに行こうっと\(^o^)/

  • アバター画像

    ぱろる

    うわわわわぁ〜!
    出久根さんの文章が素敵すぎて💕
    紹介のお礼を言いに再登場です。

    2011年の吉川英治文学賞
    受賞者が辻村さんで、
    授賞式が東京會舘で、
    選考委員が出久根さんだったってことですね✨

    ドキュメントノベル、好きなんです。
    うわぁもうたまらん。
    本、明日には借りられそうです😉
    (クッキー調達がまにあわん!💦)

    クッキーを買いに、
    ぜひに近いうちにお出かけくださいね。
    (三菱一号館美術館も近いですし)
    https://mimt.jp/

  • アバター画像

    つまみ Post author

    ぱろるさん、美術館情報もありがとうございます。
    ここも行ったことがないので、ぜひ行きたいと思っています。

    出久根さんの思い入れの強い文章、味わいがありますよね。
    私も、フィクションとノンフィクションの境目のような世界、好きです。

  • アバター画像

    mikity

    つまみさん、

    「東京會舘と私」は
    私の大好き本です。

    建て替え前の東京會舘の、あの重厚さや、趣きのある風情は、歴史の波をかいくぐってきたからなのですね。

    つまみさんの紹介文を読んで、読後の感情と、東京會舘の記憶がまた鮮明に呼び起こされました。

  • アバター画像

    つまみ Post author

    mikityさ~ん!お久しぶりです。

    そうでしたか、mikityさんもお好きでしたか。
    納得です。
    そして、建て替え前の會舘を知っているのが羨ましい。

    映像や画像で記憶が呼び起こされることと、活字のそれは違いますね。
    活字の方が時には、よりリアルだったり。
    それが本を読む醍醐味なのかなと思ったりもします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。また、コメントは承認制となっています。掲載まで少々お待ちください。


コレも読んでみて!おすすめ記事

今週の「どうする?Over40」

「どうする?Over40」は、4月27日(土)~5月5日(日)までお休みします。(ただし、「カレー記念日おかわり」は更新してます)

カレー記念日 今週のおかわり!

すればよかった 振り返るのも また一興

いろんな言葉

That’s Dance!文字起こし 第6回(episode16) やっかみかもしれませんが‥番外編も兼ねて

60代、男はゆっくりご乱心

さて、どこに住もうか

ミカスの今日の料理 昨日の料理

おばさんは楽しみを作り出す: チージーエッグ

かわいいちゃん

体重

母を葬る

(10)親子という仕組み

山あり谷あり再婚ライフ

60代若いのか年寄りか?

出前チチカカ湖

第196回こう見えて一途(いちず)です。

なんかすごい。

春の地響き

四十路犬バカ日和

ペットタクシーで病院に行ってみた!

OIRAKUのアニメ

第101回 アストロノオト/終末トレインどこへいく?

黒ヤギ通信

桜の下、草葉の陰

ゾロメ女の逆襲

【月刊★切実本屋】VOL.80 朝ドラと『化学の授業をはじめます。』の化学反応

夫亡き日々を生きる

カリーナからゆみるさんへ 2023年2月4日

絵手紙オーライ!

絵の具セットの思い出

昭和乙女研究所

ファンシーケース

いどばた。

凹むこと最近ありましたか?

じじょうくみこの崖のところで待ってます

はなやぐお盆、わたしは墓へとタックルした。

ただいま閉活中

お守りが無くなったら

50代、男のメガネは

『レジェンド&バタフライ』で絶望の淵に立つ。

おしゃれ会議室 ねえ、どうしてる?

人生は引き算である

日々是LOVE古着

(終)これからも。これからは。

これ、買った!

くっつかないしゃもじをもう一度買った!

ワクワクしたら着てみよう

最近思うことをとりとめもなく書いてみた♡

わたしをライブに連れてって♪

コンサートwithコロナ

これ、入るかしら?

行き当たりばったりで失礼します

KEIKOのでこぼこな日常

巣ごもりしてたらこんな買い物を…

あの頃、アーカイブ

【エピソード37】最終回記念、私たちのクリスマス!

フォルモサで介護

私が負けるわけがない

お悩み相談!出前チチカカ湖

【File No.41】 私って多重人格!?

ラジオブースから愛をこめて

ノベルティグッズ

着まわせ!れこコレ

冬とウェディングと後れ毛と

このマンガがなんかすごい。

第15回(最終回):マンガよ永遠なれ!

