4月26日はカレー記念日

カレー記念日

背中痛い 言われてのみこむ 私もよ

4月26日はカレー記念日

Jane

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

ゾロメ女の逆襲

【月刊★切実本屋】VOL.66 すぐそこにあった「エモい」

この【月刊★切実本屋】で取り上げる本は、今までの記事ではもちろん、twitterやPodcastでも言及していない、いわば「初出し」が自分で定めたルールなのだが、今回の『なめらかな世界と、その敵』(伴名練/著)はその禁を破ってしまった。

忸怩たる思いである。でもしょうがない。読直後に「なんや知らんけどめっちゃすごい小説を読んでもうたがな」(なぜかニセ関西弁)と誰かに言いたくなったのだから。そこをぐっとこらえ、あくまでもルールを優先して口を噤んでいる方が、相手(この場合は本)や自分に不誠実な気がした。勝手にしろ、ですかね。そうですね。

以前、働いていた公共図書館に、SF界の権威ある「星雲賞」を選定する「日本SF大会」の世話人をしている女性がいた。「SF者」界隈ではたぶんわりと有名で、SFに対する熱量や知識も相当な人だったと思う。職場の広報誌に、SFに関する文章を何度か寄稿してもらったこともある。

でも、その人に自分からSFの話を振ったり、ご指導ご鞭撻を仰いだことは一度もなかった。それは、彼女が個性的過ぎたことが大きかった。イヤな人ではなかった。図書館員になるための専門教育を受けた優秀な人だったとも思う。でも、たまに業務に支障をきたす方向に言動の針を振り切ることがあり、それは病的に映るレベルだったので、相談に乗ることはあっても、基本、遠巻きにしていたのだった。

『なめらかな世界と、その敵』を読んでいる間、幾度も彼女のことが脳裏をよぎった。パラレルワールドのわたしは、SF者の彼女にもっと近しく接し、こんな本を読もうものならソッコーで連絡をとってアツく語り合おうとしたかな、とか。

どうやら、わたしは今でも、彼女をSF界周辺のある種のランドマークとしてイメージし続けているらしい。そして、かつて彼女を遠巻きにしたことを少なからず悔やんでいるらしいのである。

ある程度ページをめくらないとその世界観が浮き上がってこない小説はままある。SFは特にそう。なので、しばらくは「えっ!?これってどういうこと?」と混乱することは覚悟の上で読む。だが、短編集である今回の本は想定以上だった。収録されている6編に共通する傾向はなく、話が変わるたびに、滑走路なしに離陸する飛行機に乗るみたいで(乗ったことはないが)とっかえひっかえ異世界に放り出される感覚はなかなかハードだった。

そう、どの作品もすこぶるハードで、それがやたら新鮮だった。SFに詳しい人なら、これは伝説の作家のあの作品のオマージュだな、とか、こっちの引用にはかくかくしかじかの理由があって…などの「脳内私設滑走路」、もしくは「脳内音声ガイド」が起動するのだろうが、こちとら完全な初心者。丸腰状態。イヤホンもシートベルトもない離陸で、ページを開いた瞬間から、経験のない乱気流に巻き込まれてぶんぶん振り回され、息つくヒマもなく、呆気にとられているうちに、思いもしない場所に連れて行かれてぼおっとする、その繰り返し。そして、この新鮮で胸アツな感覚こそ、世にいう「エモい」ってことかと膝を打つに至った。

2016年に新語にランクインしたという「エモい」をわたしは今まで一度も使ったことがなかったし、その微妙なニュアンスを理解できていなかった気がするが、今回実感できた。やったね。

そして、SFと「エモい」の親和性がこんなに高いとは…と感心しかけたが、いや待てよ、だ。思えば、大昔に読んだ原田康子の『満月』をはじめ、かの有名な筒井康隆の『時をかける少女』『七瀬ふたたび』も、宮部みゆきの『龍は眠る』も、荒木源の『ちょんまげぷりん』も、辻村深月の『ツナグ』も、とにかく今まで自分が読んだSF要素のある小説(ほとんどがタイムトラベルものだが)は、どれもエモかったじゃないか。