夫婦というレッスン

津端英子さんの一筋縄でいかない個性と行動力がすごい著書「キラリと、おしゃれ」

ハレの日・ケの日・キモノの日

暑くじめじめな7月

眉毛に取り組む。

総集編!眉毛ケアグッズ&お手入れ用品のご紹介

さすらいの旅人ゆりの帰国&奮闘日記

グアテマラ。そこで見た不思議な光景と懐かしい味

新春企画 輝く!カレー記念日大賞2017

輝く!カレー記念日大賞2017

≪往復書簡≫SEX and the AGE 

「女性の健康を守り、5歳若くなる抗加齢医療」だって。ボーっとしてたら、すごいことになってるね。

最近、映画見た?

第12回 「海よりもまだ深く」

Over40からの専門学校 略して「オバ専」

【オバ専インタビュー】今まで知らなかった「責任感」も含めて、人生が大きく変わりました。

じじょうくみこのオバサマー

四十九歳の春だから。

華麗なるヅカトーク

第8回 型、色、数! 嫌なことがあったら、また観に来る!

サヴァランのやさぐれ中すday ♪

in her SHOES ~ おばばは何を考えて? #8

器屋さんのふだん器

ふだん器-38  飛びかんな

2016 みんなのこれ欲しい!

サヴァランの「これ、欲しい!」。

2015 みんなのこれ買った!

【じじょうくみこ】低反発リクライニングソファ、買った!

ブログの言葉

「別冊 どうする・・・」はこんなことを大事にします。(過去記事より転載)

今日のこていれ

「今日のこていれ」最終回。1年間のご愛読に感謝を込めて。

崖っぷちほどいい天気

崖っぷちより愛をこめて〜最終回はカピバラとともに。

アラフ ォー疑惑女子

「もったいないお化け」の世代間連鎖

とみちっちの単身ベトナム&中国

ベトナムって、ハノイって、どう?

晴れ、時々やさぐれ日記

ああ、感謝。巳年と午年のあいだ。

中島のおとぼけ七五調

中島。の気ままに更新「おとぼけ七五調」12

ムーチョの人生相談「ほぐしてハッケン!」

【主夫ムーチョの相談】娘がご飯を食べません・・・。

ミラノまんま見~や!

連載最終回!「駐妻のここだけの話」にしようかと思ったが…災難に遭う!

ウェブデザイナーとの対談

大きな旗は振れないけど、小旗はパタパタと振れるだけ振っていこうと思ってます。

「最高の離婚」ファントーク

<対談「最高の離婚」最終回>ホームから電車に乗ってしまってキスして・・・ロマンチックでしたね。

スパコレ

美味しい缶詰を教えて!

2014 新春企画

どうする?Over 40 新春企画「物欲俗欲福笑い」♪( メンバー編 )

フォルモサ(台湾)の女

あずみの台湾レポート「やっぱり紅が好き!フォルモサの女たち」(13)〜不景気顔卒業します

ゾロメ女の図書館小説

帰って来たゾロメ女の逆襲 場外乱闘編 連載図書館ゴロ合わせ小説  『ライ麦&博 完結編』 後編

青蓮の「マサラをちょいと」

青蓮の「マサラをちょいと~人生にもスパイスを効かせて~ VOL.12」

Tomi*さんの最適解

「Tomi*さんの最適解。 ・・・白髪とコムデギャルソンとヤフオクと」  マインド編②

YUKKEの「今日もラテンステップで♪」

YUKKEの今日もラテンステップで ~VOL.13

よもじ猫

先手必勝

猫No.34  by れこ

猫大表示&投稿詳細はこちら!

先手必勝

猫No.34  by れこ

よもじ猫とは…

全世界初!?四文字熟語と猫のコラボ!

「よんもじ」と猫がペアになって、ランダムに登場します。
ふだん着の猫の一瞬を楽しむもよし、よんもじをおみくじ代わりに心に刻むもよし。
猫が好きな人も、そーでもない人も、よもじ猫の掛け軸からタイム&ライフトリップして、ときどき世界を猫目線で眺めてみませんか。

みなさんの猫画像の投稿をお待ちしています。

投稿はこちらからどうぞ

カイゴ・デトックス 特設ページができました

Member's Twitter


  • カリーナのBILOGはこちら!「ともに生きる。

  • ZOOMでプライベートレッスン、リモート英会話AQUA
  • BLOG版 ウチの失語くん
  • 植松 眞人さんの本がでました♪「いまからでも楽しい数学―先生と数学嫌いの生徒、35年後の補習授業」
  • 「出前チチカカ湖」連載中 まゆぽさんの会社「シリトリア」

Page up