これらの本の感想には決まり文句のように「せつなかった」と書いてきた気がするが…いや待てよ(二度目)、どうやら、わたしにとっては「せつない」の躍動形が「エモい」のようだ。ああ、すぐそこにあった「エモい」。エモいの定位置が決まってスッキリした。おめでとう、自分。

収録されている6編はどれも面白かったが、ひとつ挙げろといわれたら、やっぱり最後の「ひかりより速く、ゆるやかに」だ。120ページ強なので短編というより中編だが、設定も、構成も、実は自分が完全に理解しきれていない感じが否めない終盤の伏線回収的展開も、ただただエモかった。

とにかく「エモい」って書いとけばいいだろう的感想になってきた。覚えたての言葉を使いたがる子どもかっ!

by月亭つまみ

『どうする?Over40』は今年10周年を迎えました。
そこで「10年前の自分に言いたいこと」を募集しています。10年前のあなたはどこで何をしていましたか?その時の自分に伝えたい思いはありますか?送っていただいたものはPodcast『That’s Dance!』の100回記念の放送内で紹介させていただきます。
詳しくはカリーナさんのこちらの記事をご覧ください。

追記:↓のAmazonの情報、リンク切れになっているかもしれません。文庫のリンクを貼ったのですが、飛ばなかったらすみません!


Amazon


ゾロメ女の逆襲 記事一覧へ


コメント、ありがとー!

  • アバター画像

    ミカス

    そうだ!「エモい」だ!
    「ひかりより速く、ゆるやかに」を読んでいる最中や、読み終えた瞬間の感情を何と表現すればいいのかわからずにオロオロとしていましたが、「エモい」で決まり。
    表題作の「なめらかな世界と、その敵」もそうですが、「あちら側」へ行けない人がそれでも、誰かを救うために、誰かに寄り添うために、あえて「あちら側」へ行こうとする姿に泣きました。

  • アバター画像

    okosama

    That’s Danceを聴いて、つまみさんがエモいと言うなんてそんなにヤバい小説なのかと、早速読みました。
    いやーこの本、作品ごとに異なる語り口で、どれも面白い!
    つまみさんのおっしゃる最後の作品、自分の様々な思い込みが覆される「してやられた感」は、快感でしたね!

  • アバター画像

    つまみ Post author

    ミカスさん
    okosamaさん

    早速お読みいただき、超エモい!(⇦バカ)

    この本を読めばどうなるものか、危ぶむなかれ
    危ぶめば道はなし、踏み出せばその一足が道となり
    その一足が道となる。 迷わず読めよ 読めばわかるさ

    と、かの猪木も言ってますしね(言ってない)。

    今回の記事で、内容自体の感想は一言も書けず、自分の力不足を痛感していましたが
    ミカスさんとokosamaさんがソッコーで読んでくださったばかりか
    それぞれ、きちんと自分を通した感想を添えたコメントをくださったので
    自分はこの本と誰かにとっての触媒役だったのだ、素晴らしいではないか!と
    自画自賛しています。

    素人考えでは、アニメ化が浮かぶのですが、活字で読んでほしい気持ちも強く
    そのあたりのokosamaさんの見解もお聞きしたいです。

  • アバター画像

    okosama

    いやいやいや、つまみさん
    素人に無茶ブリを(汗)

    伴名練氏の作品は、読んでいて映像が立ち上がる文章です。というか同時代の映像に浴してきたのを想起させる文章です。
    文字だけで十二分に厚みのある雰囲気を醸し出している。
    アニメ化でより広く届く可能性はあるのでしょうけれど、読んでしまったからには、一読者として、アニメ化で何か足し引きしなくても良いのではないかと思います。
    しかも伴名氏は日本のSF小説を広く届けようとしてらっしゃるので。
    やはり私も活字に1票!

  • アバター画像

    つまみ Post author

    okosamaさん、誠実にお答えいただき、痛み入ります。

    「アニメ化で何かを足し引きしなくても良い」、けだし名言!
    okosamaさんがお書きになった伴名氏の志しをわたしも感じたくせに、つい「アニメ化したとしたら」と短絡的に考えてしまった自分はなんて浅いヤツ、と思いましたが、このように返していただいて、気持ちがスッキリしたので、浅はかさも有効だったと自己弁護します。
    ありがとうございました。

  • アバター画像

    okosama

    とはいえ、活字派のつまみさんがアニメを想起する作品を、アニメーターの皆さんが見逃しているはずがないと思います。
    いずれ伴名氏の作品や伴名練編の作品群がアニメーション映画になるやもしれません。
    その時は喜んで見に行く所存です!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。また、コメントは承認制となっています。掲載まで少々お待ちください。


コレも読んでみて!おすすめ記事

今週の「どうする?Over40」

「どうする?Over40」は、4月27日(土)~5月5日(日)までお休みします。(ただし、「カレー記念日おかわり」は更新してます)

カレー記念日 今週のおかわり!

すればよかった 振り返るのも また一興

いろんな言葉

That’s Dance!文字起こし 第6回(episode16) やっかみかもしれませんが‥番外編も兼ねて

60代、男はゆっくりご乱心

さて、どこに住もうか

ミカスの今日の料理 昨日の料理

おばさんは楽しみを作り出す: チージーエッグ

かわいいちゃん

体重

母を葬る

(10)親子という仕組み

山あり谷あり再婚ライフ

60代若いのか年寄りか?

出前チチカカ湖

第196回こう見えて一途(いちず)です。

なんかすごい。

春の地響き

四十路犬バカ日和

ペットタクシーで病院に行ってみた!

OIRAKUのアニメ

第101回 アストロノオト/終末トレインどこへいく?

黒ヤギ通信

桜の下、草葉の陰

ゾロメ女の逆襲

【月刊★切実本屋】VOL.80 朝ドラと『化学の授業をはじめます。』の化学反応

夫亡き日々を生きる

カリーナからゆみるさんへ 2023年2月4日

絵手紙オーライ!

絵の具セットの思い出

昭和乙女研究所

ファンシーケース

いどばた。

凹むこと最近ありましたか?

じじょうくみこの崖のところで待ってます

はなやぐお盆、わたしは墓へとタックルした。

ただいま閉活中

お守りが無くなったら

50代、男のメガネは

『レジェンド&バタフライ』で絶望の淵に立つ。

おしゃれ会議室 ねえ、どうしてる?

人生は引き算である

日々是LOVE古着

(終)これからも。これからは。

これ、買った!

くっつかないしゃもじをもう一度買った!

ワクワクしたら着てみよう

最近思うことをとりとめもなく書いてみた♡

わたしをライブに連れてって♪

コンサートwithコロナ

これ、入るかしら?

行き当たりばったりで失礼します

KEIKOのでこぼこな日常

巣ごもりしてたらこんな買い物を…

あの頃、アーカイブ

【エピソード37】最終回記念、私たちのクリスマス!

フォルモサで介護

私が負けるわけがない

お悩み相談!出前チチカカ湖

【File No.41】 私って多重人格!?

ラジオブースから愛をこめて

ノベルティグッズ

着まわせ!れこコレ

冬とウェディングと後れ毛と

このマンガがなんかすごい。

第15回(最終回):マンガよ永遠なれ!

夫婦というレッスン

津端英子さんの一筋縄でいかない個性と行動力がすごい著書「キラリと、おしゃれ」

ハレの日・ケの日・キモノの日

暑くじめじめな7月

眉毛に取り組む。

総集編!眉毛ケアグッズ&お手入れ用品のご紹介

さすらいの旅人ゆりの帰国&奮闘日記

グアテマラ。そこで見た不思議な光景と懐かしい味

新春企画 輝く!カレー記念日大賞2017

輝く!カレー記念日大賞2017

≪往復書簡≫SEX and the AGE 

「女性の健康を守り、5歳若くなる抗加齢医療」だって。ボーっとしてたら、すごいことになってるね。

最近、映画見た?

第12回 「海よりもまだ深く」

Over40からの専門学校 略して「オバ専」

【オバ専インタビュー】今まで知らなかった「責任感」も含めて、人生が大きく変わりました。

じじょうくみこのオバサマー

四十九歳の春だから。

華麗なるヅカトーク

第8回 型、色、数! 嫌なことがあったら、また観に来る!

サヴァランのやさぐれ中すday ♪

in her SHOES ~ おばばは何を考えて? #8

器屋さんのふだん器

ふだん器-38  飛びかんな

2016 みんなのこれ欲しい!

サヴァランの「これ、欲しい!」。

2015 みんなのこれ買った!

【じじょうくみこ】低反発リクライニングソファ、買った!

ブログの言葉

「別冊 どうする・・・」はこんなことを大事にします。(過去記事より転載)

今日のこていれ

「今日のこていれ」最終回。1年間のご愛読に感謝を込めて。

崖っぷちほどいい天気

崖っぷちより愛をこめて〜最終回はカピバラとともに。

アラフ ォー疑惑女子

「もったいないお化け」の世代間連鎖

とみちっちの単身ベトナム&中国

ベトナムって、ハノイって、どう?

晴れ、時々やさぐれ日記

ああ、感謝。巳年と午年のあいだ。

中島のおとぼけ七五調

中島。の気ままに更新「おとぼけ七五調」12

ムーチョの人生相談「ほぐしてハッケン!」

【主夫ムーチョの相談】娘がご飯を食べません・・・。

ミラノまんま見~や!

連載最終回!「駐妻のここだけの話」にしようかと思ったが…災難に遭う!

ウェブデザイナーとの対談

大きな旗は振れないけど、小旗はパタパタと振れるだけ振っていこうと思ってます。

「最高の離婚」ファントーク

<対談「最高の離婚」最終回>ホームから電車に乗ってしまってキスして・・・ロマンチックでしたね。

スパコレ

美味しい缶詰を教えて!

2014 新春企画

どうする?Over 40 新春企画「物欲俗欲福笑い」♪( メンバー編 )

フォルモサ(台湾)の女

あずみの台湾レポート「やっぱり紅が好き!フォルモサの女たち」(13)〜不景気顔卒業します

ゾロメ女の図書館小説

帰って来たゾロメ女の逆襲 場外乱闘編 連載図書館ゴロ合わせ小説  『ライ麦&博 完結編』 後編

青蓮の「マサラをちょいと」

青蓮の「マサラをちょいと~人生にもスパイスを効かせて~ VOL.12」

Tomi*さんの最適解

「Tomi*さんの最適解。 ・・・白髪とコムデギャルソンとヤフオクと」  マインド編②

YUKKEの「今日もラテンステップで♪」

YUKKEの今日もラテンステップで ~VOL.13

よもじ猫

足場不安

猫No.4  by つまみ

猫大表示&投稿詳細はこちら!

足場不安

猫No.4  by つまみ

よもじ猫とは…

全世界初!?四文字熟語と猫のコラボ!

「よんもじ」と猫がペアになって、ランダムに登場します。
ふだん着の猫の一瞬を楽しむもよし、よんもじをおみくじ代わりに心に刻むもよし。
猫が好きな人も、そーでもない人も、よもじ猫の掛け軸からタイム&ライフトリップして、ときどき世界を猫目線で眺めてみませんか。

みなさんの猫画像の投稿をお待ちしています。

投稿はこちらからどうぞ

カイゴ・デトックス 特設ページができました

Member's Twitter


  • カリーナのBILOGはこちら!「ともに生きる。

  • ZOOMでプライベートレッスン、リモート英会話AQUA
  • BLOG版 ウチの失語くん
  • 植松 眞人さんの本がでました♪「いまからでも楽しい数学―先生と数学嫌いの生徒、35年後の補習授業」
  • 「出前チチカカ湖」連載中 まゆぽさんの会社「シリトリア」

Page up